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「リレー参加作品『七夕デー』」作者♪ゴエモン&スネーク 閉鎖空間の部室。そこは以前オレとハルヒが思い出したくない、いまいましい場所であった。 「実は今日、あなたと会うのは初めてなんですよ。」 なにを言ってるんだ? 「今日、部室にいたのがウラの世界から来た古泉一樹なんです。」 ほう。じゃあ、お前はどこにいたんだ? 「ウラの世界の文芸部室にいました。」 古泉は申しわけなさそうに微笑した。 「おそらく、部室に入ったときに入れ替わったんでしょうね。断定はできませんが。」 自分のことだろうが・・・。しかし古泉はいつぞやの真剣な目つきだ。 言われてみればだが、廃墟(はいきょ)の入口での古泉はおかしかった。アイツにしては、ニヤケ方が少しばかりまともだったと思う。 オレ達は部室のドアを開け、PCを起動し、長門から差し伸べられる手をひそかに待っていた。そして、ダークグレイの画面に文字が流れ始める。 YUKI.N>平気? キョン>おれのことか? YUKI.N>そう キョン>なんとかな YUKI.N>今回狙われているのはあなた。そして、最大級の危機が迫っている マジか?それは? YUKI.N>情報統合思念体はあなたを失いたくない。また、わたしという個体もそう望んでいる。行動は慎重を要する。脱出プログラムを用意した。あなたがエンターキーを押せば始動する キョン>助けてもらってばかりで悪いな YUKI.N>いい オレは古泉の方を見た。古泉はいつものスマイルで返してきた。オレはスペースシャトルの船長のような気分でいた。 「そのキーを押す前に目をつぶっておいた方がいいですよ。もしかしたら、タイムスリップをするかもしれませからね。長門さんの時間移動はTPDDのようなタイムトラベラーの負担を軽減する機能は付いていませんからね。」 古泉は残念そうな笑みを浮かべた。 why?なぜ?どうしてだ?この事件を解決するためにか?オレと古泉だけではさすがに無理だということはいくらなんでも長門だって分かっているはずだ。 …ありえる。この単語をハルヒ以外に使うとは思ってもいなかった。長門は必要最低限の荷物を兵士に持たせ、戦場に送りこむような冷たい指揮官のようなタイプなのかもしれない。それは長門の部屋を見れば分からんでもないというのが事実なのだ。そうでないことを願いたいね~。 「ええ、まったくですね。」 古泉はさわやかに、 「そろそろ決めてほしいのですが。」 オレには分かる。コイツが待ちくたびれてうんざりしているということがな。それと同時に長門から、 YUKI.N>Good luck(幸運を祈る) ああ。分かったよ。さっさと押せばいいんだろ。はあぁ。これですっかり力が抜けちまったよ。あの時ボタンを押してたら自分がどれだけ勇ましかったことか。そういう問題じゃないな。 「ああもう、知らん。」 オレはそう言って、エンターキーを押した。後になってこのときに、長門から、いろいろと聞いとくべきだったと思った。
.. 2009年11月01日 20:36 No.539001
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