返信


■--始まりと闇の進撃
++ ウェリス (オリカ初心者)…3回          

題名にもこだわりを持ってます(笑
というわけで、月光神羅の始まりです!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うおぉ!流星光剣っ!!」
空まで響くような声に続くように何かが割れるような音も響いてきた。
そんな大きな声を出していたのは誰か?流星族の王、セイガだ。
「あ〜らセイガ、また剣の修行?」
木からひょっこりと顔を出した少女、セイナはセイガにそう尋ねた。
「そりゃそうさ。そうでもしないと腕が鈍っちまうからな。」
そう言うとセイナは「ふぅん。」と言いその場に座った。
「そういえば、最近空が暗いね・・・。」
セイナはそう呟いた。聞こえにくいような声で・・・しかしセイガはそれが聞こえたようで、「そうだな」とやはり小さな声で呟いた。
さて、とセイガが言い、剣を振ろうとしたその時、ポケットに入っていたレシーバーが鳴った。
「あら?依頼かしら・・・?」
セイナがそういって、セイガのポケットからレシーバーを出した。
依頼と言うのは、最近暗黒雲のような物のせいで原生モンスターが凶暴化、田畑を荒らしているので何とかして欲しい。と言う老住民の頼みを代わりにやる。というものだ。
「ああ。場所は・・・此処から近くか。」
レシーバーには依頼人の家の場所が書いてあるため、すぐ出動できる様にしてある。
セイガは腰についている鞘に剣を収めると、木を伝ってその家に向かった。

「何だよこれ・・・・」
セイガが呟くのも当たり前だ。
原生モンスターの仕業で、畑の半分以上が荒らされていた。
モンスターは今もまだ田畑を荒らし続けている。それを見て、セイガは剣を構え、空へ掲げ、魔術を放った。
「スターフラッシュ!!」
スターフラッシュは魔術の中でも最初級のもので、誰でも使うことができるものだが、敵にダメージを与えるというよりも、敵の目線をこちらに向けると言う術である。
セイガの放った光に反応し、モンスターが振り向く。その目は邪悪な力を持ったかのように赤かった。
「こっちだ!!」
セイガは走り出し、敵を広場まで引き寄せることにした。

(220.213.108.253).. 2007年02月05日 18:36   No.177001

++ クォーツ (第1個目の修行)…10回       
始まりましたね。
では、三銃士こそ出しませんがちょっとした部分を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
可変三銃士が旅立った後、コンクル・シオンは磨いた水晶玉を通して上の世界=月光世界の様子を見ていた。
「…『剣』の一つが動いたか」
意味深げな独り言を呟き、水晶玉から目を離さない。どうやらコンクル・シオンはセイガのことを『剣(つるぎ)』と呼んでいるようである。
「さて、お前がどれほどの力を持つか…。そしてある御方の興味をそそる剣となりうるか…お手並み拝見といこうか」
そう呟くと、コンクル・シオンは薄ら笑いを浮かべるのだった。まるで、自分がセイガを試す存在であるかのように…。

(122.18.16.133).. 2007年02月22日 05:31   No.177002
++ ウェリス (オリカ初心者)…4回       
いろいろあって書けませんでした。スミマセン。。。
これからはしっかり書き込もうと思います;(ぁ!1・2日にテストじゃん;;
それとクォーツさん、プロローグ有難う御座います!
では続きでも・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『よしっ!此処ならいける』
セイガは片足で足を止め、魔物の方を向いた。
数は・・・40近く、いやそれ以上かもしれない。
「俺一人じゃ無理かもしれない。セイナ!お前も手伝ってくれ!」
と言い振り向くと、魔物が恐ろしいか、セイナは木の陰に隠れていた。
一瞬、沈黙が起こる。それを振り切るよう、セイガは
「ちょっと待てよ!!この数を俺一人でやれって言うのか!?」
と言った。が、でてくる気配なし。ずっと怯えているようだ。
ちらりと顔を出したが、やっぱダメ!と言って隠れてしまう。
「幼馴染で大親友で○○な人の俺が死んでもいいのかな〜。。。」
とこっそり言うと、今までのことが嘘のように木影からでてきた。 きっと○○の人のところでふっ切れたのだろう(しかし表情は明らかにしょうがないと言う感じだが)。。。
「わかったよぉ〜。んで、後ろで魔術を使っていればいいのよね?」
セイナは占い師でもあり、魔術師でもあるのだ。
魔術は詠唱が必要なため、途中で邪魔が入ると、魔術の詠唱も中止になってしまうのだ。
セイガは頷くと、いくぞ!と言い、剣を抜いて走り出した!
それを見たか、魔物も一斉に走り出す!
『やっぱ多い!だが―!』
セイガは魔物に肉薄し、剣を振るう。それと共に光の衝撃波が走る。
セイガの得意技、流星光剣だ。
衝撃波は一直線に進み、次々と敵を引き裂き、倒していく。
そこに、詠唱の済ませたセイナの魔術が敵を襲おうとしていた。
「空に舞いし光。聖なる矢となりて、敵を引き裂け!―スターアロゥ!!」
その技の名の通り、空が光り、矢のように降り注ぐ!それも5本近く!
衝撃と共に敵の姿が焼き焦げていく。そして敵の残りは早くも10体ぐらいとなった。
「よし!これなら・・・どうだ!!」
セイガは流星剣を振り下ろし、その反動で飛び上がった!その軌跡は、流れ星のようだった。そして・・・さらに振り下ろす!
「流星双陣破(リュウセイソウジンハ)!!」
振り上げよりも強い軌跡が、10体もいた敵を全滅させた。
広場にはセイガとセイナの2人だけとなった。
依頼人を待たせては良くない。そう思ったセイガは「行こう」とだけ告げ、依頼人のいるところへ駆けていった。

(220.213.101.241).. 2007年02月21日 23:44   No.177003
++ ウェリス (オリカ修行にGO!)…5回       

無事に依頼人の所まで行き、セイガは報告を済ませた。
依頼人のおばあさんはただ、
「いや〜ありがたや。ここ最近襲撃が多くてのぉ・・・。」
と言った。しかしセイガは笑顔で
「いいえ別にいいんですよ。これが僕達の仕事ですから。」
と言った。その横でセイナは
「あたしも戦ったんだけどね〜。」
と、呟いた。しかしおばあさんに聞こえたか、おばあさんは苦笑し、セイナに
「セイナちゃんは戦いが嫌いなのじゃろう?スマンのぉ、こんなことになってしまって。」
そう、優しく告げてくれた。セイナは慌てたように、
「い・いえ!良いんです!―ほとんどはセイガが倒したんですし・・・。」
とは言ったが、セイガは「お前も十分役に立ったぜ」と笑顔で言ってくれた。
しかし、戦う前にセイガが言った○○な人、と言う言葉を思い出すと、あまり笑顔では話せない。
―本当に○○だから・・・ね。
「じゃあ、帰るとするか。」
と言ったその時、セイガの頭上に巨大な影が通った!
その直後、強風が渦を巻くように吹き荒れた。
「また魔物・・・ってあれは!?」
セイナが驚くのも当然のようなものだ。
なんせ流星族に稀にしか出てこない魔物、フォスターが飛んでいたからだ!
やはり目は鮮血のような色をしていた。
「くっ!さっき戦ったばかりなのにかよ!」
セイガは剣を抜こうとしたが抜かなかった。
どちらかと言うと抜く必要がなかったからだ。
何故か?セイガが剣を抜く前に、人影がフォスターを切り裂いたからだ。
その人影は・・・
「スターマン!?」
だった。
スターマンは実力者でもあるがおちゃらけた所もある、子どもに人気のヒーロー的存在なのだ。
「ハハッ!無事かい?セイガとセイナちゃ〜ん♪」
その一言にセイナは顔を顰めた。
セイナはこういうちゃらちゃらした人は得意ではないのだ。と言うより嫌いなのだ。。。
「いい加減“ちゃん“って言うの止めてくれない!?すっごく腹立つんだけど!!」
「そう怒るなよ〜☆じゃあ・・・セイナ君?」
やっぱりふざけている。飽きれたようにため息をついたセイナはスターマンを睨んだ。
「あ〜も〜分かった分かった!セイナ―ちゃん♪」
「密かに言うな!しかも聞こえてるし!あ〜もぅ!殴るよ!!!」
セイナは構えた。しかし割って入るようにセイガは
「こんなとこで殴りあってもしょうがないだろ!!もう止めにしようぜ!」
そう言った。しかし、タイミングが悪かったか、
「この馬鹿〜!!!」
と怒ったセイナのパンチを食らってしまった。
頭に星が回っているのを感じつつ、セイガは気絶してしまった。。。

『女性って怒らせると怖いんだな〜;』(セイガの心の中の台詞)

(220.213.97.106).. 2007年02月22日 00:13   No.177004
++ クォーツ (第1個目の修行)…10回       
テストも近いようですね、頑張ってください!
では、こちらも…。


セイガが気絶した現場にたたずむ、少なくとも月光世界の住民とは思えない外見をした男。そう、空間転移してきたカオスだ。転移した後、情報収集の為に別行動をとっているらしい。
「…あれが本当に『剣』の1人かよ…?」
明らかに落胆している。転移終了直後にコンクル・シオンから入った通信で各領域の王こそが目的達成の鍵、いわゆる『剣』であるという情報はもたらされたが、カオスはセイガが王だとはとても信じられなかったようだ。
「実力だけじゃ、王になんかなれないよな。取り敢えず情報の為に写真は撮っておくか」
気付かれぬようフラッシュはOFFにしてセイガ達の写真を撮る。そしてその場を離れるのだった。

(122.18.16.133).. 2007年02月22日 05:29   No.177005
++ ウェリス (オリカ修行にGO!)…6回       
テストが延びたり、部活で忙しかったりと、書き込みが遅れてしまいました。
申し訳ないです・・・。
でも、話は中々いい感じに浮かんできていますので、ご心配なく〜。(誰に言ってるんだよ!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・・ガ!・・セイガ!セイガ!!」
誰かが自分を呼んでいる。
ゆっくりと泥に埋もれたような瞳を開く。目の前にいたのはセイナだ。
きっと名前を呼んだのも彼女であろう。
「あれ?此処・・・俺の家か・・・。」
安堵の溜息をゆっくりと吐く。・・・ただ、ゆっくりと。
それを今まで監視していたかのように、スターマンが現れる。またもセイナが眉を吊り上げる。
「おやおや〜★お目覚めですか、セイガ君♪」
耐え切れなかったか、セイナが机を叩く。
「元々はアンタが悪いんでしょ!?なによその態度!!」
また始まった。セイガは溜息を吐き止める様に頼んだ。
それでもセイナは気がすまなかったようだが・・・。
しかし、何か言おうとしたか、セイナが「そうだ!」といって手を叩いた。
「セイガが気絶してから、カメラのシャッターを切る音が聞こえたんだけど・・・?」
それを聞いたセイガは首を傾げて「何でだ?」とだけ言った。
それを見てスターマンは面白そうに
「きっとセイナちゃんがセイガを殴ったのが新聞にのってビッグニュースになっちまうんじゃねーの♪」
と、楽しげに言った。セイナは彼の仮面を殴ると、
「じゃああんたのせいでこうなったって言うわよ!!」
と怒鳴った。セイガは溜息を吐き肩を竦めた。
「ところで―」とセイガは口を開いた。
「今何時なんだ?気絶して分からなかったんだけど・・・」
というと、スターマンは格好つけるように腕時計を見た。
「現在の時間は〜・・・夜6時だって。良い子はお外に出たらいけない時間だぜ〜☆」
そんな1人楽しそうにしているスターマンを見て、セイナはイヤになったか、
「夕食の準備をしてくるからね。。。」
とだけ告げて部屋を出て行ってしまった。
部屋は2人だけになった。スターマンは沈黙を破るように話しかけてきた。
「セイガだけに俺の正体を見せたいと思っていたんだが・・・。」
と言い出した。彼にしては真剣そうな声で言った。だがセイガは
「そんなのいいのか?それはいくら王でも―」
「いいや、構わないんだ。それが王だろ?」
と言って、仮面を外した。そして十分にセイガは正体を見ただろうと思ったか、仮面を付け直した。
「でも、しばらくはコレでやらせてもらうぜ?」
仮面で顔は見えぬものの、素顔はきっと笑顔なんだろう。
―実際口しか見えないが・・・。
「じゃ、俺は先に行ってるわ。また後でぇ〜♪」
と、手を振ってスターマンは部屋を出た。
セイガは開いた口が閉じぬまま、彼の背中を見ていた。


2人が離している間、セイナは空間から水晶を呼び寄せ、この先の世界を占っていた。
「―この先の世、どのように動揺するかを我に示せ・・・流星聖占!」
術を唱えると水晶が青白く光り、ゆっくりと浮上し、やがて光は赤く染まった。
「まさかこの世が、こんなことになってしまうなんて・・・。」
そう呟いた時、誰かの―スターマンの足音が聞こえたので、ばれない様、静かに水晶を消すのであった。

もうすぐ闇は訪れる。
世界は闇に包まれていく・・・そんなことが水晶に書いてあったかのようだった。

(220.213.103.227).. 2007年03月14日 00:13   No.177006
++ ウェリス (オリカ修行にGO!)…7回       

スターマンの素顔を見て1日目、なんだか心がムズムズする。
『やっぱ・・・見なかった方が良かったのかなぁ?』と、ずっと考え込み、人の話もろくに聞けないセイガだった。
昨日は1日がやたらと長く感じた。夜食も上手く喉を通らなかった。
素顔を見ただけなのに、日が経つのが凄く長く、2日分は過ごしたようにも思えるぐらいだ。
『考えすぎるのも良くないし、でも返って簡単には忘れられないし・・・』
セイガは立ち上がり、壁に掛けてあった魔剣を腰に付けた。
「考えるより行動!気功族付近の滝まで修行に行くか!!」
と、自分に言い聞かせ、外へ出た。
相変わらず、と言ってもいいように、子供達が外で遊んでいる。
その横を、なるべく邪魔にならぬよう、セイガは通り抜け、木から木へと飛び移った。

気功族付近の滝に着いた。
この滝は流星族の領地でもあるが、気功族の領地でもある。
要するに、両方の族がTPO(時と場合)によって使い分けているのである。
セイガは道にいる魔物を倒しつつ、奥の滝のあるところまで向かって行った。
魔物はやはり凶暴化していたものの、セイガにとって大した敵ではなかった。
「もうすぐで奥だな。」
そう行って、駆け出した。
徐々に滝に近づくにつれ、誰かが修行しているのが分かった。
見覚えのある白銀の髪、目の下にある黒紫の刺青―気功族の王、グレンドルだった。
セイガは彼に気づくと速度を速め、グレンドルのところへ向かった。
「グレン!修行中なのか?」
グレンドルは気づくと、滝修行を止めてこちらに向かってきた。
「ああ。セイガも此処まで来て修行なのか?」
セイガは頷いた。しかしその時、咆哮の様なものが聞こえ、急に風が嵐のように吹き荒れた!
「な・なんだ!?」
セイガは剣を立てて、何とか立っている。
グレンドルは踏ん張ってはいるが、あまりに猛烈な風に吹き飛ばされそうになっている。
風が止んだと思うと、今度は巨大な何かの足音が聞こえた。
大きさは―この音からするとあまりにも巨大なのだろう。
すると咆哮を上げた獣が現れた!その姿にグレンドルは見覚えがあるか、驚きを隠せないような表情だった。
「コイツ・・・まさかライガルかっ!?」
ライガル、その魔物は気功族で凶暴・伝説とも言われた魔物で、滅多に姿を現さないのだ。
以前、流星族に現れたフォスターと、同じような存在なのだ。
目は・・・やはり赤かった。
フォスターの時はスターマンが切り伏せ、気を失わせる事は出来たが、ライガルはそれほど甘くない。セイガは思った。
「ここはやるしかないな・・・いくぜっ!グレン!!」
「OK!任せとけっ!!」
2人はライガルに向かっていった。
近づく度に、敵がどれだけ大きいか分かる。
『前みたいに気絶は不可能としか言えない・・・。それなら!』
セイガは剣を下から掬い上げ、叩きつけるように振り下ろした。
叩きつけた衝撃で敵は若干浮き上がり、そこを斜め上に突き上げ、腹部をえぐる。
剣技で基本とも言われる技、『双牙衝墜(ソウガショウツイ)』。しかし、ライガルはビクともしなかった。
やはり大きさの問題だ。
その横で、気を溜めたグレンドルが走り、闘気を放った。
「喰らえ!気功破!!」
闘気はライガルに向かって真っ直ぐに飛んだ。
鉄板をも貫く気は、ライガルに大きなダメージを与えたようだ。
「よしっ!セイガ!このまま決めるぞ!!」
セイガは頷き、彼と共にライガルに向かって走った。
「―流星光剣!!」
「―ストレイト・ブレイカー!!」
2つの衝撃波はライガルを貫き、ライガルは消えた。

(220.213.104.21).. 2007年03月15日 17:45   No.177007
++ クォーツ (第1個目の修行)…11回       
「各領域の伝説獣の凶暴化、それを引き起こす暗黒雲…。どうやら、あの御方は相当彼らに目をつけておられるようだな」
水晶玉を見つめて、またもコンクル・シオンは呟く。彼もまた目をつけている存在、それはセイガとグレンドル。グレンドルもまた王である。彼が何度か口にする『あの御方』とは一体何者なのだろうか?未だ謎のままである。
「流星のフォスターは沈静化し、気功のライガルは倒れ、残るは時空と音程の2体か…。フッ、これらの部族がどうなっているか、残り2人の剣はご健勝か、気になるところだな」
そう言うと、彼はどこからともなく本を取り出した。その中に挟まれているメモ用紙に文を記していった。忘れぬようにする為か、呟きながら。
「流星族の王、能力確認。気功族の王、能力確認。時空、音程、両部族の王の偵察報告急がれたし」
そして呪文を唱えると、そのメモ用紙は2枚に増え、そしてどこかへと消えた。
「さて、あの御方は次は誰を試練へといざなうのかな…?全ての目覚めの時は近い…」
薄ら笑いを浮かべ、コンクル・シオンは再び水晶玉を磨きだしたのだった。

(122.30.0.80).. 2007年03月16日 05:13   No.177008
++ ウェリス (第1個目の修行)…11回       

セイガとグレンドルがライガルと戦う前、音程族の王、シンフォニーは部屋を行ったり来たりして、何かを考えていた。
「遅いわ・・・。」
そんなことを呟いていた。
彼女は時空族との共同作『声反応時止機(せいはんのうじしき)』が届くのを待っているらしい。
しかし、届く時間を過ぎ、10分以上経っても届いて来る気配は無い。
「う〜ん・・・魔物はいるけど、見に行くしかないわね・・・。」
そう言うと、扉を開けて、外に出ようとした。しかしそこにギタギルトがやってきた。
「あれ?お前何しに行くんだ?」
「『声反応時止機』が届かないの。今から見に行こうと思って・・・。」
と、伝えるとギルトは頷き『行ってらっしゃい。』と告げた。
シンフォニーは微かな笑みを浮かべると、家を後にした。

「た、助けてくれぇ〜!!」
森に入って約5分、そんな悲鳴が聞こえ、シンフォニーは足を速めた。
枝が腕に触れる。そんな感覚を持ちながら、先に進んだ。

(220.213.106.203).. 2007年03月28日 00:24   No.177009
++ ウェリス (第1個目の修行)…12回       
文字数が多すぎたので、分けて書きます;
それと、カオス達との戦闘が近いので、報告しておきますね☆
クォーツさんの文章、楽しみにしていますっ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「大丈夫ですか!?」
場所に着いたが、いきなり倒れ込んで来た郵便者かと思える者に驚いた。
彼方此方に傷跡がある。きっと魔物に襲われたのだろう。
「一体何があったのです?」
驚き、しかし落ち着きながらも尋ねる。彼は息を荒げて言った。
「お、音程族に向かおうと森を歩いていたら、突然魔物がっ・・・!!」
そう言うとシンフォニーは頷き、魔術の構えを見せた。しかし、この状況ではまず詠唱が中断されると考え、「くっ」と呻いた。
そこへ誰かの放った衝撃波が魔物に直撃し、3体ほど消えた。その正体は―
「レオン!!」
だった。レオンは掛けていた眼鏡を上げると、剣を腰の鞘に収め、シンフォニーの方を向いた。
「まさかこんな事になるなんて思っていませんでしたからね。探しましたよ。」
彼は郵便者の方を向き、言った。郵便者は首を項垂れ「すみません。」とか細い声で言った。
レオンは再び剣の柄に手を掛けると、シンフォニーに「行きますよ!」と言い、走っていった。
次々と敵を切り裂く中、シンフォニーは後ろで魔術の詠唱をしていた。
シンフォニーの術は強力な物だが、必ず詠唱が必要になる。
「風牙斬(フウガザン)!」
レオンは目に見えない程の速さで剣を振った。空気との摩擦で衝撃波が飛ぶ!
衝撃波は沢山の敵に当たり消滅する。そして、シンフォニーの詠唱が終わる!
「―流るる旋律よ、天へ届け。聖なる光よ、降り注げ!―『楽章名・「奏」』!!」
美しき旋律は点に吸い込まれるように響き渡り、直後光が降り注いだ!
光槍は敵を貫き消滅させた。
「これで最後です!!」
レオンは残った1体を切り伏せると、剣を鞘に収め、息を吐いた。
「まぁ、こんなもんでしょうね。」
と言った。レオンは後ろに下がっていた郵便者に近づくと、
「声反応時止機の方は無事なんですか?」
と聞いた。郵便者はハッとし、辺りを見回した。そして、機械の部品類が散らばっているのを見て息を呑んだ。
「―壊れています・・・。」
いかにも声が震えている。それを聞いてレオンは、目を隠すように眼鏡を抑えた。シンフォニーは嫌な沈黙を破るよう、
「でも、しょうがない事よ。彼も壊そうと思っていたわけではないし、第一魔物が襲ってきたのがいけないのよ。」
と言い、溜め息を吐いた。レオンも「そうですね。」と言った。
「確かに最近、魔物が襲撃して来る事件が頻繁にありますからね。私も向かう前に、伝説獣に遭遇しましたよ。」
と言うと、シンフォニーは目をはって、「伝説獣!?」と思わず叫んでしまった。そして、
「で、それはどうなったの?」と聞いた。
「アーヴィンと共に撃破しました。とりあえず気絶させておいたので、しばらくは襲ってこないでしょう。」
と言った。するとその時、咆哮のような不協和音が轟き、思わず耳を塞いだ。
2人が驚くその咆哮の正体とは!?―

(220.213.106.203).. 2007年03月28日 00:27   No.177010
++ クォーツ (第1個目の修行)…12回       
そろそろカオス達との戦闘ですか。ではでは、そのエピソードを考えさせていただきますね。
そのお膳立てみたいなストーリーを書いておきますね。なるべくメインに直接割り込まないように気をつけて書きますが、あくまでカオス達の行動はセイガ達には気付かれていないという設定でお願いします。

コンクル・シオンが転送したメモ用紙は、アビスとガイアに届いた。セイガとグレンドルを同時に確認した為に、担当する「調査対象」を変更したからである。カオスは月光世界の中央部に身を隠し、アビスがレオン、ガイアがシンフォニーを、それぞれ調査することになったのだ。ところが、これまたレオンとシンフォニーが同じ場所で確認された為、必然的にアビスとガイアが合流することに。カオスもじきに合流する予定である。
「これって何かの偶然か?王が2つのエリアで2人ずつ現れるなんてさぁ」
「あたしにはさっぱり分かんない。コンクル・シオン様は『時には運命というものに引き寄せられることもある』とか言ってたけど」
「運命、ねぇ。そんなもんで集められたなら運命ってのは神様か?」
「そこまではいかないと思うけど…」
どうやら三銃士はセイガとグレンドル、レオンとシンフォニーという組み合わせでの2ヶ所での確認が、ある程度仕組まれたものではないかと読んでいるのだ。初めにそう読んだのはカオスだが。
「ねぇ、何あれ!?凄い不協和音よ!」
「な、なんだありゃあ!?」
アビスやガイアも驚いた、不協和音のような咆哮の正体はいかに!?

(122.30.0.80).. 2007年03月28日 05:42   No.177011
++ ウェリス (第1個目の修行)…13回       
ストーリーの方はどのようなものでもよろしいですよ。
話を書いていただけるだけで満足なので☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これってまさか!?」
シンフォニーは目を張った。彼女にとっては当然、と言っていいような光景。
目の前には巨大な獣―伝説獣。フォルテがいるからだ。
「まさかここにも伝説獣の襲撃が来るとは思いませんでしたね・・・。」
レオンは剣の柄に手を掛け―抜いた。
「ここはやるしかありませんねシンフォニー。行きましょう!!」
しかしその時、フォルテとはまた違う振動が襲った。
あまり大きくはないが、かなりの力を感じた。
「気功族ね。向こうでも伝説獣がいるわけね。」
レオンは舌を打って走り出し、剣を振りかかった。
シンフォニーは戦うのは好まない。しかしこの場合は仕方がないのだ。
もしこのまま逃して音程族に向かったらどうなるか、想像は付く。
郵便者に『下がるように』と促して、詠唱を始めた。
「切り裂けっ!双龍牙(ソウリュウガ)!!」
レオンの振るった剣が、龍が敵を噛み殺すような軌跡を描く!
フォルテは受けきったが、剣は体も掠め、血が舞った。
「雷の鎖よ、敵を封じよ!―サンダーチェーン!!」
そこへシンフォニーの放った魔術が電気の鎖のように飛び掛り、フォルテを麻痺させた。
そして、いつの間にか詠唱を終え時間を使って上空にいたレオンが物凄い速さで降下しながら剣を突き出した!
剣は空気との摩擦で炎を上げ、フォルテに突っ込む!!
「燃え尽きなさい!!空破炎襲斬(クウハエンシュウザン)!!」
炎はフォルテに付き刺さるように燃え上がった。
辺りも燃えてしまったが、レオンが森の時間を戻したお陰で燃え跡は消え去った。
「まさか各地で伝説獣が出てくるなんて思っていませんでしたね・・・。」
レオンはため息を吐き、剣を鞘に収めた。

その頃セイガ達も戦闘を終え、伝説獣やこれからのことなどについて対策会議をしようという事をレシーバーで報告しようとしていた所だった。
「えっと・・・明日でいいんだよな?」
念のため一緒に計画したグレンドルに尋ね、頷いたことを確認すると、ボタンを押そうとした。
「ああ、そうだ。俺はレオンに報告するから、グレンはシンフォニーに報告してくれないか?」
「OK!わかったぜ!」
そう言うと、2人はほぼ同時にボタンを押した。息がかなり合っている。

(220.213.103.146).. 2007年04月07日 00:34   No.177012
++ ウェリス (第1個目の修行)…14回       

一方シンフォニーとレオンは―
「?レシーバーが鳴ってない?」
「そちらも鳴っているようですが・・・。」
シンフォニーは「ホントだ」と言って、ボタンを押した。レオンもレシーバーを取り出し、ボタンを押した。
『シンフォニー、俺だ。グレンだ。』
『レオン、俺だ。セイガだ。』
恐ろしいほど同じ台詞だ・・・。どれだけ息が合っているんだ?この2人・・・。
「あら、グレン・・・ってセイガも一緒なの!?」
共にセイガの声が聞こえたが、シンフォニーは尋ねた。
『え?ああ。そうだけど。』
「こちらも一緒なのですが・・・。」
そうレオンが言うと、向こうも驚いたか『えぇ!?マジかよ!』と言った。そしてレオンの方から―セイガが
『じゃあ、こっちが切るからシンフォニーの方を聞いてくれ。』
そう言い、電源を切った。レオンはシンフォニーの方のレシーバーの方を向いた。
『んじゃ、今回の用件を話すな。』
そう言って、明日、対策会議を行うことを話した。

『じゃあ、明日の昼、セイガの家の会議室で大丈夫か?』
ざっと予定を話したか、グレンドルが尋ねてきた。
「ええ。私は大丈夫よ。」
「私も明日のスケジュールは開いていますね。」
2人はそう言った。セイガは、
『よし、分かった。じゃあまた明日な!』
と告げ、電源を切った。
レオンは郵便者の方を向くと、「帰るとしましょうか。」と言ってシンフォニーに手を振り帰っていった。
「おーい!シンフォニーっ!!」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにギタギルトが駆けてきた。
「こんな所まで如何したの!?」
「如何したじゃ無いって!伝説獣が出たんだろ!?大丈夫だったのか!?」
シンフォニーは「ええ。」と言った。
「・・と言ってもレオンもいたからね。」と付け加えた。
ギルトは「そっか。」と言って、来た方向を向いた。
「もう帰ろう。また此処に何かがあったら大変だからな。」
そう言ってシンフォニーの手を引き帰っていった。

(220.213.103.146).. 2007年04月07日 00:51   No.177013
++ クォーツ (第1個目の修行)…13回       
カオスらとの戦闘はこの次あたりということになりますね。
では、お膳立てその2みたいな話を。


「しかし凄かったな、2人とも」
「特に注意すべきはレオンね。時間の流れを操られたらたまったものじゃないわ」
「ああ。シンフォニーの魔術もやっかいだ」
先程の戦いを見て、レオンとシンフォニーの実力に関して話をするアビスとガイア。そこへ、通信が入ってきた。
「こちらカオス、アビス、ガイア、応答しろ」
通信してきたのはカオスだった。
「もうすぐそっちに着く。準備はしておけ」
「準備って、何をさ?」
「コンクル・シオン様からのご命令だ。あいつらと戦闘して、より多くのデータを手に入れろとのことだ」
「マジかよ!?いくらなんでもそりゃないぜ!」
「でも、あたし達辺境族はトップからの命令は絶対なのよ。従わなきゃダメよね」
「そういうことだ。向こうが連携で来るなら、その連携を崩してしまえばいい。俺達のチームワークを見せつければ勝機はある」
「…ったく、無茶な命令ばっかりしてくれるぜ、あのオッサン」
「奴らの次の目的地は、既につかんでいる。明日セイガの家に密かに接近、奴らの会議が終わり次第仕掛ける」
「なんで会議が終わった後なんだよ?会議中でも問題ないだろ?」
「コンクル・シオン様からの命令だからだ。アイツにはアイツなりに考えがあるんだろう」
「ちぇっ、何考えてるんだかな」
可変三銃士は遂に本格的な戦闘態勢へと移行していった…。別世界からの挑戦状が投げ渡される日は近い。

(122.30.0.80).. 2007年04月07日 05:19   No.177014
++ ウェリス (第1個目の修行)…15回       

「暗黒雲が大幅に広がって約1ヶ月。こっちでは手に負えないぐらい依頼が入ってる。」
フォルテが出現した次の日の昼。予定通り対策会議は行われていた。始まって早速セイガの口から出た一言である。
「んでもって各地での伝説獣の出現・襲撃。」
「ただ事ではありませんね。」
グレンドルが言い、レオンが続けた。シンフォニーも頷き、
「その襲撃の原因で亡くなった人もいる・・・」
と、続けた。重い空気が流れる。沈黙を破るよう、グレンドルが口を開く。
「暗黒雲の出現場を見つけて止めればいいんじゃねーの?」
セイガはため息を吐き、
「あのな〜、仮に見つかったとしても今回の黒幕って奴がいる訳だろ?」
と言った。続けるようにシンフォニーが、
「そうなると戦う可能性は限りなく高いわ。下手をしたら・・・死ぬ可能性も高い。」
と言う。さっきよりもさらに重い空気が立ち込める。それをまたもグレンドルが破る。
「なんでそんなに後ろ向きになるんだよ!」
『怖いのか!?』と言っているように机を叩く。レオンがため息を吐き、冷静に話した。
「後ろ向きと言うわけではありませんよ。そんな事言うなら貴方一人で行ったらどうですか?」
皮肉な笑みを浮かべながら言った、冷たい一言だった。グレンドルは頭に来たか、
「誰が俺一人で行くって言ったんだ!?ったく、お前等そんなのでよく『世界を統合する』とか行ってられるな!事実はそんなに甘くねぇんだよ!!」
セイガは俯き、「それぐらい分かってる。」と言った。
「わかって無いだろ!!」
グレンドルの声が部屋中に響き渡る。シンフォニーは彼らのやり取りを見、一喝した。
「いい加減になさい!!今何の話をしているか分かっていて!?」
有効を結んでいる時空族―レオンでも聞いた事の無いぐらいの声の大きさか、周りの空気もろとも硬直した。
「話を戻そう。これはあくまで対策会議だ。戦ううんぬんじゃない。」
咳払いをし、セイガは話した。確かに話しにズレが生じてしまっている。
「そ、そうだな。すまない。」
グレンドルも少し赤面になって謝った。空気も僅かに軽くなった。
レオンは「さて、」と眼鏡を抑えながら言った。
「伝説獣は皆さんの力で抑えましたよね。後は魔物だけですが・・・」
「多すぎるな。凶暴化の分、勝てない人だっている。実力者がいても、さほど多くは無いしな。」
セイガが言った。シンフォニーは考えて、やがて案が出たか、こう告げた。
「住民に修行を積ませて実力者を増やす・・・とか?」
グレンドルは首を振った。「住民だって少なすぎても良くない。」と言い。
「じゃあ―」とセイガが言う。皆、セイガの方を見る。
「やっぱりグレンの言う通り、原因場所に行くしか他に手段は無いみたいだな。」
「それしかありませんね。悔しいですが・・・。」
レオンが言い、シンフォニーは目を伏せた。

(220.213.101.34).. 2007年04月19日 00:26   No.177015
++ クォーツ (第1個目の修行)…14回       
「終わったか…」
カオスはセイガ達の会議終了を目の当たりにし、アビスとガイアに告げた。
「やるぞ、お前ら」

それは、まさに突然だった。会議現場の近くが爆発し、何事かと出てみれば…。カオス達がいた。
「何者だ、お前達は!」
「我ら可変三銃士、辺境よりの挑戦者だ」
セイガの問いに悠然と答えるカオス。その表情はやや緊張しているようだが、余裕ではある。
「何が目的だ!?」
「あんたらの力を辺境王様に献上できるシロモノか見極めることさ!」
グレンドルの問いにはアビスが。アビスは今にも飛びかかってもおかしくない。
「辺境王とはいったい誰なんだ?」
「あたしたちに勝てたら教えてあげる」
「もっとも、ここで俺達に負ければ暗黒雲の調査も何もあったものではないがな!」
ガイアがレオンに答え、そしてカオスが有無を言わさずしかけてきた。手に持つライフルでセイガを狙う。セイガはこれを弾き、かわし、カオスの懐に飛び込む。そして、
「流星光剣!!」
カオスに先制ダメージを狙うが、カオスもこれをかわし、間合いを取る。一方、アビスは両肩のフレームを展開し、グレンドルとレオンをその場から逃がさなかった。アビスは三銃士中最高の火力を誇り、攻撃範囲も三銃士中トップだった。
「くそっ、これじゃ迂闊に動けねぇ!」
「なんとか、この雨のようなビームから抜け出さないと…。シンフォニーが危ない!」
レオンの言うとおりだった。三銃士の狙いはこれで、カオスとアビスがセイガ達3人の動きを封じている隙に、ガイアがシンフォニーを仕留めようと執拗に追いかけていた。
「速い!これじゃ、とても詠唱が…」
「お前の魔法は1番危ない!だから落ちちゃえ!」
あくまでシンフォニーには魔法を使わせない。ひとたび使われれば、自分たちの敗北は必至であることを今までの調査で理解している。それ故の戦略だった。事実、シンフォニーの魔法は多人数戦でも一気に勝負を決めうる威力を持っていた。
「だから…やらせない!!」
4足歩行の獣型AGに変形すると、ガイアはブースト全開。目まぐるしいスピードでシンフォニーを翻弄し、そして斬りつけた。背中のブースター兼ブレードで。1回では終わらず、スピードを活かして立て続けにシンフォニーを切り刻む。
「シンフォニー!」
先にガイアへ向かえたのは、グレンドルだった。アビスの攻撃は、威力と範囲は抜群だが1撃のチャージに僅かながら隙ができる。その隙をグレンドルは逃さなかった。幾度目かのビームの雨を降る前にかわし、ガイアへ突撃!グレンドルに気付きとっさにNG形態に戻るも、ストレイトブレイカーの1撃で吹き飛ばされる。戦局は、振り出しに戻るのだった。

(122.30.0.80).. 2007年04月20日 04:55   No.177016
++ クォーツ (第1個目の修行)…15回       
「シンフォニー、今の内に詠唱しろ!いつまでもこいつを抑えられるわけでもねぇ!」
「言われなくても!」
ガイアを取り押さえ、シンフォニーが詠唱を始める。カオスとアビスもそれに気付くが、今度は彼らが焦る番だった。セイガ達が自分たちのペースを取り戻し、反撃に移ってきたからだ。
「調子に乗るな!」
カオスがAG形態に変形した。その姿は、人とも動物ともとれない不思議な形状だった。前にのめり出したヘッド部分と姿勢がその要因だ。そして、カオス最大の技が猛威を振るうことになる。
「ガンポッド・レイジング!!」
左右の円筒型パーツが分離し、セイガを左右から襲う。1つがビームを放ち、時間差でもう1つもビームを放つ。更にカオス自身もライフルで攻撃し、3方向から攻めてくる。セイガは1つ1つへの対処で手一杯だった。
アビスだけは、AG形態に変形せずに戦っている。当然だ。セイガ達は知らないが、アビスのAG形態は潜水艇型。つまり、陸しかないこの場では使えないのである。とはいえ、火力はNG形態の方が断然上だ。その火力でレオンに反撃の隙を与えなかった…が、遂にレオンの反撃が来た。フレームによる一斉射撃の死角は、ど真ん中か背後。レオンはフレームビームによる牽制を考えてアビスの真正面から剣を振りかざす。アビスは口から更に威力の高いビームを放ち、迎撃する。が、近づかれてはレオンのもの。時間魔法でビームの速度を落としつつ、すれ違いざまにアビスの両フレームを一刀両断した。
「残るはお前だけだ、カオス!」
「まだガイアもいる!それに…お前はガンポッドから逃げられていないだろうが!」
「どうかな!?」
防御もしくは回避してるばかりではらちが明かないと判断したセイガは、被弾覚悟でガンポッドを叩き切る。そして、動揺して隙が生まれたカオスを逃がす筈もなく、セイガの技が決まった。
「流星光剣!!」
ガイアはグレンドルから離れようと必至だった。だが、AG形態ですらグレンドルを振り切れない。その間にも、シンフォニーの詠唱は刻々と進み、グレンドルに警告のサインを出しつつ、それは放たれた。
「ー流るる旋律よ、天へ届け。聖なる光よ、降り注げ!ー『楽章名・「奏」』!!」
すぐさまグレンドルが退避し、何事かと一瞬動きが止まったガイアに光が降り注ぎ、勝負は決したのだった。
「…ここまでか。これぐらい戦闘すれば収集もできているだろ…。アビス、ガイア、帰るぞ!」
「帰るって、どこへさ!?」
「次は…負けない!!」
カオスが呼びかけ、アビスとガイアがそれぞれの心境を述べると、可変三銃士はセイガ達に何も言わずに消えーーようとした。1つ忘れていたことがあるからだ。
「おっと、最後に教えておく。俺達の王、辺境王の名は…コンクル・シオン様だ」
そう告げると、三銃士はどこかへと消えたのだった。

(122.30.0.80).. 2007年04月20日 05:27   No.177017
++ ウェリス (第1個目の修行)…16回       

「なんだったんだ・・・あいつら?」
カオスたちが去って、セイガ達は首を傾げた。
彼らは強かった。手を抜いていたら負けていたぐらいの連係プレイや作戦だった。
「辺境王って奴も気になるな・・・。」
グレンドルが言ったその時、焦るような足音が聞こえ、セイガたちの前にセイナが現れた。
「セイナ!?お前何しに来たんだよ?」
セイナは息を荒げ、こう言った。
「何しにって!何があったかじゃないの!!・・・あ、あとあと!暗黒雲の発生場が分かったの!!」
「何だって!!!」
王達の目が驚愕に開く。さっきの事を忘れたように。セイナは懐から水晶を出し、セイガたちに見せた。
「ホラ、これよ!」
見るだけで分かった。4つの大陸の中心にある島から出てきていたのだ!
「此処ってまさかとは思うけど・・・」
シンフォニーが言おうとしたらレオンが何かを話し出した。
「その昔、彼の地に神が舞い降りた。神の名、イグドラシルと言う。神は世界の中央と言われる島に、塔を―『月光守護塔』を出現させた。しかし、15年前の争いで塔は消え、この世に災いを齎した・・・」
「何だそれ?」
グレンドルが聞くと、レオンは眼鏡を抑え、話した。―セイナは話が分からないか、何処かへ行ってしまったようだ。
「過去に伝わる話ですよ。」
「それって今言った『月光守護塔』の話か?」
セイガが聞くと、レオンは頷いた。
「じゃあやっぱり、話の『災い』って言うのは、この事だったのね!?」
シンフォニーが話を締めた。確かにそれだと辻褄が合う。
「でも、一体誰がやったんだよ?まずはそこからだぜ?」
グレンドルが言うと、セイガはハッとして、言った。
「なぁ、あいつ等の言ってた辺境王のコンクル・シオンって奴じゃないか!?」
そう言うと、彼らもハッとした。
「そうよ!そうかもしれないわ!」
「あまり疑うのも気が進みませんが・・・今回の場合、あり得ることかもしれませんね。」
シンフォニー、レオンが言い、グレンドルも頷いてみせた。
セイガは拳を握ると、
「これで情報は揃ったぜ!・・・とは言うものの、いつ奴と戦うんだ?」
レオンが彼にしては珍しいような発言をした。
「明日にしてはどうですか?放置すると世界が大変なことになりそうなので。」
「おっ?レオンにしては珍しいな。じゃあ、明日に決定だ!」
グレンドルは拳を空に突き上げた。皆も頷く。

(220.213.99.189).. 2007年04月22日 02:32   No.177018
++ ウェリス (第1個目の修行)…17回       
クォーツさん有難う御座います!
お陰で順調に進んでいます♪もうすぐ1章も終わるところですよ☆
後、上のレスの疑いの部分は他に浮かばなかったので、これにしました;
変に思わないで下さい〜!!

では少しネヴィアのお話も―
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ほう。とんだ勘違いをした奴らだな。」
暗黒雲を発生している島の地下部分。ネヴィアは哀れむように笑った。
高技術なのか、地下室には監視モニターが設置されていた。
「彼らの力、見る限りにまだまだだな。愚か者め。地獄を見るだけなのにな・・・」
自信に溢れたような言葉を漏らす。
「ネヴィア様。」
ネヴィアの部下だろう、誰かがやってきて、名を呼んだ。
「欠片を発見しました。」
謎の言葉を発すると、さっきの笑みよりも残虐な笑みが浮かんだ。
「そうか、ご苦労だ。しかしあと残りは3つだ。どんな手を使ってでも見つけ出せ。」
「はっ。」
部下は敬礼をして、その場を去った。ネヴィアは笑みを消すことも無く呟いた。
「世界は私の手に近い。あの4人を消して新たな拠点、そして『あの力』さえ手に入れれば・・・!!」
口に浮かべた笑みはついに声となって部屋中に反響した。
ネヴィアの存在は一体何なのか?
そして彼が求める『あの力』とは―!?

(220.213.99.189).. 2007年04月22日 02:48   No.177019
++ クォーツ (第1個目の修行)…16回       
いえいえ、了解ですよ〜。
では、そろそろ2章選出メンバーを決めなくてはなりませんねー(メモ帳にいろいろ描いているんですよ、未採用アイデアも)


セイガ達と戦闘し、『その体に』しっかりと情報を刻み込んだカオス達は、月光世界の中央の島「中天島(ちゅうてんじま)」へと戻ってきた。一度辺境世界に帰還し、辺境王への直接報告や受けたダメージの回復をしなくてはならないからだ。
「くっそー、あいつらやるじゃんか」
「グレンドルさえ割り込まなかったら勝ってたのに!」
口々に悔しさをこぼすアビスとガイアだったが、カオスだけは無言だった。撤退し始めてから未だに一度も口を開いていない。その先には、辺境王となんらかの関係があるというネヴィアの通信室らしき部屋があったからだ。カオスらはそこで中間報告を行うことになっている。そこでの報告は、暗黒雲の活性化の度合いが主だった。
「そうか、計画は順調だな。ところで、ネヴィアはどうした?」
「俺達が来る少し前に留守にしたみたいです」
暗黒雲の活性化は、コンクル・シオンにとって好都合らしい。ネヴィアがいないことを知ると、コンクルは話題を切り替える。
「では、4人の王はどうだ?『剣』として相応しい状態か?」
「潜在能力は申し分ないけど、まだ『熟成期間』ってやつが必要みたいだぜ」
アビスは『熟成期間』という言葉でセイガ達の未熟さを表現した。
「なるほど、まだ覚醒しきってはおらんか。王たちの動きは分かっているか?」
「こっちに向かうみたいです。暗黒雲ってあいつらにとっては邪魔物以外の何物でもないですから」
ガイアの言うことはもっともだろう。事実、暗黒雲のせいで伝説獣まであの有様なのだ。邪魔物か厄介物以外に考える者など殆どいない筈である。コンクルにとっては殆ど関係ないことのようではあるが…。
「じゃあ、俺達は一度そっちに戻ります。傷を癒す必要もありますんで」
「分かった。詳しい報告はこちらに着いてから聞くとしよう」
そう告げると、コンクルは通信を切った。

(122.30.0.80).. 2007年04月22日 07:38   No.177020
++ クォーツ (第1個目の修行)…17回       
月光世界の中心部の島の名称は勝手に決めてしまいました。ちょっとひねって「中天」という言葉を使ってみました。辺境世界内部も、少々。


様々な生態の生き物が共存している特殊な地、それが辺境世界である。カオスらのように体が特殊なものが多いのもこの世界の影響である。自然が繁栄し、しかし都市部の技術力には目を見張るものがあるーーそれが、辺境世界の実態だ。そんな辺境世界のとある草原地帯、方角からするとやや東方に位置する場所に通称『稀身族(きしんぞく)』と呼ばれる、基本的な体つきはカオスらと全く同じ少年がいた。まぁ、体つきというか基本形状が同じなだけで、色や『個性』を構築する『パーツ』はそれぞれ違う。例えば、この少年フィリーは、水色の水晶玉をはめた黄色の帽子と水色の翼で構成されている。そんな彼は、とある事件で言葉が話せなくなってしまった同級生のランストルと共に気張らしに散歩に出ていた。

フィリーとランストルは、同じスクールの同級生だ。辺境世界の、東方地区の端にある小さなスクール。田舎であるが故、中央の政府からは大した援助を受けてもらえない、決して裕福とはいえない学園である。辺境世界では、学校や学園のことを『スクール』と呼ぶ。厳密には我々の世界でいう義務教育のようなものを受け持つ学校や学園の総称がスクールであり、それ以上の高校や大学と同等の教育機関は『エクストスクール』と呼ばれ区別されているわけだが。フィリー達のスクールは決して良い環境とはいえないが、それでも生徒たちはのびのびと暮らしていた。フィリー達はもうすぐ卒業式を向かえ、晴れて義務教育から卒業することになる前日にあった。そんな、とある快晴の休日の昼下がりに散歩に出たわけである。

そんな時、現在地からは結構遠い、中央都市部の一角で異変が起きたのをランストルが察知した。言葉が話せないという不自由があるものの、その副産物なのか気配の察知能力が飛躍的に向上したのである。
「どうしたの?中央で何かあったの?」
ランストルの意思に気付き、すぐさまフィリーが反応する。フィリーとランストルは心がリンクしているので、ランストルの考えることはフィリーには文字通り手に取るように分かる。
「中央に行きたいの?でも、最近物騒になっているから中央へは近づいちゃダメだって先生から言われてるんだよ。今は行けないよ?」
フィリーは制止しようとするも、ランストルは今行きたいと言わんばかりに手足をパタパタさせている。
「うーん、今はダメだけど…卒業式は明日だから明後日行ってみようか?」
卒業式は意外と長引くことがあるのを承知しているフィリーは、敢えて2日後と指定した。そうでもなければ、両親に心配をかけかねないからだ。それに、行き先が中央都市ともなれば、それなりに準備も必要なのだ。
「うん、明後日行こうね、ランストル」
どうやら分かってくれたようで、ランストルは頷き、フィリーは内心ため息をついていた。
(またいつもの霊感騒ぎで終わればいいけど…)
ただ、いつもとはどことなく違う…。フィリーもまた、中央都市部に違和感を感じていた。

(122.30.0.80).. 2007年05月02日 05:17   No.177021
++ ウェリス (第1個目の修行)…18回       
いつもいつも有難う御座います!
コンクル・シオンの行動が気になりますね〜。。。
まぁ、私が早く書き上げればその事も分かるので、なるべく早く書こうと思っています!(でも今日テストだし、2日続けて部活が1日練習じゃん;;)
あと、セフィーではなくフィリーじゃありませんでしたっけ?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「じゃあ、そろそろ行こうか!」
決戦の日の朝、セイガ達はその島から一番近い気候族にいた。
「っと、その前に―」
レオンが全員の方を向き、眼鏡を抑えた。
「準備の方は大丈夫ですか?剣の具合も見た方が良いですよ。特にセイガと私ですが。」
「あーそっか。忘れてたや。」
セイガは頭をかくと剣を抜き、一、二振りした。風が唸る。
レオンも剣を抜き手の中で回し一度振ると、調子が分かったかのように頷き、鞘に収めた。
「よし!これでOKなんだな!!よ〜し、やるぜぇ〜!!」
グレンドルは腕を回し、決戦とは思わせないような口調で言った。
シンフォニーは頷き、
「危険なことかもしれないけど、暗黒雲を消すためよ。やりましょう。」
と言った。セイガは拳を握り、空へ掲げると、叫ぶように言った。
「よし!グズグズしてられない!行くぞ!!」
セイガが言うと、彼らも「おー!」と答えてくれた。しかしその時、大地が激しく揺れた。
「何だ!?」
立っていられないぐらいの揺れだ。シンフォニーは何かを見つけたか、目を見開き指を指した。
「あれを見て!!」
全員が島の方を見る。そしてその顔は驚愕に変わった。
島から塔が出現したからだ!震えながらセイガが口を開く。
「お、おい・・・あれってまさか・・・」
「月光・・・守護塔ですか・・・?」
レオンの行った通りだった。
以前彼が話した過去の話の中に出た、月光守護塔が出現したのだ!
揺れが収まり、辺りには静けさが戻る。グレンドルはハッとして、
「きっと島に何かがあったに違いない!!」
と言った。確かにそれは有り得る話だ。セイガは剣の柄に手を触れ、
「行こう!もしかしたら暗黒雲が増幅する可能性も高い!!」
と言った。皆は頷きそして、走り出した。
―暗黒雲を消し、この世界を統合すると、胸に誓い・・・。

(220.213.103.206).. 2007年05月02日 00:44   No.177022
++ クォーツ (第1個目の修行)…18回       
OH!!すっかりミスってたゼ!!
というわけで、急遽修正しますた。指摘どうもです。

中天島に月光守護塔が出現したのと時を同じく、カオスら可変三銃士は辺境世界の中央都市部に帰還していた。詳細報告とダメージの回復を済ませる為である。そんな彼らも、月光世界での異変に勘づいたらしく、思わず上をーーただただ広いだけの空を見上げる。それは、辺境世界が月光世界の下、解釈によっては地下世界ともいえる場所だからであろう。
「…月光世界で何かあったのかしら?」
「この感じは…何かが地下から出現したか?」
「何かって…何だよ?」
ガイア、カオス、アビスの順に疑問の声が上がるが、通信機越しに彼らと対峙していたコンクルはさほど気にしてはいないらしい。
「月光世界で異変が起きた。月光守護塔と呼ばれる、15年前に消えたという塔が出現したのだ」
「場所は?」
「中天島だ。丁度、お前達がこちらに戻ってすぐのことだ」
説明し、カオスの疑問に答え、コンクルは薄ら笑い。これも彼にとって好都合だとでもいうのか。
「傷を癒し終えたら、すぐ我が宮殿に来い。『剣』達が中天島へ来る時は近いぞ」
コンクルはそう告げると、通信を切った。
「…さて、また月光世界に行くかぁ…」
アビスはそうぼやいていた。

(122.30.0.80).. 2007年05月02日 05:31   No.177023
++ ウェリス (第1個目の修行)…19回       
この小説を読みたい!と言っている私の友達がいるので、早めに更新するよう頑張ります!!
※ちなみにこの話中、レオン君が大変なことになります。
吐き気を感じた場合は読むのを控えましょう(笑
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セイガたちが気候族を出て約3日。現在は塔へ向かうべく船に乗っている。敵もまだ1体も襲ってくることはない。
「後どのくらいしたら向こうに着くんだ?」
セイガが船に揺られながら聞く。グレンドルは
「後もうちょっとかな?どうなんだ、レオン。」
グレンドルはレオンのほうを向いたが、下を向いている。
「ちょ・・・話しかけないでくれますか・・・?・・・うっ、うぇぇ」
レオンにしてはかなり珍しい光景だ。どうやら彼は船に弱いらしい。船に乗ってからずっと無言だったのはこのせいのようだ。
「ほら、レオン。下を向くのが悪いのよ。遠くの景色を見ればいいじゃない。」
シンフォニーが言っても聞けないほどらしい。やはり下を向いている。
「やっぱ聞かないほうが良かったか。・・・って吐くな!レオン!!」
「すみません―おぇぇぇぇ。」
ついに水面に吐いてしまった。本当に以外だ。
「だ、大丈夫か!?おい!さっさと漕いでいっちまおうぜ!!」
セイガはほぼ叫ぶように言った。レオン以外は頷き、オールを持ってせっせと漕ぎ始めた。

3人でオールを漕いだお陰か、5時間を2時間半と半時間で着くことが出来た。
レオンはとっとと船を離れ、空気を沢山吸っていた。これでもう大丈夫なようだ。よかった、よかったと3人そろって思っている。当然であると思うが。
「さて、心配をお掛けしましてすみませんね。では行きましょうか。」
そう言うと4人は塔に沿って螺旋状になっている階段を上がり始めた。
塔の周りは曇っていて、強い風も吹いている。しかも、横薙ぎに吹くため転落する可能性もあり、非常に危険だ。
4層目ほどした所に穴が開いているため、きっとそこから入るであろうと全員で考えた。
「よっし!急いで向かうぞ!!」
セイガは全員のほうを向いた。髪が、風に靡いていた。
しかし、この風がレオンの隠していた左目の真実を知る鍵になってしまう・・・。

(220.213.104.132).. 2007年05月12日 23:18   No.177024
++ ウェリス (第2個目の修行)…20回       

守護塔を上り始めて1時間は経っただろうか、あまりの長さか、まだ2層目の所にいる。
「ここ、長くねーか?風も強いし・・・。」
グレンドルは疲れ呆れたように話す。本当に風が強い。下手をしたらまっ逆さまに落ちて大変な事になる。致命傷にもなると考えられるだろう。
しかし、突然嵐のような風が起こり、シンフォニーは足を滑らせてしまった!
「シ、シンフォニーッ!!」
セイガは手を伸ばし、咄嗟に彼女の手を握った。頬が赤く染まる。
グレンドルも手伝ってくれたお陰で、シンフォニーを引き上げることが出来た。
「あ、有難う・・・。」
セイガは首を振り、「別にいいって。」と言った。
しかしそんな最中、レオンは乱れた髪を整えていた。その髪の毛の裏にあった傷を、3人は見てしまったのだ。
血こそは流れてはいないが、相当深いのであろう。額から顎まで、左目に被る様になっていた。
「おやおや、見てしまいましたか・・・。」
レオンは目を伏せてしまった。セイガは
「その傷は一体何があって出来たんだ?」
と、口を開き難そうに聞いた。レオンは怒ってこそ無いが、言いたくは無い、と言うようにして、口を開いた。
「過去の話です。―15年前の争い、つまり私が3歳の時ですね。私の父は、先代王として、戦場に向かいました。私は父が心配だったので、母の隙を見て戦場へ向かったのです。当然私は敵に目をつけられました。『こいつを生贄にするために』・・・と。」
「まさか・・・!?」
話を読み取れたか、シンフォニーは目を見開いた。レオンは頷く。
「ええ。父は私を助けようとしました。しかし、敵兵士が魔術―『ウインドブレード』を使ってきて、私を殺そうとしたのです。父はそれから私を庇い・・・死にました。」
「・・・嘘・・・だろ?」
グレンドルが聞いたがレオンは首を振った。
「その魔術の最後の一撃が、父ではなく、私のこの傷の部分に当たったのです。当然幼少の頃であまり力が無いものでした。そこからは長老が運んでくれたらしく、この傷も大体は治療して貰えました。・・・しかし、使えるのは片目だけで視力も良くないので、こうして眼鏡をかけているんです。」
「そう・・・だったのか。―じゃあその前髪は傷を隠すために・・・?」
セイガの問いに、レオンは頷いた。
「この前髪は戒めを表すことでもあり、これから2度と、この様な過ちを起こさないように、という私の思いです。」
セイガは「そうか・・・。」と言うと、止んだ風の中で、ずっと佇んでいた。

(220.213.103.105).. 2007年05月15日 00:01   No.177025
++ クォーツ (第1個目の修行)…19回       
「レオンの片目にはそんな秘密があったのか」
『!?』
いつからその話を聞きつけていたのか、セイガ達の目の前にカオスがいた。そのやや後方には、何やら光り輝くリングのようなものがある。
「安心しろ。どうせお前らは最上階まで辿り着かなきゃならないんだし、今は見逃してやる」
挨拶代わりのビームを放つと、カオスはリングの向こうに消えていった。更にそのリングも消える。そして、この射撃が思わぬ事態を招いた。直撃したのはセイガ達の後方の階段の一部で、そこから下の部分が崩壊してしまったのだ。思わず息をのむ4人、だが後はない。4人は退路を断たれ、月光守護塔に閉じこめられたも同然の状況に陥ってしまったのだった…。

(122.30.0.80).. 2007年05月15日 05:04   No.177026
++ ウェリス (オリカの才能がUP!)…31回       
「くそっマジかよ!!」
突然の攻撃、階段の崩壊によりセイガが驚くのも当然であった。
セイガは皆の方を振り向くと、「どうする?」と言い、首を傾げた。
その答えにはグレンドルが掌に拳を打ち付けながら言った。
「当然、このまま上り続けるぜ!それしか道はないからな!!」
2人もその答えに賛成、と言うように頷いて見せた。セイガも頷き返し、拳を握った。
「よし!先に進もう!!」

あれから無言でセイガ達は上り付け、ようやく穴のある4層目まで辿り着いた。
内部は薄暗く、所々にランプが付いていてその明かりを頼りにして進むしか無かった。
やはり話す言葉も見つからず、ここでもずっと無言で歩いていた。
しばらくまっすぐ歩いていると、何か足で押したような感覚がして、その後頭上から槍が降ってきた!
「トラップか!?」
思わずセイガは叫んでいた。しかし、雨のように降り注ぐ槍を剣で、拳で悉く弾き返した。
「ひー。危なかったぜ・・・。」
グレンドルは咄嗟のトラップによって噴出した冷や汗を拭いつつ言った。
「下手をしたら暗黒雲どころではありませんでしたね・・・。あれ?そういえばシンフォニーはこの状況をどうやって切り抜けたんですか?」
レオンは尋ねると、シンフォニーは懐から投擲用ナイフを5・6本取り出した。
「これで戦っていたのか?」
セイガは聞くとシンフォニーは頷いた。どうやら彼女が言うには、詠唱が出来ない時など、本当のピンチに使うそうだ。
今、槍を弾き返したぐらいなら、相当な腕前なのだと皆思った。

(220.213.113.181).. 2007年05月28日 23:02   No.177027
++ ウェリス (第2個目の修行)…22回       

それからは足元にトラップのスイッチが無いか確認しつつ、前へと進んでいった。
結構歩いただろうか、暫くしたら、歩いている所よりも一際広く、明るい広間に着いた。
どうやら此処から先は行き止まりのようで、円形方をしていた機械に魔方陣が掘られて淡く輝いているものを見つけただけだった。
「これは一体何なんだ?」
セイガはこれが何なのか全く分からなかった。シンフォニーも、グレンドルも分からないようだ。
ただ1人―レオンだけが、これがなにか分かったようだった。
「これは空間転送置ですね。まぁ、言わなくても分かると思いますが、これで最上階へ空間移動をすることが出来るのでしょう。」
と、眼鏡を抑えて言った。
レオンは機械類を作るのが得意で、知識も豊富だった。
「へぇー。そうなのか。」
「この先覚えておくと良いかもしれないわね。」
グレンドルとシンフォニーが口をそろえて言った。
確かにこの様な仕組みは他にも様々な所にあるかもしれない。覚えておく価値は十分にあるはずだ。
「よし、早速起動させるぞ!」
全員が転送置に乗ったことを確認し、レオンは横にあったスイッチを押した。
目の前が白く塗りつぶされる!
浮遊する感覚を持ちながらセイガ達は最上階に向かった―!!

(220.213.107.81).. 2007年05月15日 22:35   No.177028
++ ウェリス (第2個目の修行)…23回       

白い視界から抜け出すと、そこは最上階のようだった。
さっきの広場より十分に広いが、あまり明るくは無かった。まるで、暗黒の塊がそこら中に広がっていたようだった。
「此処が最上階なんだな・・・。」
辺りを見回してセイガは呟いた。その時、部屋中に声が響き渡った!
『よく此処まで辿り着いたな。』
「出て来い!コンクル・シオン!一体何が目的なんだ!!」
グレンドルはその声に劣らないような声を出した。声が反響する。
コンクル・シオン―なのだろうか?―は今のグレンドルの台詞に哀れむように笑った。
『コンクル・シオンだと?とんだ勘違いをしているな。愚か者どもが!!』
怒涛の声と共に、その姿が現れた!
到底とは言えないが、彼らが思うコンクル・シオンとは全く持って違う姿だった。彼の体からはかなりの闇の力と殺気が見えるように放たれている。
「じゃあ・・・お前は何者だ!」
セイガは声を張り上げた。謎の人物はさらに残虐な笑みを浮かべ、告げた。
「私の名はネヴィア。愚か者どもを排除すべく、魔界から来た者だ。」
あっさりと名を名乗ったが、残虐な笑みは消えない。
「排除・・・と言うことは、この世界を闇に沈める―という事ですか?」
レオンは怒り、のようなものをその目に浮かべた。ネヴィアはますます面白げに笑う。
「よく分かったな。然程の力は持ってなさそうだが、知力はあるのだな。」
まるで、馬鹿にするようだった。シンフォニーは懐から投擲用ナイフを取り出し、構え叫んだ。
「世界を闇に沈めるなんてこと、私たちがさせない!!」
「そうだ!」と言い、セイガは、レオンは剣を引き抜いた。グレンドルも拳が白くなるまで握り締め、構えた。
「ククク・・・どこまでも笑わせる奴等だな。良いだろう!相手をしてやる!闇に沈む星と共に貴様らも闇に沈むがいい!!」
今までの邪悪な力と殺気はさっき以上に増した。
「皆、これが最後の戦いだ。こいつを倒して世界を統合するんだっ!!」
「当然だ!行くぜ!」
セイガ、グレンドルの前衛組はネヴィアに向かって走り出した!
「先制攻撃っ!ストレイト・ブレイカー!!」
グレンドルが拳に溜めた気を一気に放出した。地面を削りつつ、気が一直線に飛ぶ!
気はそのままネヴィアに直撃した。グレンドルが鼻の下を擦って見せた。
「へっ。避けれなかったか!」
しかし、グレンドルの予想は外れた。ネヴィアは全く攻撃を受けた様子が無かった。体についている鎧も、ヒビ一つ入っていなかった。
「何っ!?」
4人は目を見開いた。鉄板すらも余裕で貫く気が、全く効いていないのだ。

(220.213.107.81).. 2007年05月15日 23:41   No.177029
++ ウェリス (第2個目の修行)…24回       
これで1章はラストです!
次の2章もそろそろ準備開始です!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
セイガは舌を打ち、シンフォニーの方を向いた。
「シンフォニー!水の力を貸してくれ!」
「分かった」と言うように頷き、魔方陣を発動させた。詠唱は一瞬で終わった。
「パワード・アクア!」
『パワード・アクア』は一人に水の力を貸す術であり、すぐに詠唱は終わるが、攻撃系ではなく、使える人もなかなかいない。剣術に長けている分、セイガは使えなかったのだ。
青い光がセイガの頭上に落ち、セイガは青い光に包まれた。
「いっけぇ!!水星牙滝斬(スイセイガロウザン)!!」
セイガが剣を振るうと、水の力を一気に放出した。牙のように水が襲い掛かる!
やはり傷一つつけることは出来なかった。しかし、ネヴィアの体は水に濡れた。
―それこそが狙いだった。
「いけぇ!レオン!!」
「雷の力を受けなさい!―雷牙襲爪激(ライガシュウソウゲキ)!」
水は電気を通す、その特性を活かすつもりで水星牙滝斬を放ったのだ!
空気との摩擦で発動した雷がネヴィアの体をズタズタにする―はずだった。
「無駄な行いだ。・・・くだらんっ!!」
ネヴィアが腕を一振りするだけで、雷は弾かれた。それと共に水も弾け飛び、セイガ達の前で、爆発的な放電が起こった!
「うわっ!!」
雷と共に、セイガ達は吹き飛ばされた。壁に背中を打ち、息が詰まる。
自分達がこんな力を持っていた、という事には驚くが、自分が喰らうのではまるで意味が無い。
「今度はこちらからやらせて貰おうか。」
言うにネヴィアの足元に黒い―漆黒の魔方陣が広がった。
「魔術なんて・・・使わせないっ!!―スラッシュナイフ!」
シンフォニーは手にしていた投擲用ナイフを2.3本投げつけた。しかし、悉く弾き返されてしまう。
ネヴィアの詠唱が―終わってしまった!
「消えるがいい!ダーク・スパイラルランス!!」
部屋中に巨大な魔方陣が浮かび上がり、黒い槍が水平に此方に向かって飛んできた!
「皆!こっちだ―守護封(シュゴホウ)!!」
守護封・・・それは体内にある魔力を魔術攻撃から守る障壁として使う防御技の1種だ。
3人はセイガに集まり、障壁の中で身を守っていた。
「無駄だな・・・。」
ネヴィアがそういうと、障壁にヒビのようなものが入り、呆気無く崩れてしまった!
最後の1本かと思われる槍が頭上から降ってき、セイガ達を襲った。恐ろしいほど強い。
「くっ・・・守護封も無理なんてっ!!」
膝を突きながらセイガは唸る様に言った。しかし、レオンは立ち上がった。
「まだ、完全に負けたわけではありません!最後まで戦うのです!!」
眼鏡が吹き飛ぶぐらいの勢いで、レオンは剣を振るった。
セイガも負けじと立ち上がり、共に剣を振るった。グレンドルも足を振り上げ、思い切り蹴り込んだ。
「うおぉぉぉっ!!爪牙連脚(ソウガレンキャク)!!」
グレンドルはさっき以上の力を出した。恐ろしい速さでネヴィアに蹴りを入れる。
ネヴィアは小さく舌を打って、手から暗黒の光を出した。
「いい加減鬱陶しいのだ。・・・消えろ。」
その光を地面に打ち付けると、光は一気に広がり、セイガ達を吹き飛ばした。
「うわあぁぁっ!!」
目の前が真っ白になる。
ネヴィアの笑い声と、どこかへ吹き飛ばされる感覚を持ちながら、セイガは気を失った―
    〜月光神羅万象第1章 完 〜


(220.213.97.107).. 2007年05月16日 00:08   No.177030


▼返信フォームです▼
Name
Email
ホームページ    
メッセージ
( タグの使用不可 )
Forecolor
アイコン   ICON list   Password 修正・削除に使用