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「リレー小説参加作品『隠された真実?』」作者:静真
だがハルヒは「キョン、次その辺撮って」などと曖昧(あいまい)指示を出すばかりであった。長門は無表情に後ろからついてくるだけだし古泉はいつものニヤケハンサムスマイルでただハルヒの言う事に従っているだけだし、朝比奈さんに関してはハルヒにされるがままでスカートの丈が通常より短くなっていた。朝比奈さんは涙目でスカートの裾を手で抑えている。うーむ、キワドい。 「ちょっとキョン、何ボーっとしてんのよ、早くしなきゃ幽霊が逃げちゃうかもしれないじゃない!」 やはりというかなんというかハルヒが俺にとっての至福の時間を妨害してきやがった。わかってはいたさ。今は現状的にもそんなことを考えているヒマなんかないってことくらい。 「へいへい」 俺は朝比奈さんを眺めるのを諦め、ハルヒの言うとおりに指摘された場所をただただ撮り続けていると 「お忙しいところすみません。少しよろしいでしょうか」 顔が近い耳元で囁くな。なんの嫌がらせだ気色悪い・・・まぁそれはいい。何だ?もしやまた幽霊が出たとか言い出すつもりじゃあないだろうな。 「そうではありません。それ・・・つまりは幽霊に関係した話ではありますが」 古泉は微笑ではあるがいつもより少し深刻そうな顔をして 「今回の件に関してあなたは本当に涼宮さんの力が原因だと思われますか?」 なんてことを聞いてきた。 「・・・それはどういう意味だ」 どういう意味だなんてことを聞いてしまったが俺は古泉の言う事の意味にうすうす勘付いてはいた。 「前にも言った通り、涼宮さんは常識のわかる方です。つまり幽霊が本気で実在するとは思っていない。しかし幽霊は涼宮さんの前に現れた・・・おかしいとは思いませんか?」 「・・・・・・」 たしかに今回の件は少しばかりおかしい気がする。古泉の言うとおりハルヒはアレでも一応常識はある。幽霊やらが本当に実在するともたぶん思ってはいない。仮にいてほしいと願ったとしてももこんな形でハルヒの前に現れることはこれまでになかったはずだ。俺にはハルヒが幽霊にそこまでして会いたがっているようにも心霊写真とやらを撮りたがっているようにもまったく見えない。断言する。 「ええ、僕もあなたとほぼ同意見と言えますね。ですから・・・」 古泉からいつもの微笑は消え、それと同時にこう告げた。 「涼宮さんに自分の能力を自覚させようとする誰かがいるのではないかと僕は考えているのですよ」
(千歳に続く~)
.. 2009年09月20日 21:06 No.492001
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