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■--もう一つの影(セイガ編)
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…82回          

3章突入です!
クォーツさん、ブログ拝見&オリカ投稿どうもです!
この章でも頑張りましょうねw


真っ白な世界の中にセイガはただ一人立っていた。
上下、左右何処を見ても真っ白だ。
『此処は一体何処なんだ・・・?』
そんなことを思っていたセイガの前に、一つの影が浮かんだ。
反射的に剣を抜き、斬りかかったものの、その剣は虚空を薙いだ。
人の形をした影―顔も姿も分からないが―はセイガと同じような声で話しかけてきた。
「お前が流星族の王だな?」
セイガは剣を握りなおした。
「そんな事を知って如何する気だ?どうしてそれを知っているんだ?」
影は笑って見せた。
「俺とお前は同じなんだ。姿や形は違くとも、その中の全ては所詮同じなんだよ。」
「どういう意味だ!?」
セイガは影に訪ねたが、その影は既に消えていて、セイガの声は虚空に消え去るだけだった。
『一体どうなっているんだ・・・?』
そう思った瞬間、真っ白な世界は輝きを増し、セイガの意識は途切れた―

「セイガ・・・まだ目が覚めてないの。大丈夫かしら・・・。」
聞き覚えのある声が耳に入った。
意識はあるようだ。しかし体が思うように動かない。
とりあえず目は開きそうだった―
「う・・・ん?」
「あ!セイガ!目が覚めたのね!?」
目の前には笑顔のセイナがいた。それだけで安心できた。
暫くするとセイハ達もやってきた。どうやら自分がいない間も全員無事だったようだ。
しかしその中にはスターマンの姿だけが無かった。
「あれ?スターマンの奴は何処へ言ったんだ?」
セイガの問いにセイショウは呆れたように、
「どっか行っちゃったよ。まぁ、どうせぶらぶら遊んでるだけだと思うけど。」
彼等が言うには、スターマンはよく何処かへ行ってしまうようだ。
彼は実力はあるのだが、こうして遊ぶような事をするのは納得がいかない。
やれやれだとセイガは思ったが、唐突に辺境族であった事を思い出した。
「そうだ!ダイボウケン達は!?コンクル・シオンッ!」
セイガは焦ったが、リンセイが
「お前を送ってから帰って行ったぞ。」
と言うと、セイガは安心し、しかしコンクル・シオンがどうなったかだけは気になって仕方が無かった。

追記:4部族全員の戦闘を書いていると流石に量が多すぎるので、セイガ編などに分けますね。
(220.213.100.84).. 2007年12月31日 16:42   No.194001

++ ウェリス (一旦書いてみる)…69回       
今回の話ではよくスターマンが登場します。
今UPするのもその一つですよw


流星族の山奥、人気の全く無い静かな所で彼は一人、奮闘していた。
「こっから先には通さねぇって言ってんだろーが!」
彼―スターマンは剣を振るい、敵を薙ぎ倒していた。
魔物の数は多く、スターマン一人では不利な状況であった。
しかし彼はどうしても通してはならないと思っていたのだ。
『俺はただ遊びに言っているわけじゃねぇ!でも、こんな姿見られたら恥ずかしいっての!』
彼の性格はどうも浮かれている。それを利用して遊びに言ったと見せかけているだけなのだ。
実はこうして誰にも見られることも無く戦っているのだった。
そうしている中、敵の一体―クラックスター―が巨大な爆発音を出して、脅そうとしていた。
「でけぇ音出そうと思うなよ。空気ってモンを読め!」
クラックスターは爆発音を出す前に、スターマンによって切り裂かれた。
「断末魔の叫びも上げてもらっちゃ困るんだよ!」
叫びや大音を出すと周りの者に気づかれる。そう思っていながら彼は敵を撃破しているのだ。
『あんまド派手に技を決める事も出来ねぇか・・・。こうなったら剣術だけで!』
スターマンは剣を構えると、声も出さずに振り下ろしていった。
そのまま斜めに切ると同時に風圧を共に繰り出し、遠くの敵も切り裂いた。
動揺してしまっている他の敵も切り裂くと、いつの間にか敵はいなくなっていた。
「さてと・・・戻るとすっか。」
そうして全てがバレない様に、いつもの皮肉な笑みを浮かべると、そのままいつも自分がいる場所に戻っていった。

「悪りぃ悪りぃ。ちょいと遅れたわ。―ってセイガじゃねぇか!」
そう口にしながらも、セイガが帰っていた事は実は知っていたのだった。
予想通り、セイナから一発ビンタを食らったが、それ以外何も無かった。
スターマンは自分がこうして敵を倒していても、遊んでいると誤解されているのが何故か嬉しかった。
「スターマン。お前、俺がいない間もぶらぶらしてたって?」
演技ながらもスターマンは
「はぁ!?なんで知ってんだ!?」
と言い、それを言ったであろうセイナを睨んだ。
セイガはため息を吐くと、全員の方を向いて、これまであったネヴィアの事、辺境族での出来事を語った。
そして、迫り来るであろう鬼闇族―今は闇月族だが―を撃退するための作戦会議を明日行う事を一同に話した。

(220.213.100.61).. 2007年11月06日 00:02   No.194002
++ クォーツ (一旦書いてみる)…65回       
はいやー了解ですー。
ここでも頑張っていきましょー。
あと、最近のこの掲示板では、1回「投稿する」を押した後しばらくしてから投稿前のページに戻って、何度か「更新」ボタンをクリックしていけば投稿した分が出てくる筈です。
私も、最初の内はこのシステムがよく分からなくてチェストとタイマーの回も二重投稿してしまっていたもんですw
いらないレスを削除する場合は、レスの手直しなどの時に使うあの部分の「edit」を「delete」にして実行すればOKです。

長くなってしまうので、ストーリーは次レスから始めていきます。

(221.184.252.213).. 2007年11月06日 03:30   No.194009
++ クォーツ (一旦書いてみる)…66回       
「…まだだ…まだ終わらぬ…」
スーパーダイボウケンから受けたあまりにも深い痛手。それは瀕死状態に近い。
コンクル・シオンの野望はこの時点で儚く散った筈なのだが…。
「…案外不甲斐ないわね、あたしを捕まえてムリヤリ生態研究させていたあんたがこの有様だなんて、正直疑わしいわね」
「貴様…ヘイムか…?」
「ご名答。中央で異変が起きてるっていうから何かと思って見に来てみれば、こんなことになってるなんてね。悪いけど、天下はあたしのもの」
ヘイムと呼ばれた女性がそう言うと、彼女の後ろから何人か姿を現した。
ヘイム以外はローブを被っている為姿はよく分からないが、ざっと4人はいるだろうか。
「これからの辺境族は、あたしが一任するわ。あんたから逃げ回っている間に、戦力は十分すぎる程集まったんだから。それに、今のあんたを倒すことなんてお茶の子さいさいよ」
「我を……なめるな!」
「…粛清の魔弾」
あがこうとするコンクルに対し、控えていた内の1人がローブを脱ぎ去った。人型ではあるが、頭と思えるパーツが見当たらない。そんな外見。
そんな男は、自らの周辺に5つのエネルギー弾を精製、コンクルにぶつけたが…。
「ヘイム様、目標は逃走した模様」
「メデュール、なんで追いかけたりしないのよ」
ヘイムは先程ローブを脱ぎ去った男、メデュールをキッと睨みつける。しかし、メデュールは動じていないようだ。
「攻撃が当たる直前に逃げた。おそらくこれは幻像か何かだろう」
「…あんたねぇ、それでも虹の騎士団トップっていう自覚あるわけ!?これじゃ、ナンバーワンの座をルカイに渡す日も近いわね」
「……そのルカイの姿が見えない時点でそちらに落ち度があったのではないか?」
気が付くと、まだ3人いる筈のローブを被った人が1人減っている。しかし、ヘイムはそんなの関係ねぇ!と言わんばかりにメデュールに絡む。
「なんですって…?もう一度言いなさいよこのへんてこ天使!」
「…なぁ、ホントに俺ら大丈夫なのか?この人についていって…」
「さぁな…。ていうか、マジでどこ行ったんだよルカイ…。急に臆病風に吹かれたとか…?」
残り二人のローブを被った男達は、自分の行く末に危惧を抱いていたのだった。

(221.184.252.213).. 2007年11月06日 03:56   No.194010
++ クォーツ (一旦書いてみる)…67回       
いつの間にか消えていた1人、ルカイは、1人セントラルタワーから出て周辺の街にいた。
「…いきなり緊急集合かけられて、気が付いたら月光世界から辺境世界に飛ばされて。ヘイム様のあの人使いの荒さにはいい加減嫌気がさしますね」
彼は元々月光世界にいたようだが、ヘイムによって強制的に辺境世界に戻されたらしい。
そんなことがあった為か、頬をプクーと膨らませて不機嫌にしていると、横から2人ほどルカイに話しかけてきた。
「よう、そこのゴキゲン斜めなボウズ!なんだかワケありってところだろうが、まずは美味いもん食って元気出せ!って、どうしたタイマー」
「…お前、ルカイじゃねぇか!久し振り!覚えてるか、タイマーだ」
「タイマー!?今までどこにいたんですか!みんな心配してるんですよ!ヘイム様なんてカンカンに怒ってますし」
ルカイとタイマーには面識がある。他の人はただの友人みたいなものかと思うだろうが、ルカイをボウズ呼ばわりしたチェストは違った。
「…ボウズ、お前タイマーの元お仲間だろ?」
「何故、貴方がそれを?」
「見りゃ分かるさ、お前の服に付いているその七色のマークを見りゃな。タイマーに付いていたうっとうしいマークだ…」
「…!…そうだ、タイマーの背中にも同じマークがある筈です!虹の騎士団の証の七色紋章が」
「ねぇよ、今の俺は虹の騎士団なんざどうでもいいのさ。俺はお前と同じ思惑で脱走したんだ」
元々マークがあったタイマーの背中を見るが、マークはない。跡形もなく消されたらしい。
「…ま、暗い話はそこまでだ。お前さんも家出してるようなもんなんだろ?ヘイムとかいうガキンチョの人使いの荒さに嫌気がさして」
「(…この人、どこまで僕のことを知っているんだろう…。ただ者じゃない…)」
チェストがやたらと自分の心境を見抜いていることをルカイは不思議に思った。
「腹減ってるだろ?ついてこいよ、とびっきり美味いもん食わせてやるからよ」
「俺の相棒の料理は、辺境世界随一だぜ!」
タイマーはこう言いつつ、こっそりルカイに「見た目に関しては覚悟しとけよ」と耳打ちした。
若干不安になりつつ、ルカイはチェスト達についていくことにした。

(221.184.252.213).. 2007年11月06日 04:22   No.194011
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…76回       
削除方法説明有難う御座います〜!
次からはないように気をつけます・・・;


翌朝、セイガ達は会議室に集まり、作戦会議を行った。
「まず俺が思うに、作戦役と攻撃役に分けようと思うんだ。」
セイガが言うと、皆は納得したように頷いて見せた。
セイガが頷き返すのを見ると、早速セイショウが手を上げた。
「オイラが戦うよ!真剣ぐらい1回は使った事あるし!」
とは言ったが、リンセイが
「馬鹿が。今回の戦いは遊びではない。子供が行くような所ではないんだぞ。」
と、吐き捨てるように行った。
セイショウは「え〜。」と言ったが、セイナが自分の子供を宥める様に
「そうよ。今回の戦いは危ないわ。練習とかやり直しも効かないのよ。」
と言うと、分かってくれたようだ。
セイガはメモのような紙を取り出すと、
「実は、攻撃メンバーと作戦メンバーはもう決まっているんだけど・・・。」
と言った。セイショウは自分も戦えるのかと身を乗り出したが、作戦メンバーと告げられ、残念そうに首を項垂れた。
「じゃあ、攻撃メンバーから言うな。」
そう言うとメモを見、次々と名前を言った。
攻撃メンバーにはフウセイ、リンセイ、セイラン、ガンセイ、セイハ、キュウセイ、セイナそしてセイガの8人となった。
「場合によっては作戦役も攻撃役にまわるかもしれない。まぁ、今の所はこのメンバーで。」
そうは言ったが、スターマンだけが反対した。
「なんで俺様の名前が攻撃役に無いんだよ!?」
セイガは申し訳無さそうにスターマンの方を見ると、
「お前には緊張感ってもんが欠けてる。悪いけど・・・作戦役にまわってくれ。」
頭を金槌で殴られたような言葉の響きだった。
確かに皆の前の自分は緊張感は無い。本当はあるのに・・・と言う思いが彼の中で渦を巻いた。
反論もしようとはした。しかし、隠れて敵を倒していると言っても信じてもらえる筈が無い。
スターマンは諦め、部屋を後にした・・・。

真夜中―皆は眠っているが、スターマンただ一人は裏庭にいた。
「何故なんだ!何故こうなってしまうんだ!」
そう叫ぶと、裏庭にあった巨大な石を殴った。
拳が痛む。でも悔しさで痛みすら感じられない。
ふと彼は後ろを見た。
墓石―彼の父の墓石が目の先にあった。
スターマンはよく自分の父の墓石に話しかけるのだ。
「父さん・・・ごめん。俺、皆に見捨てられちまったよ。」
その頬には一筋の涙が零れ落ちていた。―顔は仮面のせいで見えないが。
その涙に気づくと、彼は苦笑した。
「泣いている・・・のか?情けねぇな。父さん。俺、情けないだろ?」
そう言いながらも、まだまだ涙は溢れてくる。止める事も出来なかった。
墓石は答えない。彼の父はもうこの世にいないから―
「父さん・・・!」
零れ落ちた涙が、墓石に当たった。そして何故だろう、墓石が微かに光った。

(220.213.102.109).. 2007年11月07日 23:08   No.194012
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…77回       
『え・・・?』
スターマンは驚き、墓石を見た。父が―敵に殺されたはずの父の幻影が浮かんでいた。
『スターリィ。如何した?お前はこんな男じゃないだろう?』
そう言い、微笑みかけた。
スターマンは幻影に手を伸ばした。その手は何も掴む事は出来なかった。
「父さん・・・。」
父の幻影は彼を撫でた。触れた感覚は無い筈なのに、暖かい温もりが溢れた気がした。
『仮面を付け、性格などを変えろと言った私が悪かったようだな。お前を苦しめるような事をしてすまなかった。』
そう言ったが、スターマンは頷きはしなかった。
「父さんは悪くない。ああやって皆に迷惑をかけすぎた、俺の責任だよ。」
彼はもう泣いてはいなかった。逆に、父と話せた事が嬉しくてたまらなかった。
父は微笑むと、
『強くなったんだな、スターリィ。もう、その仮面は外すんだ。そして全てを打ち明けろ。』
スターマンは驚いた。父が殺されたのも、自分と同じ事を隠し、バレた事が原因だったのだ。
「でも、そんなことしたら!」
父はただ首を振った。
『お前は強くなったんだ。お前なら大丈夫だ!』
そう言い、肩に触れた。今度は何故か、感覚があったような気がした。
すると墓石にあった小さな丸い窪みが輝きだした。
『私の力をお前に授ける。今のお前なら扱えるはずだ。』
丸い窪みからは、幾色にも輝く石―魔石が現れた。
そしてそれに合わせるように、何もなかった虚空から、一刀の剣―魔剣が現れた。
「これは・・・!」
『その魔剣の窪みに魔石を嵌め込むんだ。魔剣はお前の力だけに反応する。』
そう言うと、彼の幻影はだんだん薄くなってきた。
「父さん!?」
スターマンは手を伸ばそうとした。しかし、父は首を振ると
『大丈夫だ。私の魂はいつも此処にある。その魔石は私の命、しかしそれを取ってしまったからな、もう・・・これが最後だな・・・。』
「そんなっ・・・!」
スターマンは絶句した。話す機会は1度しかなかったのだ。
『心配するな。私はいつでもお前を見守っている。私の分も存分に戦うのだぞ?大事な息子、スターリィよ―』
「父さん!」
叫んだ時には、もう幻影は消えていた。
スターマンは自分の手の中を見つめた。魔石と魔剣、二つの力が手中にあった。
『父さん、有難う。この力は大事に使うよ。だから―』
スターマンは墓石の前に自分が前まで使っていたごく普通の剣を突き刺した。
そして、鞘に、魔石を嵌め込んだ魔剣を収めた。
『―この剣は、父さんに預けるよ!』
そう心の中で言うと、自分の部屋に戻って行った―

(220.213.102.109).. 2007年11月07日 23:24   No.194013
++ クォーツ (一旦書いてみる)…68回       
処理速度というか、投稿完了までの時間に問題が生じてますよね、今のシステム。
今回は思いっきりルカイいじめ(笑

さて、まるで彼の心を全て見通しているかのような不思議な存在、チェストとその相棒タイマーに同行したルカイは、彼の家に着いた。
彼の家は辺境世界中央部の南寄りにあった。
「んじゃ、そこに座って待っててくれ」
外見も中も普通。殆ど平凡である。チェストがタイマーを連れて厨房に入ってから10分…。
「へいっ!辺境定食一丁あがり!」
「!?」
「はい、スタート・オア・ストップ」
辺境定食という名の妙な料理が出た瞬間、条件反射の如くルカイは脱走を試みた。
しかし、いつの間にかタイマーに捕まっている。というより、体の主導権を奪われたような感覚。まさにその通りだが。
「だから言っただろ?見た目に関しては覚悟しとけって。今更逃げるなよ、味は絶品だから」
「ホントに大丈夫なんですかー?」
「何言ってやがる、感動必至の美味さなんだから食えって!マジウマだから!」
もはやルカイは涙目。どんな形容なのか……はモザイク処理で見えないことにしよう。
「これくらいの見た目なら、1回か2回食ってしまえば慣れるって。俺もそうだから」
「う〜〜……」
そして「見た目はヤバイが味は絶品」な料理をルカイが食すのに3時間はかかったとか。

(221.184.252.213).. 2007年11月08日 04:52   No.194014
++ クォーツ (一旦書いてみる)…69回       
一方で、超微妙にマジメな話(マジメか?)

コンクル・シオンが消えたことでセントラルタワーを手中に収めたのにヘイムはご機嫌斜め。
どっかのワガママ令嬢のような状態のヘイムをなだめつつ、メデュールはルカイを探すが…。
「恨みを晴らすのはまた今度として……ルカイはどこに行ったのよまったくもー!」
「むぅ…、反応が察知できん。もしかしたら魔力探知を無力化されているかもしれん」
「はぁ!?ルカイに、ていうか虹の騎士団全部探したってそんな能力を持つヤツなんていないわよ!メデュールにだって持たせてないのに」
そこへ黒と水色の稀身族ボマーが口を挟んだ。
「じゃあ、変なところに迷い込んだとか」
「それは古代遺跡ぐらいしか考えられん。しかしそんなところに行く用事も無さそうだが」
今度は水色と赤の稀身族チックが入ってくる。
「じゃあ、近頃世間で噂の少年をターゲットにした犯罪に巻き込まれたとか!?」
「お前、この世界を余所と勘違いしてないか?」
こんな風にメデュール達があーだこーだと言っている内に、とうとうヘイムがキレた。
「あー!!いい加減にしなさいよそこの役立たず×2!!メデュールもこんなの相手にしなくていいから!ボマーとチックはどっか行け!」

ヘイムから追い出されたボマーとチックは、反抗期さながらの愚痴をこぼしていた。
「ったく、何だよ。自分が生みの親だからって偉そうに。自分だけじゃ何にもできないくせに」
「だよなー。時々俺達を道具みたいに使うし、いっつも人使い荒いし…」
そんなこんな言いつつ南下していると、チェストの家を発見した。
「……チェストの兄貴にお悩み相談でもしてもらうか、チック」
「そーだなー、兄貴ならこの気持ち分かってくれるかもしれないし。行くか、ボマー」
どうやら、この2人は以前にもチェストと会ったことがあるらしい。面識も深そうだ。
そしてなんとか辺境定食を完食したルカイやタイマーと鉢合わせしたことは言うまでもない。

「……ルカイ…ここにいたのか…」
「お前…ヘイム様がどれだけ怒ってるか知ってるか?」
「あー、えーっと…そろそろイライラが限界に達して逆ギレしてる…とか…」
『大正解だよこのアホ!!』
同時に一瞬でルカイをボコボコにしたボマーとチックの笑顔はあまりにも清々しかった。

(221.184.252.213).. 2007年11月08日 05:25   No.194015
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…79回       

「セイガ・・・もしかして・・・スターマンと戦うの?」
「スターリィって呼べばいいって。ってかその名前気に入らないし・・・。」
スターリィはそう優しく言った。本当に改心したようだった。
セイガは剣の柄に触れた。どうやら本当に戦うようだ。
「お前の腕を試させてもらう。とどめは刺さないが・・・」
「本気で来いって言うんだろ?」
セイガは呆気にとられ、柄から手を外しそうになった。
『心が読まれている!?そんなはずは―』
スターリィはふっと笑うと、剣を抜いた。炎の魔剣だ。
「魔剣だって!?いつの間に手に入れていたんだ!?」
フウセイは驚いた。前まで彼は通常の剣を扱っていた筈だった。
「父さんの形見だ。俺の剣は・・・父さんに預けてある。」
セイガも剣を抜いた。愛用の剣―流星剣を構える。刀身が彼の魔力によって光り輝く。
木々が揺れ、静かな時間が一刻と流れる。
木の葉がひらりと地面に落ちる。その刹那、2人は駆け出していた!
「始まったわ・・・。」
セイナがゆっくりと言う。
魔剣同士が激しくぶつかり合う。光が飛び散る!
「お前のその力、見せてもらうぞ!」
セイガは横へ、上へと剣を振るう。その度スターリィも剣を悉く弾き返す。
火花の変わりに魔剣の光が飛び散る。
「容赦はしない!ヴォルカニック・フレア!」
セイガの扱える炎の魔術がスターリィに炸裂する!
「俺も負けるわけにはいかないっ!」
彼がそう叫んだ時、炎の魔剣が水の魔剣に変化した!
「ウォーター・スプレッド!」
「水の魔術!?おいおいどうなってるんだよ!」
セイランが皆に問いかけた。しかし誰も分からないようだ。
魔術と魔術が相殺した瞬間、セイガは彼の剣を見、
「魔石か!?それもまたお前の父さんの形見なのか!?」
と言った。焦りつつも剣を弾き返す。
スターリィは思い切り弾き返し、「そうさ。」と言った。
そして剣を上手く持ち直すと、セイガに突き出した。
一瞬の焦りが隙を生んだ。セイガの喉元には彼の剣があった。
「・・・仕方ないな。認めるよ。」
微笑しつつ言った彼の言葉に、スターリィに微笑が浮かび上がった。
周りの皆も喜ぶように祝福してくれた。
そんな中セイナはただ一人、
「ずるいよ・・・。あんなに変われるなんて・・・。」
と、呟いた。

(220.213.110.46).. 2007年11月19日 00:25   No.194017
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…70回       
今回からはスキャナなんですね。
いいなぁ、スキャナ使えたら私もいくつか貼ってみますのに(スキャナも金もないorz)
12/6追記:名前が変になってましたね。今頃になって修正です。ブログも再開しますですよ。
前回はルカイいじめで一直線。今回はボマー&チックとあのコンビのお話。

一瞬でルカイをボコボコにしたボマーとチック。タイマーに手を出さなかった理由は…言うまでもない。何故ならチェストのオーラで分かる。
『タイマーに手を出したら間違いなく殺られる』
という威圧感がそれにはあった。2人がヘイムにさえ見せない低姿勢なのはそこにある。
「で、お二人さんは何の用で?」
「お悩み相談に来ました、兄貴!」
「俺達の悩みを解決してください!」
「よし、言ってみろ」
タイマーが素早く3人分のドリンクを用意し、テーブルに置く。お悩み相談の始まりだ。
「最近の主は人使いが荒くて大変です」
「時々道具扱いされます。これは基本的人権の侵害に当たるのではないでしょうか」
「そういう場合は、基本的人権侵害という内容で裁判所にでも訴えてこい」
「その裁判所が主の手中で、殆ど機能してなかったらどうするんですか?」
「脱走か反逆だな」
2つの質問にあっさり即答、しかもエゲツないことも平気で言ってくれる…恐ろしい男。
「う、う〜ん……頭痛い…」
そんな中、フルボッコにされたルカイが復活。タイマーによって「特等席」へ直行。
「なんだ、起きてたのか」
「寝たのかと思ったぜ」
「誰のせいだと思ってるんですか、誰の」
「まぁまぁ、同じ悩みを持つ者同士、この際だから一緒に聞いていけ」
特等席、それはチェストと丁度真正面。即ち、イヤでもダイレクトに話せる席なのだ。
諸々討論を続けて数十分…。
「さて、結論だが……選択肢は2つ。主に従い続けるか、離反するか。俺は強制しないぜ。タイマーのように、自分の意志で選ぶんだ」
かつて、自らの意思でヘイムから離反したタイマー。離反の証として騎士団のマークを消した彼にとって、ヘイムは忌まわしき存在。
憎しみとまではいかないが、ついていこうとも思わない。そんな状況下で、彼は離反を選んだ。
このお悩み相談に参加した3人の騎士団員が、従うか離反か、どちらの道を選ぶかはまだ誰も分からない。そう、自分自身でさえも…。

(122.30.3.183).. 2007年12月06日 21:32   No.194018
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…70回       
さて、ある意味で恐ろしい「お悩み相談」があった一方で、アドベンチャーチームの隠し球であるランサーとズバーンは北区域の古代遺跡にいた。プレシャスに関する更なる情報を得る為だ。
「トラップはあらかた片づいたか、ズバーン」
「ズンズン」
ズバーンは言語能力こそ低いが、人語はしっかりと理解する。そしてこれは、後ほどこの遺跡で発見する機獣達にも言えることだ。
「なんだ、崖か」
通路を抜けた先は切り立った断崖絶壁。落ちてしまえばひとたまりもないだろう。
「よし、ズバーン。変形だ」
「ズバズバ」
胸部を回して足がそれぞれ左右に90度回転してつま先が倒れ、更に両腕が肘から曲がって収納、仕上げに冠部分を下げると変形完了。
変形した姿は黄金の剣である。ズバーンは単独飛行はできない上に結構重い。むしろ剣型になってもらった方が軽くてしかも簡単に持ち運びできるので効率的なのだ。
「さて、一気に飛びますか」
UIW(ウルテク・イオン・ウイング)ユニットを全開にし、崖を一気に飛び越える。
そして辿り着いたのは、意味ありげな配置で3体の何かが埋め込まれた畳4畳程度のスペース。
「へぇ、ズバーン以外にもやっぱあったのか、古代の遺産が。今切り抜いてやるからな」
ズバーンの剣撃で機獣達の周辺をなぞるように切る。そして余計な部分をサーチランスで丁寧に砕いていく。そして動けるだけのスペースを確保してやると、自然に機獣達が動き出した。
動き出すと同時に色が浮き上がり、詳しい全容が分かった。中央にあった1体は人型、左右の2体は筒型。それぞれが電子音で話しかけてきた。
「……ありがとうって言ってるのか。可愛いヤツらだな。俺はランサー、こっちはズバーン。ズバーン、変形して挨拶だ」
再び人型に変形し、ズバーンも彼らに挨拶する。何やら意気投合して遊び始めている間に、ランサーは3体の機獣について該当する情報が無いかどうか小型記録メカでチェック。
「……ツールロボ、プライヤーズか。面白そうな機能持ってるな。ダイボウケンに知らせてビックリさせてやるか」
そんなことを考えて特殊通信システムを作動させる。なにしろダイボウケンはドリラー達と5人で月光世界へ飛んだ為、通常の通信機では交信できないのだ。世界を股にかけるトレジャーハンターとして、通信システムは数種類持ち合わせているのがこの状況では幸いした。
「あーあー、こちらランサー、こちらランサー。ダイボウケン応答願う」
「こちらダイボウケン、どうしたランサー。何かいい情報でも手に入ったか?」
「情報どころか、プライヤーズっていう機獣発掘しちまったよ。ほら、以前お前が教えてくれた空間湾曲だか何だかの特殊ツール」
「ディメンジョンプライヤーか。それはいい。発掘してくれたところ済まないが、そのプライヤーズをこちらに送ってほしい。月光世界では必要になるかもしれないからな」
「まぁ、確かにこっち(辺境世界)じゃ必要ないツールだけどよ。そっち(月光世界)でも必要になるかどうか分からないだろ?」
「だからこそだ。必要かどうか分からないなら、取り敢えず持っていくのがいいと俺は思う。相手の情報が少ない今、少しでも多くの手段を持っていた方がいろいろお得だろうからな」
「そういうことなら送ってやるよ。ただし、俺達はまだこっちで続けさせてもらうぜ?」
「構わないさ」
プライヤーズを送り届けるべく、通信を切ったランサーはズバーンとプライヤーズを引き連れて、唯一の転送手段が存在する中央区域のセントラルタワーへ向かうことにした。

(221.184.252.213).. 2007年11月19日 05:09   No.194019
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…71回       
こんな時間にですが、おいていきます。プライヤーズとランサー&ズバーンのお話。

ダイボウケンから依頼を受け、プライヤーズを送り届けるべくセントラルタワーを目指すランサーとズバーン。セントラルタワーを目指す理由はただ一つ。月光世界へ転移する唯一の手段、最上階の泉を利用する為だ。
プライヤーズは短時間であれば飛行もできる。丁度、ロボットもののアクションゲームでブーストのようなゲージを消費して飛んでいるといった感じだ。つまり、飛行→着地→飛行を繰り返す。
その飛び方にも、プライヤーズ3機の個性が表れている。DP-C1は無難というか普通の飛び方。着地もそれ程ポーズなどにはこだわらない。対してDP-R2はポーズを決めつつ飛ぶ。着地にもカッコよさを求めている様子。そしてDP-L3はというと、水があれば落ちる。箱か何かがあればその上に落ちて壊す。坂があれば頭からぶつける。どうもバランス感覚に問題があるようだ。飛び出す時だって、周辺の縄やツタに足などを引っかけて落っこちるくらいなのだ。相当のドジである。
「……マジで大丈夫か?3番目…」
ランサーが不安になるのも無理はない。何度も落ちたりぶつけたりしているのに傷一つないのはある意味奇跡か。頑張る姿はある意味健気。

そんなこんなしている内に、とうとうセントラルタワーに辿り着いた。ヘイムが修復したのだろうか、以前ドリラーが開けた穴は塞がれている。破壊すれば警戒態勢に入ることは既に仲間からの情報で知っている。そこで、彼はズバーンを剣型に変形させ、持った状態で高速回転。穴を掘って、隔壁などが無い地下から侵入するのだ。
最も手っ取り早いのは最上階へ直接飛んでいくことなのだが、コンクル・シオン無き今も迎撃システムは健在である為、即却下。
プライヤーズには後に続いてもらう形で、ランサーは穴掘り侵入を開始した。

(122.30.3.183).. 2007年12月10日 18:09   No.194020
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…72回       
「…ようし、これで開通だな。あとは…」
見事に警戒システムをすり抜け、地下から1階へ侵入することに成功したランサーご一行。ちなみに、穴から出たときの着地でDP-L3がコケたのは言うまでもあるまい。
「…このタワーの警備員に変装するか」
あくまでプライヤーズを月光世界のダイボウケンに送るのが目的。今回は戦闘は全て不要である。万が一プライヤーズが損傷してしまっては元も子もないからだ。
幸い、自分以外は変形させて持ち物の一つとして認識してもらうことができる。ズバーンは玩具だと、プライヤーズは大型作業用のスパナだと言えば大体通じる。
「んじゃ、泉での検査をパスするまでは静かにしててくれよ。特にプライヤーズは大事な贈り物だから、大人しくしててくれ」
変装用の服と帽子は用意している。ズバーンとスパナ形態のプライヤーズはそれぞれ布を巻いて運ぶ。言い訳の一つとして利用するのだ。平和ボケしている故にかなり曖昧な検査基準なのだ。
プライヤーズはスパナ形態に直列合体、ズバーンは剣型に変形してもらい、布を巻いて服と帽子を着用して準備完了。
「さてと、宅急便といきますか」
変装したランサーは、上手く警備員の検査をパスして最上階へ直行。泉の警備をしているメデュールと出会った。

「すいませーん、月光世界への宅急便です」
「よし、入れ」
ヘイムはルカイ、ボマー、チックを回収するべく留守にしているらしく、泉はメデュール1人が見張っていた。自分で「どっかいけ」と言ったのに自分で回収しようとする辺り、昔も勝手な生活を送っていたのだろう。そう思っていたメデュールは、客人と彼女が対面しないことが幸いだと思えてしまう自分が怖かった。

「確認するが、本当に宅急便だな?私は他の平和ボケしている警備員とは違うぞ」
「大丈夫ですって。なんなら見ますか?中身」
「拝見させてもらおうか」
プライヤーズは、ランサーの言いつけ通りスパナ形態で大人しくしている。動く様子もなく、古代の遺産とバレる心配はなさそうだ。メデュールはプライヤーズのことを知らないようである。
「ふむ…、随分とデカイが、確かにスパナだ。珍しいタイプもあるのだな」
「流通ルートが限られていて入手困難の特別品。月光世界に進出している機械工業の方で必要みたいなんですよ」
「なるほど…。珍しい形ではあるが確かにスパナであるし、さほど問題もなさそうだ。泉を使うことを許可しよう」
邪魔になるまいと、メデュールは1つ下の階に降りていった。ランサーにとっては好都合。
「しめしめ…、まんまと騙されたぜ。泉なのに半分機械仕掛けなのが不思議だよな、コレ」
周辺の装置を使い、転移先の座標をダイボウケン達の位置に合わせ…。
「じゃあなプライヤーズ。向こうでも元気でな」
プライヤーズをスパナ形態のまま泉に放り込み、別れの挨拶をした。その傍では、いつの間にか人型に変形していたズバーンが同じようにプライヤーズを見送っていた。

というわけで、プライヤーズはめでたく月光世界へ。彼らはダイボウケンの元へ転移した後、セイガ達に送られるというストーリー設定です。
ディメンジョンプライヤー使用の場面は、こちらで書かせてもらうことになるかもしれません。
ブログにも書きましたが、プライヤーズはスパナ形態になることで飛行・突撃が可能。この突撃で相手にダメージを与えることもできます。今回はランサーからの指示で直列合体しましたが、戦闘中は自分達の意思で直列合体することもあります。

(122.30.3.183).. 2007年12月10日 19:49   No.194021
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…80回       
どんだけ放置していたのか分からない状況になってしまいました。申し訳ないです;
とりあえず3枚ほど貼っておきます。


スターリィとセイガが戦った後の夜。
セイナは川の辺にただ一人、座り込んでいた。
そして、一つ溜息を吐くと膝に顔を埋めた。
『何故なの・・・?私は彼のように変わる事は出来ないの?』
俯いたままその瞳に涙が溢れ、瞳の奥が熱くなった。
その時、後ろから声が聞こえた。
「セイナじゃないか。何してるんだよ。風引くぞ?」
と。
振り向くとそこにスターリィがいた。手にはコートを持っている。
セイナは急ぐように涙を拭うと、スターリィに聞いた。
―何故そこまで変われたのか。如何したら彼のようになれるか―と。
セイナは元々戦いが―血を見るのが好きでは無いのだ。
ゆっくり彼が微笑むと、セイナにコートを着せ、横に座った。
「セイナは戦っているとき、『誰かを追い抜きたい』とか、『この人と共に行きたい』って思ったことあるか?」
セイナは首を振った。自分が思ったのは変わろうとしたことだった。
スターリィは苦笑すると、
「じゃあ、どうして変わろうと思ったんだ?」
と尋ねた。セイナは少し恥ずかしげに、
「スターリィが羨ましかったの。そこまで変われるって言う事が。・・・だから、私も変わりたい!皆の役にたてるように!」
声を張って言った言葉に、彼は納得したようだ。
「特別に誰かを追い越そうって思っているわけじゃないんだな。でもな・・・。」
そう言うと頬を少し赤らめ、セイナの方を向いた。
「お前は十分皆と一緒に戦う力もあるじゃないか。ただ、戦いたくないって心がその力を押さえ込んでいるんだ。」
スターリィは黙って聞いている彼女の頭を撫でると、
「お前が戦いたくないっていうその思いが無くなれば、もっと強くなれる!その時には・・・きっと俺以上の力を持っているかもな。」
と言い、微笑んだ。
つられる様にセイナも笑い、「有難う。」と告げた。
そう告げた彼女の一言は、スターリィの『想い』と言う物を擽らせた。

(220.213.100.118).. 2007年12月22日 23:48   No.194022
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…82回       

次の日には、流星族の住民とショウセイで作戦を考えていた。
しかし、あまりのつまらなさのせいか、セイショウは途中で抜け出してきてしまったようだ。
その日の夕方。住民達は自分の場所に戻っていったが、セイショウはずっと暇そうだった。
「はぁ〜。やっぱ作戦役ってつまらね〜・・・。こうしてるなら剣術稽古してもらった方が良いっての・・・。」
もう一度溜息を吐くと、鞘から木刀を抜き払った。
その様子を見ていたセイガとセイナは、「しっかり作戦を立てなくては駄目だ」とは言ったが聞いてはくれなかった。
するとそこにスターリィがやって来、セイショウを見た。
「如何した?暇なのか?」
そう尋ねると、素直に彼は頷いた。
スターリィは「そうか」と言うと、セイショウの頭を撫でた。
そして何処かへ行ったと思うと、戻ってきた時には一振りの木刀を持ってきた。
「そんなに暇で剣術稽古してもらいたいなら、俺がやろうか?」
木刀を軽く振りながら彼は言うと、セイショウの暗かった顔はぱっと輝いた。
「本当か!?やった!!」
スターリィはそんなセイショウの様子を見て、
「でもな、その代わり大事な作戦会議中に抜け出したりすんなよ?」
と言うと、セイショウは一瞬がっくりした表情になったが、頷いてくれた。
「よーし。じゃあ、木刀抜きな。ギルガメシュ流剣術なんて出来る人は少なすぎるんだからな。しっかり覚えろよ?」
「うん!分かった!」
そう言うと剣を抜き、スターリィの動きやアドバイスをしっかり聞き、剣術指南を受けた。

「準備は出来ているな?」
ネヴィアは後ろに控えた5人に問いかけた。
全員が頷き返す。
「必ずや、奴を倒して戻ってくる。」
「ま、楽勝な事だけどな!」
仮面を付けた青年と、荒っぽい声を上げた青年が返事返す。
「世界は我の手中にあれ!」
そうネヴィアが言うと、5人は一斉に空間転移術を使い、それぞれの場所に移動した。
部屋に一人、ネヴィアだけが残された。
その時、扉の開いた音と共に、一人の兵が駆け込んできた。
「欠片を見つけました。後・・・これはシャハル様が持っていた物です。」
そう言うと、彼の手に2つの欠片を差し出した。
「ほう・・・。まさかシャハルまで持っていたとはな。―ご苦労だ。下がれ。」
「はっ。」
ネヴィアは兵に言うと、兵は颯爽と部屋を出た。
「後一つだ・・・。見ていろ、4部族の王よ。私がこの世界を手中に収める日は近い・・・!」
彼の哄笑は、部屋全体に響き渡った。

(220.213.100.118).. 2007年12月23日 00:12   No.194023
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…82回       

あれから1日1回という回数でセイショウは稽古を受け、そして作戦役もこなしていた。
「有難なスターリィ。お前が稽古を受けさせてなかったら今頃どうなっていたか・・・。」
セイガは苦笑して言うと、スターリィは微笑み、
「いいって事よ。それに、実戦とか稽古は大事だろ?」
と言ってみせた。
するとセイガは昔の事を思い出した。

―澄み切った空。セイガはその空の下で、父から稽古を受けていた。
セイガの5歳の頃だった。
1回目の戦乱の後であったが、父は構わず彼に剣術を教えてくれた。父は2回目の戦乱で命を落としたが、その頃は今も覚えている。
「父さん〜。この形ってどうやったら出来るのかさっぱりだよぉ〜・・・。」
頭の中にはあの頃の声までもが蘇ってきた。
「大丈夫だセイガ。己を信じろ。お前なら出来る。ほら、父さんをしっかり見るんだ。」
「うん!頑張る!」
そう言うと再び剣術指南を続けた―

「如何した?セイガ?」
スターリィがぼーっと空を眺めたセイガに尋ねた。
その声に我に返ったセイガは、
「あ、いや・・・俺の5歳の頃父さんとの剣術稽古を思い出してな。」
と、懐かしげに言った。
セイガが父の事を話すなんて久々の事だ。
いつもの彼なら、
『父さんの事を話すと、あの頃が戻ってこないかなって、過去に帰りたくなるんだ。―戻れるわけないのにな。』
と、苦笑して言うのだった。
スターリィには分かった。
セイガは確実に成長し、強くなっている。力も、そして心も。
「父さんか・・・俺、実は父さんに会ったんだ。」
気づけばスターリィの口からそんな言葉が出てきていた。
「え?・・・お前の父さんって確か・・・」
「ああ、この世にはもういないさ。でも、俺が出会ったのは―父さんの幻影だ。」
「なっ・・・!」
セイガは信じられないと言いたげな目だった。確かにそんな事は信じられるわけがない。
「この魔剣、魔石をくれたのも父さんの幻影さ。その代償に、もう父さんには会えなくなったけどな・・・。」
セイガは彼の剣を見た。柄の形も何もかもこの世を探しても何処にも無さそうなデザインだ。
それを与えたのが彼の父の幻影だと言う事が羨ましく思った。
セイガが流星剣を手にしたのは、まさに父の死の瞬間―死際だったからだ。
たとえ幻影だろうが、血に塗れ、渡した瞬間崩れるように亡くなるより、ただ笑顔で、傷一つない笑顔で渡してくれる方がどれほど幸せに思えるだろうか―
だがセイガは不幸には思わなかった。
この剣を授からなければ、今頃父の敵など考えた事も無かったかもしれない。
いや、寧ろ父をなくした悲しみで自害していたかも知れない。
『父さん。今頃だけど・・・有難う。』
セイガは柄に優しく触れながら心でそう唱えると、スターリィに「戻ろう」と声をかけ、部屋に戻っていった。
その背中は今まで以上に強く、逞しいオーラと言う物を感じた。

(220.213.100.118).. 2007年12月23日 00:26   No.194024
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…73回       
ブログ見ました。吹奏楽お疲れ様です。
プライヤーズがセイガに譲渡されるまでのお話。

月光世界、中天島。その東部で、ダイボウケンが空を見上げていた。
「…来たか」
ダイボウケンの上空から降ってくる、大きな円筒状の物体が落ちてくるのを待つ。そして、それはダイボウケンの目の前に降ってきた。高速回転しながら。
着地すると、それは3体のロボに分離した。辺境世界から転移してきたプライヤーズである。
「プライヤーズ、これから、お前達を新たな主の下に案内しよう。一緒に来るがいい」
プライヤーズを引き連れ、流星族の統治領域へと向かっていった。

現在、アドベンチャーチームは分割状態にある。セイガ達を運んだ後、流天使達は中天島に潜伏しての情報収集。アドベンチャーチームは、東西南北の四方に別れ、部族王達への攻撃を目的とした不審者が現れれば、部族王のもとへ急行し連絡・援護を行うことにしている。北はショベラーとミキラー、南は新たに加わったジェッター、西はクレーラーとドリラー、そして東はダイボウケンという割り当てになっている。
そして、中天島からの転移反応が感知され、各方面で警戒を強めるよう申告している頃だろう。ダイボウケンだけは、プライヤーズの到着を待つ為に遅れているが。

「人を強くする要因には、敗北や挫折もある。成長した様を見せてもらいたいものだな」
ダイボウケンも心のどこかで信じている。部族王達が、これまでの敗北をバネに更に成長していることを。だからこそ、プライヤーズの到着を余裕で待っていられたし、特に慌てる素振りもなかった。強き心ならば、敗北を更なる強さの礎に変えることもできるというのが彼の理論だ。

(122.30.3.183).. 2007年12月23日 06:17   No.194025
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…74回       
流星族統治領域。その西側の野を、分離して5つのビークルになっているダイボウケンが駆ける。それにプライヤーズがジャンプと着地を繰り返しながらついていく。…やはり、DP-L3はコケまくりだが。スパナ形態から分離したときにもコケた彼(?)のバランス感覚の問題は、ある意味致命的かもしれない。平野なので被害が出ていないのが不幸中の幸いだ。コケまくりなのにちゃんと他の2機と共についてきているのが、ダイボウケンには不思議に思えてならなかった。おそらく、直列合体時にはスラスターの役目を担う故に、推進力はプライヤーズ随一だからなのだろう。
そうこうしている内に、流星族の宮殿、おそらくセイガがいるであろう場所に辿り着いた。モンスターの襲撃を警戒し、わざわざ平野だけを駆け抜ける迂回ルートを通った結果、平野から直接宮殿に向かうことになったのだ。

門番に挨拶し、用件を伝え、宮殿に入る。ここに至るまでには、翌日の朝になっていた。迂回ルートを通ることで、時間を浪費した為である。
「直接渡したい」と言って、セイガの部下達には下がってもらった。理由は渡すだけではなく、セイガに伝えておきたい敵襲と思しきものがあるからだ。予想が正しければ、それは敵が差し向けた刺客。それもネヴィア辺りの直属幹部。本気でネヴィアがセイガ達を消したいなら、自ら出ることはなくとも、それなりに強い者を差し向ける筈である。そうでもなければ合点がいかない。話す相手が一部族の王であることを覚悟しつつ、ダイボウケンはセイガの下へ向かった。

「プライヤーズ?」
「そう、辺境世界の古代遺産の1つだ。空間を湾曲、簡単に言えばねじ曲げる力を持っている」
「そんなものが、果たして必要なのか?」
「確かに、この世界の四部族では空間を曲げる者はいないだろうな。だが、相手はどこから来たともしれない異世界の存在。もしかしたら、空間をねじ曲げる力を持つ者もいるかもしれない」
改めて、ネヴィアという存在の脅威を思い知るセイガ。考えてみれば、ネヴィアは月光世界の住人でなければ辺境世界の住人とも違う。まさに異世界の、未知の存在である。
「更に、こちらは相手の情報がまだ少ない。そんな中で、手段を限定することは時として命取りとなる。できる限り、多くの手段を持っていた方がいいと思う。そこで、プライヤーズを辺境世界から転移させてもらったんだ。彼らは、空間湾曲の他、スパナ形態への直列合体による突撃もできる。少なくとも完全な役立たずにはならないと思うぞ。それと…」
そして、例の刺客の件を話した。「まだ確定はできないが」と付け加えるが、それでも警戒するには十分な魔力反応があったことは事実である。
「そうか、警告に感謝するよ」
「必要かどうかは分からないが、プライヤーズを近くに置いておけ。相手は知らないだろうし、いざとなればお前のピンチを救ってくれるかもしれない。俺は宮殿の外で警戒に当たる。」
「人語は話せないが、理解はできるから安心しろ」と付け加え、プライヤーズをセイガに託し、宮殿から出ていくダイボウケン。その後、プライヤーズは「頑張ろう」とでも言うように、セイガに電子音で話しかけてきたのだった。

(122.30.3.183).. 2007年12月23日 06:50   No.194026
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…83回       
今年も今日で最後!
明日は忙しくなりそうなので、今貼っておきますねw


「ふーん・・・プライヤーズか・・・。」
嘗め回すようにセイガはダイボウケンから貰った3機をじっくりと見る。
その様子を首を傾げたように電子音で返してくる。
「可愛いじゃない。―電子音が分からないと駄目だけど・・・。」
確かにセイナの言う通り、電子音で話すという所は可愛らしい。
しかしその電子音が理解できなければ会話も難しい。
こちらの言葉を理解できるという事が幸いの事である。
「誰か理解できる人がいればなぁ・・・。」
セイガはそう思い、とりあえず皆に集合をかけた。

「電子音か・・・。流石にそいつは理解できそうに無いや。」
何人かに聞いては見たがやはり分からず、最後に聞いてみたスターリィの返答がこれだった。
皆を挟んで真ん中にいるプライヤーズはさっきから黙ってはいるが、セイガが「何か話してごらん」というと、了解したというように電子音で話している。
「じゃー、俺が電子音っぽく話してみるか!」
セイランが面白そうに話しかけてみる。
「えっと・・・○☆×#刀刀普吹「?」
確かに電子音の様には聞こえない気もしないが、傍から見れば変人だ。
「ピー?」
3機は全く分からないと言うように、電子音で返してくる。
やはり話はこちらからかけないとならないようだ。
「ダイボウケンの言った通り、やっぱ近くにおいておいた方が安心かもな。」
そう言うとセイガは3機を撫でてやった。
すると喜ぶように電子音が返ってきた。

「此処が流星族か。―お前たち!ついて来い!」
仮面を付けた青年が多くの鬼を連れて流星族に向かっている。
そして彼は小さな魔石を取り出すと、ネヴィアに通信を繋いだ。
「ネヴィア様、流星族付近に到達しました。もう暫くしたら付く予定です。」
そう呼びかけると、魔石からネヴィアの声が聞こえてきた。
「よかろう。作戦はお前に任せる。奇襲でも何でもするがよい。」
そういったのを聞き、彼は返事をすると通信を切った。
流星族に危機が迫っていた―

(220.213.100.84).. 2007年12月31日 16:59   No.194027
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…84回       
ついにソウル達の登場!
此処から面白くなってきますよw


真昼―暗黒雲のせいではっきりとはしないが―流星族に鐘の音が響いた。
警報の鐘である。
「流星族付近に黒い影を発見!此方に向かってくるぞ!!」
一般住人で鐘を鳴らす役目の男がそう言いながら鐘を叩き続ける。
暫くするとその影が住民のいる所へやってきた。
門番は―恐らく倒されてしまったのだろう。
すると爆音が聞こえてきた。
セイガ達は外へ出ると、民家は無残にも燃えていた。
「―出て来い!流星族の王よ!」
セイガは自分が呼ばれた事に気づくと、その声がした所へ皆と向かっていった。
自然と手は剣の柄を握っている。いつでも抜く事が出来るようにである。
「お前!そこで何をしている!」
セイガは揺らぐ炎の隙間から見えた青年に声をかけた。
周りには、その男の見方であろう者も沢山いる。
「お前が流星王セイガ・・・か。面白いな。」
セイガと同じような声が聞こえてき、青年は振り返った。
セイガと同じようなデザインの服だが、赤いスカーフではなく、白いスカーフである。
髪の毛の色も撥ね方も同じようだ。顔は―仮面を付けていてよく分からない。
「お前は何者だ!?」
青年はふっと笑うと、
「俺はネヴィア様率いる闇月族の将軍、魂吸者ソウル!ネヴィア様の目的を全うする為、貴様を、流星族を葬りにきた!」
と、堂々と名乗ると、柄を握り、剣を引き抜いた。
―刀身が漆黒の、見えるように殺気を放った魔剣だった。
その剣を高く掲げると、
「お前たち!時は来た!今こそ流星族を滅ぼせ!!」
と言うと、彼の元に控えていた3色の鬼、一人の男が此方に向かってきた!
「セイガ!雑魚共は僕たちに任せろ。ソウルはお前が倒すんだ!」
リンセイはそう言うと、皆と共に鬼―黒青鬼、黒赤鬼、黒黄鬼に向かっていった。
スターリィはソウルの近くにいた男に肉薄し、切りつけた。
「やぁ、ギルガメシュ家の居残りさん。ボクはキラー。せいぜい戦いを楽しもうよ。」
怪しい雰囲気を振りまいた彼は、手にした剣で、スターリィの剣を弾き返した。
「俺のことを知っているなら話は早い。父さんの仇、此処で討たせて貰う!」
ソウルの近くで彼らは剣を振るった。
「此処で突っ立っているのも面白くない。さぁ、始めようか・・・。」
ソウルは剣を構えると、セイガに向かって走り出した。

(220.213.100.84).. 2007年12月31日 17:19   No.194028
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…75回       
あけましておめでとうございます!
今年も頑張っていきましょう!
今回は辺境世界で起き始める異変の序章。

チェストとの(不吉な)お悩み相談を終えたルカイ、ボマー、チックは、セントラルタワーへ戻るべく動いていた……が、ヘイムにどつかれるのが怖いのか、所々で寄り道している。今も、セントラルタワーの傍にある商店街で寄り道しまくっているところだ。
「…正直、戻りたくねぇな…」
「ていうかそもそも、追い出されたんだよな俺ら」
「僕も、戻ったら戻ったでどうなるか分かったものじゃないですし…」
寄り道しまくる理由は、ボマー、チック、ルカイの順にこんな感じであった。この商店街はセントラルタワーをぐるっと囲む感じで存在しているので、ルカイ達は延々とセントラルタワーの周りを回っていることになる。
「どうするよ、マジで」
「どうするって言われてもなぁ」
「戻れば死亡フラグ確定ですし」
チックが今後の方針、ひとまず戻るか否かを考えるが、ボマーもルカイも名案は出ず。何しろ相手はワガママ令嬢モード間違いなしのヘイムだ。こんなときに戻ったら、自分達はどうなるか分かったものではない。だが帰る場所がセントラルタワー以外にあるわけでもなく、かといってどこかに居候するというのも気が引ける。どうしようどうしようと考えこまねいている内に、商店街の裏道にある情報屋付近に迷い込んでいた。
「アレ?俺らって、もしかして迷子?」
「ここ知らねぇぞ」
「僕も……」
そして出た言葉はただ1つ。
『………しまったあああああああぁぁ!!!』
3人の絶叫が、商店街の裏道にて轟いた。

一方、その3人を探すヘイム及びメデュール。商店街付近ともなれば魔力探知も通るようになったらしく、メデュールはタワーから出かけようとしたが、そこをヘイムに止められる。
「あの3人を見つけたら、こう伝えて。『留守にしていた代償は高くつくわよ』って」
「……………………了解した……」
ここに戻ってきた3人の末路が目に浮かぶようで、メデュールは内心、3人に同情せざるをえなかった。そして、商店街へと赴いた。

(124.98.255.140).. 2008年01月01日 08:23   No.194029
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…76回       
続き。

「ようやく見つけたぞ、お前達!」
『め、メデュール様ああぁぁぁ!!?』
迷子になってからというもの、ボマー、チック、ルカイの3人はエンドレスパニック状態だ。
「まずは落ち着けお前達。……ヘイム様を恐れる理由は心の底から分かるが、だからといってここで永遠に迷子というわけにもいかんだろう」
「それは、そうなんですけど…」
ルカイの応答から考えても、明らかに怯えている。迷子とは到底関係ない別な意味でだ。ヘイムからの伝言はあるが、ひとまず3人に尋ねた。
「…分かってはいるが、取り敢えず聞く。今戻ると何かあるのか?」
『死亡フラグ200%成立!!!』
「そこだけ元気になるな!!」
思わず粛清の魔弾をお見舞いしたくなったが、ヘイムからの「不吉」な伝言から考えれば同情の余地は少しはある…かもしれない。取り敢えず、ヘイムからの伝言を伝えることにした。
「お前達、ヘイム様からの伝言だ。『留守にしていた代償は高くつくわよ』とのことだ」
『矛盾星人めぇぇぇええええ!!』
自身の意思で勝手に脱走したルカイはともかく、ボマーとチックにとっては心外だ。何しろ役立たずと言って追い出したのはヘイム自身なのだ。当然抗議の声(絶叫)が上がる。
取り敢えず連れ戻さなければ話にならない為、頑なに拒否する3人を魔力で捕縛し、セントラルタワーへ強制連行することにした。
「……?気のせいか…」
連行する直前、何やら人影のようなものが見えたが、今はそれどころではない。三人寄れば文殊の知恵とばかりに3人の抵抗力が強い為、迂闊に目を離すと逃げられる可能性があるからだ。さっさと「後始末」を済ませる為、メデュールは商店街を後にした。

「……虹の騎士団…。少なくとも、主への忠誠心は薄そうだな…。三銃士とは大違いだな。隠し球があるとも思えるが…まぁいい」
メデュールが見た人影は1人呟き、3人が迷い込んだ近くの情報屋へと入っていった。
メデュール達は勿論ヘイムも知らないが、その情報屋では、どこから手に入れたのか得体の知れない「裏情報」が取り引きされている。お金だったり依頼の報酬だったりと様々だが、中には無料のものもあるという。その男は時には依頼をこなしつつ、無料裏情報を中心にあさっていた。
情報屋の中はまるでドリンクバーだ。そのマスターが男に声をかけた。
「よう旦那、また仕入れですかい?」
「うむ、あるチャンスを掴む為にも、ここの情報は大いに役立っている。マスター、今日はいいもの入ってないか?」
「……ふふふ、無料裏情報の中でも最高級のものを差し上げましょう…。役に立つか否かまでは、保証しかねますがね」
「裏情報などそういうものだ、もらおう。」
そしてマスターは、下の方から1つのトランクケースを取り出し、男の前で開けた…。

(124.98.255.140).. 2008年01月01日 08:54   No.194030
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…85回       
明けましておめでとう御座います!
今年こそ頑張って更新して以降と思うんで、よろしくお願いしま〜すっ!

「俺も負けられないんだ!絶対にお前を倒す!」
思い切り振りかかって来た剣を、セイガは剣の平らな部分で弾き返す。
黒と白、対称の光が散る!
「行くぞ!降連流星弾(コウレンリュウセイダン)!!」
以前コンクル・シオンと戦ったときと同じ技だが、前とは格段と威力が違う。
先制を取ったのはセイガかと思われたが、
「無駄だ!幻魔降竜弾(ゲンマコウリュウダン)!!」
ソウルはセイガと似たような構えを取ると、龍にも似た気を、剣から発した!
二つの力は互いに押し合い、相殺した。
「何っ!?」
セイガに焦りが浮かぶ。
『それなら切りかかるしかっ―!』
セイガは一気に切りかかった。
ソウルもそれを分かっていたかのように弾き返した。
お互いの力は五分のようだ。
「くらえっ!!」
「まだだっ!」
セイガは次々と切り、切り、切り続ける。
しかしソウルはそれを剣で弾き、弾き、弾き返す。
互いに一歩も譲らぬ状況だ。

一方、スターリィ達は、それぞれの敵と奮闘している所だった。
「うおおっ!牙龍旋空刃(ガリョウセンクウジン)!!」
「あははっ!やるねぇ。だけどそんな攻撃じゃボクは倒せないよっ!」
スターリィは剣を振るうが、キラーに避けられてしまう。
それどころかキラーは自分の周りにある空間から無数の腕を呼び出し、さらに自らが持った剣で攻撃を仕掛けてくる。
「くっ!これじゃあ隙が無い!」
相手は他方からの連続攻撃。それに対してスターリィは剣一本で他方からの攻撃を守るのに手一杯だ。
「如何したんだい?もう限界かな〜?」
余裕の笑みを浮かべてキラーは次々と攻撃を仕掛けてくる。
スターリィの状況は劣勢かと思われた。が、
「―氷凍(ヒョウトウ)!」
冷気を放った矢がキラーの頬を掠め、流れた血を凍りつかせたのだ!
「セイハ!」
スターリィの目の先にいたのは彼だった。
黒赤鬼達と戦っている所を抜け出し、スターリィに加勢するという作戦にしたのだ。
無論、ガンセイ達は黒赤鬼達と戦っている。
「さぁ行くぞスターリィ!」
セイハは纏めて弓を引き絞った。

(220.213.106.57).. 2008年01月01日 20:54   No.194031
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…86回       
「頼むぜ!スターリィ!セイハ!」
そう言いながらセイランは敵にブーメランを投げつけた。
孤を描く様にブーメランが飛び、その横を矢が飛び交った。
「いけぇっ!烈破(レッパ)!!」
キュウセイがセイハ直々の修行で得た技を放つ。
矢は地面に突き刺さったかと思いきや、矢が破裂したように光り、大地を吹き飛ばした!
「その身に受けろ!獅吼爆破(シコウバクハ)!!」
「天より満ちし浄化の光り。我に刃向かいし者に裁きを!―シャイニング・ブライト!」
ガンセイの放った獅子に似た気が敵を押し潰し、セイナの魔術が敵を焼き尽くす。
「まだまだっ!ブレイズスラスト!」
セイランが戻ってきたブーメランを器用にもう一度人差し指だけで回転させると、そのまま投げつけた。
高速回転し、次々と敵を切り裂くブーメランの脇をリンセイが走り抜ける。
「くらえ!斬魔滅破剣(ザンマメッパケン)!!」
リンセイの長剣と短剣からの高速切りが敵を次々と引き裂いている。
だが、そう簡単にも戦いは終わるものではなかった。
「くそっ!数が半端じゃない!」
拳を硬く握り、キュウセイが言った。
流星族はピンチに陥ってしまったも同然であった。
しかしその時だった!
「ピーッ!!」
聞き覚えのある電子音がしたと思うと、プライヤーズの3機が突撃し、相手を吹き飛ばしてくれたのだ。
DP-C1、DP-R2は綺麗に着地するも、DP-L3の1機だけはコケてはいたが、特に壊れる事も無かったようだ。
さらに3機が一斉に電子音を発したと思ったら、突然直列合体を行った!
3機が合体を終えるとディメンジョンプライヤーという姿になり、次々と敵を薙ぎ倒していった。
「強えぇ・・・。」
全員唖然としていたが、戦況を思い出し、すぐに敵に向かっていった。

(220.213.106.57).. 2008年01月01日 21:30   No.194032
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…87回       
「うおぉぉっ!!」
「まだだっ!!」
セイガとソウルは互いに技も出さず、ただただ剣を振るっていた。
振っては弾かれ、振っては弾かれと、戦況は一進一退の状況だった。
「こうなったら―でやっ!!」
セイガは相手の振ってきた剣を思い切り弾くとバックステップで後退し、技の構えを見せた。
「新たなる力!見てみろ!―流星・聖牙斬(リュウセイ・セイガザン)!!」
腰溜めに剣を構え、セイガは駆けた。
魔剣から放たれた強力な魔力がセイガを包み込み、セイガが流星の様な光を放って、ソウルに突撃した!
セイガの走った後が黒く焦げ付いたその光は、普通の攻撃では弾き返される事はまず無かった。
「お前には分からないさ・・・。俺の存在がなっ!―黒龍・闇月斬(コクリュウ・アンゲツザン)!!」
セイガと同じように腰溜めに剣を構え走り出すと、ソウルの魔剣から魔力が放たれ、ソウルが1体の黒龍となり、セイガに突撃した!
ソウルが走った後は、黒い、闇の様な炎が舞った。
2つの光が激突すると、光と闇の間に激しい火花が散り始めた。
「この世界を統合するためにも俺は負けられないんだっ!」
「黙れ!俺だって・・・俺の存在に賭けて負けられないんだ!」
そう言うと2つの魔力はさらに力を増した!
間に光る火花も強く、激しく散っている。
火花が激しい光を放ったその刹那、火花は爆発するような光となり、両者を吹き飛ばした!
「うわっ!」
「くそっ!」
何とか体制を整えなおしたセイガはソウルを睨み付けた。
しかし、その目はみるみるうちに見開かれた。
ソウルの仮面は砕け散っていた。
しかしその素顔は、見た者全ての動きが凍りついたかのように動かなくなった。
「ウソだ・・・嘘だろっ!?」
セイガは驚き、悲鳴にも似た声を上げた。
その声、そして正体を見た敵すらも動きが止まった。
そしてセイナは震えた唇から、小さく、聞き取りにくいほど小さく言った。
「嘘でしょ・・・セイガが・・・2人?」
そう。ソウルの正体はセイガとそっくりだったのだ!
「違うな。俺はセイガであり、セイガではないんだ。」
ソウルは意味深な言葉を言うと、セイガを真っ直ぐ睨み付けた。
「言った筈だろ?俺はネヴィア様率いる闇月族の将軍。―俺はネヴィア様に作られたお前のレプリカ、普通なら存在してはならない存在なんだよ!」
セイガは驚くしかなかった。
ネヴィアがレプリカという名の技術を手にしている事、そして自分のレプリカを作り、自分と戦わせようとしたことを。
「じゃあお前が言った自分の存在を賭けた戦いってまさか・・・!」
「その通りだ!俺はお前を殺すことで自分の存在が認められるんだよ!」
その一言は、セイガの頭を打ち抜かれたような、そんな一言だった。

(220.213.106.57).. 2008年01月01日 22:08   No.194033
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…77回       
頑張っていきましょう!
ダイボウケンの密かなる奮闘と辺境世界での異変の序章パート2をお送りします。

無数の鬼達が暴れ回る中、ダイボウケンもまた奮闘していた。本来のメイン武装である轟轟剣(ごーごーけん)を携え、ひたすらに鬼達を切り捨てていた。機獣ゆえのタフさは伊達ではない。
「さすがに合体したままでは相手しきれないか…ならば!セパレート!」
セパレートとは分離のこと。大型ダンプ、フォーミュラーマシン、ジャイロマシン、ブルドーザー、潜水艇の5機のマシンに分離し、それぞれで攻撃。多くの鬼達を薙ぎ倒してゆく。
だが、さすがに鬼達も負け続けではない。攻撃を受け止め、弾き、追いつめてゆく。
「やるな。だが、まだまだだ!合体!」
5機のマシンが光に包まれ、ダンプを中心に1つに集まる。そして瞬く間にダイボウケンへと合体した。ダンプが胴体、頭部、脚部、フォーミュラが胸部装甲、ジャイロが背部装甲とメット、ブルドーザーが右腕、潜水艇が左腕を構成する合体機獣の真骨頂だ。更に、右腕にはスコップ型、左腕にはつるはし型の武器を持っている。それぞれゴースコッパー、ゴーピッカーと呼ばれ、この2つを組み合わせたものが轟轟剣である。
「まとめてくらえ!」
まずはゴーピッカーで地面を突く。すると、凄い勢いと速さで衝撃波が鬼達を襲う。間髪入れずゴースコッパーに交換、地面を掘ると、なんと前方の地面の一部がくり抜かれた。すくい上げる要領でその地面を投げ飛ばし、鬼達をまとめて生き埋めにする。これで、ダイボウケンを取り囲んでいた分の鬼達は全滅した。
「…数が多い分手こずったが、あとは宮殿付近だけか。プライヤーズも頑張っているようだな」
流星族のピンチに体を張って割り込んでいくプライヤーズの勇士は先程見た。単体突撃から直列合体によるスパナ形態での突撃で鬼達を薙ぎ倒す。
「……さすがは古代の遺産、か。眠りにつく前もあのように働き者だったかもしれないな」
プライヤーズの真骨頂、ペンチ型のディメンジョンプライヤーは誰かとコネクトし、空間を制する為に存在する。その真価を引き出すべく、ダイボウケンはプライヤーズやキュウセイ達が戦い続けているエリアへと駆けだした。

(124.98.255.140).. 2008年01月02日 07:40   No.194034
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…78回       
辺境世界の異変・序章パート2。

マスターが開けたトランクケースの中には、黄緑色に光り輝く物体があった。その形は、まるで何かの鍵のようだ。持つ部分は三角形を2つ上下逆に重ねたような形状をしている。
「マスター、これは?」
「これは、この世界のどこかに隠されているという、神々の憩いの場ともいわれる特別な泉に行く為の鍵です。意味ありげな輝きと形でしょう?」
男の問いに答えるマスター。更に説明を続ける。
「それと、この鍵には鍵穴と思しきものとの共鳴反応が起こるそうです。使う場所に近づけば近づく程、その輝きが増すというのです」
「ほう、探知機のようなものか」
ケースから手に取り、その鍵を見つめる男。どうやらこの情報は彼にとって「アタリ」らしい。マスターが更に続ける。
「ええ、その通りで。ただし、ある程度近づかないと共鳴しないそうですから、くれぐれもご注意ください。共鳴すると徐々に黄色に輝くとか」
「これは興味深いものを得た。マスター、毎度あんたの情報屋技術には参る」
「いえいえ、旦那のような積極的な利用者がいてこそですよ。ただし、くれぐれもこの鍵は悪用しないようにしてください。なんでも、この鍵を使って辿り着く泉には、この世界の万物の創世と抹消を司る大いなる神がいるそうですから」
ドリンク代とマスターへの敬意を払い、最後の警告を聞き、男は情報屋を後にした。

男は、鍵が光り始めたのを地下で確認した。辺境世界中央部の地下世界、固く閉ざされた大きな扉を前に、その鍵が明らかに強く黄色に輝いているのを心を振るわせながら見つめる男。
「……この奥に、万物の創世と抹消を司る大いなる神が……クククク…!」
扉の傍には、鍵と同じ形の穴が空いている台座が設置されている。その台座も、鍵と同じように黄色に、強く輝いている。
そう、この台座と鍵こそが情報屋のマスターが言っていた泉への道しるべだったのだ。男は躊躇わず鍵を台座にはめる。すると、轟音をたてながら扉がゆっくりと、凄い風を巻き起こしながら開いてゆく。その風で、男のローブと帽子がどこかへ飛んでいった。その男の正体は…
「ハハハハハハ!このコンクル・シオン、簡単には諦めんぞ!大いなる神の力を得て、今一度辺境世界の覇権を我が手中に収めてくれるっ!!」
誰もいない地下世界の中で、凄まじい風の音とコンクルの不吉な雄叫びのみが轟いていた。

(124.98.255.140).. 2008年01月02日 08:08   No.194035
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…88回       
頑張って更新すると言いながら20日ほど放置していましたね・・・。
申し訳ないです;
今回は少しグロが混ざっています。
心臓の弱い方又はグロが苦手な方はお控え下さいね。

頭が痛い。激痛が走っている。
相手は剣を振るっている、だが、自分は剣を弾き返す事が出来ない。
激痛に耐え、ただ襲ってくる剣を避け続けている。
「避けているばかりで勝てると思うなッ!―幻龍千刃(ゲンリュウセンハ)!」
避け続けてばかりのセイガにソウルの無数の突きが襲いかかる!
辛うじて避けたものの、服に掠め、破れた所から血が除いた。
『くっ、あいつは俺のレプリカだ!倒せるなら倒せる―でも・・・。』
自分と全く同じ者を倒せるわけが無い。そう思ってセイガは剣を振ることが出来ないのだ。
無論ソウルは自分の存在に賭け、剣を思い切り振ってくる。
それに彼は、ネヴィアの命令を果たさなければならないのだ。
此方にも勝たなければならないという思いはある。
この流星族と、暗黒雲を消す。それを果たすにはまずこの戦いを抜けなければならない。
『自分を殺すなんて・・・俺は・・・!俺は!!』
「うおおっ!!」
ソウルは剣を上から振ってきた。
セイガはそれを弾き返した。
「・・・!」
驚いた。
自分では出来ないと思っていた。
自分を殺すなんて―殺してしまうなんて―
なのに・・・なのに剣を弾き返した!
「うわああっ!!」
セイガは我武者羅と言えるほどに剣を振るった。振るい続けた。
それをソウルは驚いたように弾き返す。
「このおっ!」
「まだだっ!」
2人は剣を振り続ける。
光が飛び散る。
勝負はまだまだ分かりそうにも無い。
「剛破光刃(ゴウハコウジン)!」
「滅殺闇斬(メッサツアンザン)!」
両者が同時に上段から剣を振り下ろすと、地面が砕け、石が飛び散った。
鋭い石が頬を掠め浅く切っても、彼らは構わず剣を振り続けた。

「うおおっ!雷焦(ライショウ)!」
「数多の星々よ、流星となりて降り注げ!―メテオスター!」
セイハが弓を握り矢と共に雷撃を放った!
スターリィも魔術の詠唱を終わらせると空から流星を降らせた!
「ぐっ!」
セイハの弓を避ける事で手一杯だったキラーに流星が降り注ぐ。彼は仰け反った。
「まだまだっ!」
セイハが一気に肉薄すると彼の鳩尾に弓を押し付けた。
彼の口から血が噴出す。
彼の精神と腕は繋がっている為、彼の意識などが無い間は腕が飛び出すことは無い。
そして今はその状態に至っている。
スターリィは彼に近づくと、剣を振り上げた!
「これで・・・終わりだ!」
剣の刃を下にし、スターリィは彼の胸に深々と突き刺した!
「があぁぁっ!!」
刺した感覚がじわりと感じる。
胸から夥しい程の血が噴出する。
魔剣で貫かれたその体は焦げ付いていた。
そしてキラーは目を見開いたまま消えた。
「よし、セイナ達の所へ向かうぞ!」
スターリィは血の海の近くに転がり落ちた魔剣を拾うと、セイハに言った。

(220.213.117.146).. 2008年01月24日 00:06   No.194036
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…89回       
先程よりかは軽いですが、またもグロ注意です;


「消えてしまえっ!斬龍明刃(ザンリュウミョウジン)!」
リンセイが剣を振るうと、龍をも断ち切る勢いで敵を切り裂いた。
「神々の力、その身に受けよ。無慈悲なる者消え去れっ!―ゴッドランサー!」
扱うのが難しくその代わり広範囲を攻撃できるセイナの術が襲いかかる!
彼女を取り巻いていた敵やその衆へにいた敵も同時に消えた。
「くらえ!刃裂豪衝拳(ジンレツゴウショウケン)!」
「それっ!氷水(ヒョウスイ)!」
ガンセイの拳からの一撃と、冷気をまとった矢がキュウセイの弓から放たれる!
スターリィとセイハも駆けつけ、勝敗は見えてきた。
「スターリィ!来てくれたのね!」
セイナは喜ぶように言った。
「悪い!遅れをとった。さ、行くぞセイナ!」
「うん!」
スターリィが駆け出す。
その背中を見つめつつ、彼女は詠唱を始めた―

「受けよ!聖なる光!ホーリブレイム!」
「憎悪の魂、その身に受けろ!ダークレイブ!」
セイガが魔術を放ったと同時にソウルも術を放つ。
そのまま反映されたレプリカと言う事は、動きも全く同じに反映される。
そのため、2人の決着は未だつかず、剣技と魔術をぶつけ合っている。
セイガは剣を横薙ぎに振るった。
ソウルもそれを逆向きから振るい、弾き返した。
光と闇がぶつかり合い、2人の闘志もぶつかり合っている。
「受けろ雷!雷光連斬(ライコウレンザン)!」
「させるか!風裂爪翔(フウレツソウショウ)!」
セイガの魔剣から放った雷撃と、ソウルの魔剣から放った真空刃が押し合っている。
セイガは魔力を高め、雷撃は光を増した。
力は相殺したかと思われた。
だが、それは違った。
ソウルが傷を負っていた。
致命傷は無論遠すぎるほどだが、深手を負ってしまったようだ。
「ぐっ・・・。」
傷を抑えつつも彼は立ち上がり、剣を構えた。
「この一撃で決着をつけるぞ・・・。本気で来い!」
セイガは一瞬驚いたが、剣を構えた。
「ああ。分かった。お前も力を抜くなよっ!―」
2人の魔力が普段の倍程になった。
高まる魔力は見えるほどの激しいオーラを放ち、砂を舞い上げた。
『これで良いのか!?―いや。これで決めないと、俺は―!』
セイガとソウルは閉じた瞳を開くと、一瞬にして間合いを零にした!
「自分のためにも―ネヴィア様のためにも負けない!黒龍・闇月斬(コクリュウ・アンゲツザン)!!」
「俺も、この世界のためにも負けられないんだっ!流星・聖牙斬(リュウセイ・セイガザン)!!」
眩い光の槍と光も見えない漆黒の槍がぶつかり合う!
相殺かと思われた。が、
「俺はこの全ての為にも―負けられないっ!うおぉぉっ!!」
セイガの魔力が爆発するほどに増幅した!
そう見えた瞬間には漆黒の槍は薄れて消え、魔剣は刺した感覚を手に残し、深い傷を負わせた。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
肩で息をしなければならないほど疲れが溜まった。
セイガの後ろではソウルが鮮血を流し、崩れ落ちていた。

(220.213.117.146).. 2008年01月24日 00:21   No.194037
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…90回       
血を流し倒れているソウルを見、セイガの感情が爆発した。
「なんで・・・なんで同じ存在同士で戦わなければならないんだよ!」
ぐったりとしたソウルの体を抱き上げ、彼は言った。
「ふん・・・俺も・・・こんな事は・・・御免だったさ・・・」
口から溢れる鮮血を止めようともせず彼は言い続ける。
「俺はネヴィア様に・・・期待されていたんだ・・・。完全・・・同一体なんて・・・作れるわけが無い・・・からな・・・。」
セイナ達が駆け寄ってきた。周りを見れば夥しい数の敵はもういなくなっていた。
「スターリィ!こいつの・・・ソウルの傷を癒してやってくれ!」
自分でも何を言っているか分からなかった。
さっきまで敵として命の奪い合いを行っていた筈なのに―
スターリィは彼の傷を一瞥した。だがそれは、誰が見ても分かるほど―そう、致命傷だった。
彼は首を横に振った。
「何故無理なんだ!何とかならないのか!?」
セイガは襟首を掴む勢いで言った。
だが、スターリィの声は冷静だった。
「気功族の噂になっている聖女でも不可能だ。傷が深すぎる。」
「そんな・・・」
セイガは自分を呪いたくなった。
彼を血に塗らしたのは自分しかいない。
自分が止めを刺してしまったからだ。
「セイガ・・・俺はもう無理なんだよ・・・。初めから・・・決まっていた事なのにな・・・。」
ソウルは力を振り絞って声を出した。
確かに助かりそうには無い。
「やめろ・・・!もう話すんじゃない!」
セイガの目から大粒の涙が零れ落ちた。
だがソウルは笑って見せた。
セイガと全く区別のつけようが無い、全く同じの優しい笑みだった。
「ゴメンな・・・。俺も止めれば良かったのに・・・。セイガ・・・俺からの願いだ・・・。」
ソウルは息を吸い直すと、セイガを真っ直ぐに見つめた。
「ネヴィア様を・・・止めてくれ・・・。これが・・・俺の・・・願いだ・・・。後は・・・頼んだ・・・―」
ソウルの手が、力なく落ちた。
彼はセイガの腕に抱かれ、永遠に眠った。
「嘘だ!ソウル!目を開けろ!!」
セイガは彼の方を揺さぶった。
だが彼は目を開けることは無かった。
ソウルの体が薄れ始めたかと思うと、彼の体は虚空へと消え去った。
「ウソだろ・・・ソウル。」
空っぽになった腕の中を見つめ、セイガは涙を流し続けていた。
その時だった。
「セイガ!危ない!!」
セイナの声が聞こえたかと思うと、彼の背後に黒赤鬼が1体いた。
『しまった―!』
敵の金棒が頭上に振り落とされるのを見、彼は咄嗟に目を閉じた―

(220.213.117.146).. 2008年01月24日 00:58   No.194038
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…91回       

痛みを感じない。
あれだけの勢いで殴られた筈なのに。
死んだらきっと痛みも感じられないのだろうか―

そんな事を考えたセイガの頬に、生温い感覚が走った。
『!?』
感覚を感じる。生きている。
セイガは頬に当たった物が何だったのか、伏せた瞼をゆっくりと上げた。
見た光景は信じたくないものだった。
セイナの体が血塗れの状態で宙を舞っている―
「・・・!」
セイガの頬に当たったのは彼女の血だった。
拭ってみると、グローブが赤くなっていた。
「セイナ!」
どさりと荷が落ちたような音と共に、セイガは彼女に駆け寄った。
敵はスターリィが切り伏せたようだった。
跡形も無く消えた敵の隣では彼が剣を納め、此方に向かってきた。
そして、
「セイナ!しっかりするんだ!」
彼女を抱き上げた。
スターリィは彼女といた日々を突然のように思い出した―

いつも戦いが嫌いで、人に任せっきりだった。
その割には自分をよく引っ叩いていた。
実戦になったらあれだけ強力な魔術を使えるのに、隠れてしまうのが勿体無かった。
自分が仮面を外してからは、彼女の目は自分の方を向いていた。
川の辺で話していた、そんなこともあった。
彼女は自分の嫌いな戦いを克服しようと自分と話し合っていた時もあった。
先程の戦いの時、彼が来たときの彼女の嬉しそうな笑顔―
まるで、戦い嫌いを克服できたような笑顔だった。
自分はその笑顔を見れて嬉しかった。
だが、その眩しい笑顔が2度と見れなくなってしまう―
もっと先に言っておくべきだった。
「ずっと好きだった。」と―

(220.213.117.146).. 2008年01月24日 01:34   No.194039
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…79回       
コンクル・シオンが息を吹き返す話。
ユニバース初登場です。

扉が完全に開ききり、風と轟音が静まる。その先には、ただ1つ大きな穴があるだけだった。
「…それで騙しているつもりなのか?その穴が意味をご丁寧に物語っているぞ」
そう言うと、コンクルは迷わず穴へと飛び込んでいった。その奥には、淡い水色に輝く泉と、その泉に十字を描くような位置に浮かぶ足場が存在していた。部屋の照明器具は一切なく、その泉が放つ水色の光が唯一の灯りとなっている。
「噂には聞いていたが…。これが万物の泉か」
呟くと、どこからか声が聞こえてきた。
「見慣れない顔ですね、何者です?」
「他人に素性を尋ねるなら、まず自分が姿を見せるくらいはするのが礼儀であろう?」
「……いいでしょう」
どうやら声は泉の中から聞こえてくるようだ。そして、声の主は案の定、泉から現れた。クリーム色の髪に白と黒をメインとした服。胴と足を覆う部分もクリーム色。雰囲気からすると精霊ではあるが、他の精霊達とは違い、常に浮いている。おそらく浮遊能力を持っているのだろう。
「私は創源使ユニバース。この万物の泉を守る番人です。貴方は?」
「我が名はコンクル・シオン。落とされた辺境王の座を取り戻す為、力の手掛かりを探してここに辿り着いた者だ」
「っ!?」
ユニバースは思わず構えていた。力の手掛かりを探してきたということは、少なくとも得られた力を争いに使うことは明白だからだ。争いを人一倍嫌い、それ故に泉に近づける者を限定してきたユニバースは、「力」という単語に敏感だった。
「…『噂には聞いていた』と言っていましたね…。この泉がどういうものかご存じで?」
そうユニバースが尋ねると、コンクルは不吉な笑みを浮かべた。マスク越しなのでユニバースにはその表情は見えないのだが、その笑みと共に異様なオーラのようなものを放っていた。そのオーラを感じ取り、ユニバースは戦慄していた。
「クククク…。この万物の泉には、触れた者に古代の力を与えるという噂があるらしくてな…。調べてみたところ、どうもそれはガセネタではなさそうなのでな。泉に入らせてもらおう」
コンクルが泉へ飛び込もうとした時、ユニバースはそれを阻んだ。水色の瞳を大きく開いて、怒りをあらわにコンクルの前に立ち塞がる。
「……力を争いに利用するような者を、この泉に近づけるわけにはいきません!争いは争いしかもたらしません…。今すぐ、ここを出ていってもらいましょう!」
「そのような言い方で、我が身を引くとでも思っているのか?貴様がそういう姿勢ならば、こちらも相応の行動に移らせてもらう」
そう言い放つと、コンクルは彼女に向けて跳躍していた。拳を握りしめながら。

(124.98.255.140).. 2008年01月25日 03:58   No.194040
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…80回       
続き。ちょっとだけグロ…かな?

「…ジ・エンド・オブ・ユニバース」
「何っ!?」
対するユニバースは、たじろぐことなく唱えていた。万物の創世と抹消を司る精霊としての、「抹消」の必殺技を。すると、見る見るうちにコンクルの体が分解されていき、最後に残った彼のドス黒い魂が突如空間に開かれた穴へと吸い込まれていった。この穴はボイドと呼ばれる場所に通じており、魂だけとなった者には到底脱出できない閉鎖空間的世界なのだが…。
「……ぬぅおおおおおおおおおおお!!!!」
穴が閉じる瞬間に、おぞましい叫び声が泉の部屋を包み込んだ。もちろん、声の主はコンクルである。だがどういうことか、分解された筈の身体を持った状態で穴をこじ開けようとしているのだ。かつて数多の罪人を封印してきた、完璧だと信じていた技が破られる―。信じられない事態に、ユニバースはどうすることもできず…。
「……ぁあああああああああ!!!!!」
遂にこじ開けた―完全に技を破られ、ユニバースはその直後にクレーターを作る程の勢いで壁に叩きつけられていた。こじ開けた直後に放たれた、コンクルの拳の強烈な一撃によって。
「……かはっ…」
「…分解から魂の強制移動とは、やってくれるではないか…。だが、我には通じぬ!」
そう言うと、まだ壁から抜け出せないユニバースに素早く肉薄し、その腹に更に強烈な右ストレートをお見舞いした。壁に形成されていたクレーターは、更に大きく深くなった。ユニバースは、口から血を吐いて…完全に沈黙していた。
「創世と抹消と司るとはいえ、直接的な戦闘には殆ど対応できないド素人のようだな。まぁ、好都合だ。今の内に泉の力をいただくとしよう」
クレーターの奥深く、その中心に埋まっているユニバースから視線を反らす。その先には、当然泉があった。もう止める者はいない。ただ、泉に入ってその力を手に入れるだけ。泉の中央部へ飛び込み、すぐにその影響が出た。激しく身を震わせて、そして雄叫びを上げる。それから数秒後、泉から出てきたコンクルの体は入る前とは違っていた。肌の色が肌色から青紫に変色し、身に纏う鎧やら服やらも黒や紫を基調としたカラーリングに変貌。更に一部の鎧は刺々しくなっている。
「ククク…ハハハハ……このコンクル・シオン、今ここに返り咲いたりぃ!!」
ただならぬオーラを撒き散らし、コンクルは泉の足場の中央で高らかに、そして強く叫んでいた。まるで、自分を蹴落としたヘイムへの復讐と抹殺を心に、魂に、誓うかのように。
「……ダメ…っ」
なんとか意識を取り戻したのか、ユニバースはコンクルに向けて言うが、当然今のコンクルに届く筈もない。しかも、彼女の体はたった2回の拳によって殆ど動かなくなっていた。力と地位に対する執念が大いに込められた拳は、一撃でも凄まじいダメージになる。それを2回もくらったのだ。体が動く程の力など残っている筈もない。

そして、コンクルの執念に満ちあふれた雄叫びが響き渡る中、ユニバースは再び気を失い、クレーターの中央部に倒れていた。

(124.98.255.140).. 2008年01月25日 04:37   No.194041
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…92回       
やっとセイガ編の完結ですw

「セイナ!」
セイガが呼びかけると、彼女は瞼を開いた。
しかし、何処と無く力が無いのは分かっていた。
彼女はセイガの方を向いた。
「セイガ・・・無事で良かった・・・。」
セイナは弱々しく笑った。
笑えるはずも無いのに。
「セイナ・・・馬鹿野郎。なんで・・・こんな真似を・・・。」
またセイガは泣いた。
彼女の存在は同一体とはかけ離れているが、大切な親友なのだ。失いたくなんて無い。
「セイガが生きていれば・・・それで良いの・・・。セイガ・・・ソウルとの約束・・・果たしてね・・・。」
そう言うと、今度はスターリィの方を見た。
「セイナ・・・。」
彼もまた涙を流していた。
「スターリィ・・・泣かないで・・・。」
彼は首を振った。
泣かない筈が無い。
親愛の者が目の前で息絶えようとしているのだ。
―言うんだ。自分の気持ちを―
そう思っていたが、セイナは口を開き、優しく話しかけてきた。
「ごめんね・・・。私がまだ・・・生きていれたなら・・・ずっとスターリィといたかったのに・・・。」
スターリィはセイナの頭を撫で、
「俺もだ。こんな形で言うとは思っていなかったけど―セイナ、俺はお前がすっと好きだった。」
セイナは嬉しくて笑った。
どんな光よりも明るい笑顔だった。
セイナはそっと腕を上げると、星型の髪止めを彼の手に乗せた。
「これ・・・私からのお守り・・・。これを持っていれば・・・寂しく・・・無いよね?」
彼は泣きながら頷き、髪止めを握った。
「お前の思い・・・しっかり受け取ったよ。ごめんな・・・守ってやれなくてっ!」
スターリィは強く、本当に強く彼女を抱きしめ、涙を零した。
「スターリィ・・・大丈夫・・・。私・・・貴方の事・・・ずっと見守・・・ってるね・・・。」
そうして彼女は愛しい彼の腕の中で息を引き取った。
「セイナ・・・ごめん。そして―有難う。」
スターリィは彼女を抱き上げた。
そして、傾きつつある夕日を赤くなった瞳で見つめ続けた―

「流星族に来た闇月族は撃破出来た。けど、俺達は大事な存在を失った。」
セイナが無くなって3日が経った。
スターリィが隣にいるが、彼女がいないとどうも静けさを感じる。
「ああ。特にセイガの心の傷が一番深いだろ。」
彼の言う通りである。
セイガは自分と同じ存在―ソウルを自ら倒してしまい、さらに幼馴染であるセイナも失ったのだ。
「でも、傷を負ったのはお前も同じだよ。」
スターリィは頷く。
彼にとって彼女は最愛の人でもあったのだ。
2人は彼女の墓標の前にいる。
墓標にはこう記されていた。
『正確たる占いの力を持ちしセイナ、此処に眠る』と―
セイナの持っていた愛用の水晶も、彼女の遺体と共に眠っている。
スターリィは髪飾りを置いてやろうとは思ったが、彼女とのお守りである。手放したくは無かったのだ。
「スターリィ。2度とこのような事にならないように、ネヴィアを倒しに行こう。それが・・・ソウルの望みであり、俺の目的だからな。」
「ああ。」
2人は頷きあい、彼女の眠る墓標を見つめ、戻っていった―
       
       ―セイガ編・完―

(220.213.102.16).. 2008年01月27日 03:43   No.194042
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…81回       
えーと、続け方がよく分からんのでレスっときます。投稿するか否か迷ってますんで。

セイガ編ってことは、他の3人のエピソードもあるってことですよね?
で、現在そのセイガ編が完となったわけですが。3章のままで続く…のですかね?
続くのなら私もこのまま投稿しますが…。

回答ヨロです。てなわけで、今回はストーリー投稿はなしです。すんません。

(124.98.255.140).. 2008年02月02日 06:33   No.194043
++ ウェリス (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…93回       
他の3人もあるんで、3章続行という事になってます。
スンマセン;自分の更新が遅いせいですね・・・。
早めに書き込みに来ます!
ちなみに順番にはグレンドル→レオン→シンフォニーという風になっています。
終わり次第4章開始ですね。
ストーリー投稿はいつでもいいんですよw
寧ろ更新遅すぎの此方が謝る必要がありますね;(ぁ

(220.213.105.174).. 2008年02月02日 23:40   No.194044
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…82回       
では、ストーリー投稿です。
3章はやたらと長くなりそうですね。頑張りましょう、お互いに。

万物の泉に入ったことで新たな力を手に入れたコンクルは、早々に泉を去った。目的は、当然セントラルタワーである。だが、彼は気付こうともしなかった。いつの間にかユニバースの姿がクレーターから消えていたことに。

「……ん、んん…」
「気がついたか」
気がつけば、見知らぬ場所にいた。おそらく何者かによって泉から出されたのだろう。まだ意識はもうろうとしているが、何者かが自分を運び出したことはすぐに理解できた。だが、その何者かが誰なのか分からず、ユニバースは尋ねた。
「あ、あの…、貴方はいったい…?」
「我が名はムーンライト…。万物の泉に来てみたところ、重傷のあなたを発見した故、安全圏であろうここまで運んだ」
「何の…ために……?」
まだあちこち痛む。痛みに必死に耐えるユニバースを、ムーンライトはそっと葉っぱのベッドに寝かせ、彼女の問いに答えた。
「これから間もなく、コンクル・シオンとヘイムの辺境世界の覇権をかけた争いが始まる。コンクル・シオンはこれからも泉の力を使うことが大いに予想される。それ故、あなたをヤツが発見できないような場所まで逃がした。さもなくば、次は本当に殺されそうだったのでな」
「…貴方は…何者なのですか…?」
「月光世界の親善外交大使だった隠密機獣…、それだけだ」
「月光…世界…。懐かしい名前ですね…」
ユニバースを助けた理由、そして自らの素性を明かしたムーンライト。彼の話は更に続く。
「私にとっても懐かしい名前だ…。何しろ、分断災害によってこの世界に落ち、それ以来戻る手段が分からずこのザマだ。姿と名を偽り、この世界の王となったコンクル・シオンの元についたはいいが、帰還する為の手掛かりは何一つ得られなかった。だが、月光世界が健在であり続けることを証明する存在と出会ったとき、私はもう一度立ち上がることを決めた。コンクル・シオンの為ではなく、月光世界に住まう古き知人達の為にな」
「…私は…力になれないでしょうか…」
「その様子だと必殺技も破られたようだしな。だが、泉に住まう神々を説得できるのはあなたしかいないのだ。来る戦いの時に向け、どうか説得してはくれまいか?あの泉の力、今こそ必要な筈だ。私の封じ込めた力を呼び覚ましたように」
「!?待ってください、まさか、貴方は入ったのですか?泉に…」
「申し訳ないが、勝手に入らせてもらった。事は一刻を争うのでな」
泉の作用を知っているとはいえ、ムーンライトが力を封じ込めてシャドウという偽りの名で行動していたことまでは知らない。だから、ここまで話すまでは彼が泉に入ったことが分からなかった。だが、頭を下げて謝るムーンライトの姿を見て、怒る気はしなかった。むしろ、今起こっている辺境世界の異変などについて聞きたいことが山積みだった。早速その1つ1つをぶつけていった。

ユニバースの質問攻めは、ムーンライトの回答時間も含めて約2時間に登ったという…。

(124.98.255.140).. 2008年02月03日 06:27   No.194045
++ クォーツ (なんと!オリカ製作委員から会場推薦状が!)…83回       
シャドウが泉の力を借りてムーンライトに戻るお話と、コンクルVS虹の騎士団の2本で。

メデュールからオシオキされたルカイ達3人。彼らに向けてメデュールが忠告する。
「いいか、お前達。次はどうなるか分かったものではないぞ」
「ですよねー、相手はあのヘイム様ですしねー」
「そうそう、身勝手なヘイム様だしー」
「本末転倒なヘイム様だしなー」
口々に余計なことを吐き捨てるルカイ達に魔力弾が降り注いだ。キレたヘイムの仕業だ。
「これでは三馬鹿と呼ばれてしまうな…。む?」
メデュールが感じた。凄まじいプレッシャーが、真っ直ぐにここへ向かっている。タワーの様々な部分を粉砕しながら進んでいるのだろう。
「ヘイム様、侵入者が向かってきているようです」
「…あら?こんなところまでご苦労様ね」
次の瞬間、目の前の床が爆発した。その直後に人影らしきものが飛び出した。それはまさしく…。
「コ…コンクル・シオン!何なのその色!?」
「フン、貴様を殺す為に進化しただけだ」
ルカイ達がそれぞれの必殺技の体勢に入る。ルカイの「炎槍と水剣の裁き」ボマーの「滅びの爆魔」チックの「電光痛刺(でんこうつうし)」を同時にぶつける気だ。コンクルが放つ異様なオーラから恐怖を感じ取ったからだろう。
『くらえ!騎士団トリオ・スーパーファイナルアタック!!』
ルカイとボマーの技が襲いかかり、更にチックが魔力針をコンクルに突き刺して離脱する。しかし、その場には平然としているコンクルがあった。まるでダメージを受けていない。鎧には障壁となる魔力が循環しているらしい。
「さっさとどけ、雑魚共」
今度はコンクルが跳躍。異常なスピードで3人に肉薄し、闇の魔力を纏った強靱な拳で一撃の下に壁や床に沈めていく。しかもその一撃だけで意識を刈り取っていく。
「おのれ…、ならばこれをくらえ!」
粛清の魔弾だ。5つ全てが直撃…したかに見えたが、全て障壁によって阻まれてしまう。素早く肉薄され、一撃で壁へと叩き込まれる。
「1分も経たない内に全滅するなんて…!?」
4人とも一撃でダウンさせたその怪物は、ゆっくりとヘイムへ向けて歩を進める。あくまでヘイムだけを殺しに来たようだ。
「さて、ヘイムよ。あの時の屈辱、死で償ってもらおう」
「冗談じゃないわ!誰が死ぬもんですか!!」
声を荒げるヘイムだが、コンクルは平然としている。拳に殺気と魔力を凝縮しながら。
「貴様のようなガキに、この世界をまとめることなどできぬ。役立たずと徒党を組む貴様には。私は違う。1人でもこの世界を力によって統治する」
そう言うと、その抹殺の拳が一瞬でヘイムの胸を貫き、魔力と風圧でその体は見るも無惨な肉塊へと変わった。それを投げ捨て、王座にあったマイクを取り出したコンクルは宣言する。
「我こそは、この辺境世界の真なる王、コンクル・シオンなり!絶対的な力こそが、世界を律する唯一の法則であることを心に刻め!!」
辺境世界の中央区域全体に流れた雄叫びは、全ての民を戦慄させた…。

(124.98.255.140).. 2008年02月03日 07:44   No.194046


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