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「リレー参加作品『愛しき人、最後の事件』」作者⇒ムーラ
俺は古びた部活棟の階段を駆け下りた。長門が文芸部室の扉の前でまだ俺のことを見つめていることが分かった。お前はマジで本物の長門なのか?という疑問も生まれて来る様な、いつもの長門からは見たことも無い澄んだ瞳で。…もし、今の長門が裏の長門であれば、わざとハルヒに俺の気持ちを聞かせようとして…いや、それは無いな。本人も今は本物の長門有希って言っているわけだし。俺も数え切れない不可思議出来事のせいで、マジで思考回路がヤバくなっちまったのか?そんなことを思っているうちに俺は俺たちの教室へと続く廊下に出た。しかし、ハルヒの姿は俺の視線の先にはもういなくなっていた。
――どこに行っちまったんだ?ハルヒ。
そもそも、陸上選手並みの運動神経をもつハルヒに追いつける一般人なんて、中々いないと思う。
ふと考えてみる。そもそも、俺はいつから、こんなにハルヒの為に尽くせるようになったのだろうか。
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。」
あの日、あの時、俺の後ろの席で周りをドン引きさせる自己紹介を堂々としたハルヒ。俺はあの時から、ハルヒの事を意識していたのだろうか?いや、違う。あの時はまだ、周りのクラスメイト同様に、ハルヒを変わった美少女だとしか思っていなかったと思う。 じゃあ、クラスで孤立していたハルヒに好奇心に駆られて、初めて話かけたあの日か?
「なぁ、初っ端の自己紹介のアレ、どの辺りまで本気だったんだ?」 「初っ端のアレって何?」
いや、違う。あの時もまだだ…。
.. 2010年02月06日 17:48 No.617001
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