「リレー小説参加作品『自覚』」作者☆咲夜 いつだかの閉鎖空間のときのように、俺はハルヒに無理矢理起こされた。 気を失っていたのか、または、ただ単に寝ていただけなのだろうか。それにしても、俺達はいったいどこに来てしまったのだろうか。 ハルヒの後ろにあった白い影から守ろうとしただけであるのに、何故変なところへ連れて来られなくちゃならんのか。それも運が悪いことに、また俺とハルヒの二人っきりだ。 この前みたいに、俺は変な形をした古泉と会って、パソコンで長門に“sleeping beauty”と告げられ、世界を守るためにハルヒに馬鹿なことを言ったりしたりしなくてはいけないのだろうか。 思い出すだけで嫌な気持ちになるようなことを、もう二度としたくない。もしその必要があるのならば、別の方法を考えよう。 「いつまで寝てんのよ!あんた、今どういう状況だか分かってんの!?」 耳の鼓膜(こまく)が破裂しそうなほどデカい声を出しやがった。 「せっかくみくるちゃんのセクシー写真撮ろうとしてるとこだったのに、あんたはカメラの電源が入んないって言うわ、いきなり『危ない!』って突っ込んで来るわ、変なところに連れて来られるわ、いったいどうなってんのよ…。」 「それは俺が一番聞きたいね。お前は気づいてないのかも知んねーけど、あのとき、お前の背中には変な白い影的な何かがあって、その白い影的な何かがお前を…。」 「何それ?幽霊って言いたいわけ?あのね、幽霊ってのはそんな簡単に出るもんじゃないの。廃墟(はいきょ)の中に入ってもいないのに、そんなものを簡単に幽霊呼ばわりしないで頂戴!」 ハルヒが俺の言ったことを信じてくれないのは毎度のことだ。 信じてくれるわけないし、信じようともしない。だが、俺はこんなところで下がる男じゃない。古泉が俺に言ったように、もしここがハルヒの作った閉鎖空間であるのならば、俺はハルヒに信じさせなければいけない。元に戻りたいと思わせなくてはいけないのだ。 俺がやるしかない。 他に誰もいないのならばなおさらだ。でもどう説明する?ハルヒは俺の言うことなんて全くと言っていいほど聞く気がないだろう。だったら、ここまで来たら意地だ。無理にでも聞いてもらう! 「おい、ハルヒっ!」 「ねぇ、キョン。あんた、後ろになんかいる…。」 俺の目に入ったのは、幽霊でも白い影でもない。いつぞやに倒した、巨大カマドウマが……そこにいた。 (◇◆◇紅に続く◇◆◇)
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.. 2009年09月29日 19:52 No.507001