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■--ご機嫌NOVEL祭★編集長は私なんだからねっ★31
++ 千歳 (朝倉 涼子)…75回          

長門がこっちを見て数秒。長門はまた手元の本に視線を戻し、文芸部室に、いやSOS団室に沈黙が生じる。この静寂な空気。俺は嫌いじゃない。いいや、逆に心地よくさえある。が、しかし、そうも言ってられない。
「なあ、お前は表の世界の長門有希なんだな」
「そう」
「じゃあ、世界の修復は終わったわけだ」
「終わった」
長門は相変わらずのそっけない返事で、一連の事件の終結を教えてくれた。
「お前にはいつもすまないな」
「そうでもない。今の安寧が続けば、私はそれで良い」
長門が珍しく、いわゆる無駄と言われる言葉を紡いだ。こいつ自身にも色々あったんだろうか。だが、これ以上聞く必要はない。そう、これ以上聞くのならばそれは、俺の事件に対する好奇心とやらだ。
「なあ、結局この一連の事件は何だったんだ?」
「知りたい?」
長門が珍しく俺の質問に素直に答えなかった。けれど、もう俺の意志は固まっている。
「そもそもの原因は涼宮ハルヒ」
そんなこと分かっていた。それに長門よ。お前までハルヒをそんな風に言わないでくれ。
「まず、この事件の発端である『白い影』。あれは誰でもない。あれはただあなたを裏の世界へ連行するためのガイドのようなもの」
どうやら長門は、俺に分かりやすいよう順序だてて説明してくれているようだ。と言うか、そもそも裏の世界って何だ。
「上手く言語化できない。けれど敢えて言語化するならば、表の世界の精神のそぎ落としが作った世界」

裏世界とは、いわば『精神世界』。そこには人格のみが存在し、その人格は表の世界と連動しあらゆる挙措を制約させられている。そう、あくまで規則を守らされているだけで、自ら進んで守っているわけではない。願望に貴賎貧富の差はない。あらゆる人があらゆる願望を持ち、その願望が成就されない時だって多々ある。と言うか、願望なんて叶わない方が多い。裏の世界ではもちろん、表の世界でも自由にやれないことの方が圧倒的に多い。表の世界の人間はまだしも、裏の世界の人格は耐えられたもんじゃ、ない。

「けれど所詮は裏の『世界』。表の『世界』とは異世界関係にあるはずの世界が繋がることが、あるはずが無かった。しかし」
「そこでハルヒの力なんだな」
憶測に同意を求める。
「そう。今回の件では涼宮ハルヒの世界改変の力が暴走したものだと、思われる」
そして、と長門は付け足す。
「幾たびに亘る世界改変がこの世界に負担をかけていたのだと推測できる。今回の事件はちょうど世界の負担が許容量を超え、突発的なバグが発生したと思われる」
なんとも今日は長門の長セリフをよく聞く日だ。ともあれ、俺は今度こそ聞くべき事が無くなって…………、いなかった。思えば、裏の世界へ行ったときも表の世界でも、俺なんかは見なかったし、長門にいたっても暴走しているようには見えなかった。
「私やあなたは例外。あなたや私は何も望んでいないから、その願望が暴走しなかっただけ」
.. 2010年01月31日 07:35   No.616001

++ 千歳 (朝倉 涼子)…76回       
「リレー参加者『状況説明、そして告白、故に勘違い』」作者千歳

俺にも願望ぐらいあるはずだが? ほら、今も睡眠が欲しい。
「あなたはそれを他の物を犠牲にしてまで望んで良いものだとは思っていない。根本の部分で私たちは現状維持を望んでいる」
なんとも分かりやすい回答だった。俺と比べたら雲泥の差だな。
「あなたに聞きたいことがある」
と、長門が唐突に聞いてきた。
「ああ、いいよ」
あまりにも突発的だったから、反射的に了解をしていた。しかし何なのだろう、長門から質問とは。初めてじゃないか?
「あなたの中で涼宮ハルヒはどういう存在?」
それはほとんど疑問形ではなかったが、それ以上に俺にはその質問の内容に驚愕した。
それは小泉に憤慨した俺が抱いた疑問と同じだったからだ。しかしなぜ、そんなことを俺に聞く。
「その回答によって、これからの涼宮ハルヒによる世界改変を抑止する方法を発見できるかもしれない」
それにと、長門は続ける。
「私の私情もある。できればあなたの中で、私がどういう存在なのかも聞いておきたい」
今度はさらに驚いた。長門は多分何らかの思惑を持って、俺にそんな質問をしてくるのだろう。
「どういう存在、か」
思わず口に出していた。その一挙一動を長門は、俺だけに分かる感情のこもった――おそらく真剣な眼差しで俺を見つめる。
その質問に答えは無いんじゃないかとも、思う。
「答えられないってのは、無しだよな?」
「できれば答えて欲しい」
長門は恥ずかしいことを色々と聞いてくる
――長門かハルヒどちらが大事かと言われたら、どちらもと答えるしかない。
――長門かハルヒどちらが可愛いかと聞かれたら、どちらも良いんじゃないかと、思ってしまう。
じゃあ、長門かハルヒどちらが好きかと聞かれたら?
そんなこと決まっている。俺はハルヒが好きだ。
あのえもいわれぬ、閉鎖空間の時の感情、小泉に言われた時の激情。答えは多分、そこにあると思う。
「長門――」
俺はハルヒが好きだ、と言おうとした矢先、部室のドアの外で何かが走り去る音が聞こえた。
まずいっ! 聞かれたか? どうやら長門と話している間に、部活動の生徒たちが登校していたようだ。 
「油断した。涼宮ハルヒの接近に感知できなかった」
長門はきわめて冷静に見えるが、俺の洞察力は長門があせっていることを教える。
腰掛けていた椅子から立ち上がり、陸上選手並の瞬発力で廊下へ走り出る。
ハルヒは遥か廊下の端へ。朝の陽光にキラッ、と輝くものが落ちている。涙だ。おそらく涙であろう水滴が、ハルヒの走り去った方向へ点々と続いていた。
「おそらく涼宮ハルヒはあなたの言葉のはじめだけを捉えている」
ようは、ハルヒは『長門、俺はハルヒが好きだ』の『長門』だけを聞いて、走り去ったんだ。
「少し走ってくるよ」
長門はそれだけで了解したようだ。
「あなたに任せる」
俺に一蓮托生した長門は、ハルヒを追いかける俺をよくわからない瞳で追っていた。
だがもう俺には一つの使命しかない。ハルヒを、好きな人をなんとしてでも悲しみから救うのだ。  
 
     (紅に続く~)

.. 2010年01月31日 08:22   No.616002
++ 千歳 (朝倉 涼子)…77回       
すいません。昨夜、投稿しようとしたらなぜかエラーになり投稿出来ませんでしたので、今投稿しました。多大な迷惑すみません。
伏線、布石の類はあらかた回収したと思います。ですので、この次に及ぶクライマックスは新しいストーリー的な感じで、伏線、布石を意識しないでやっても良いと思います。
ところで、次は紅さんでよろしかったでしょうか?

.. 2010年01月31日 08:28   No.616003
++ ゆうき (シャミセン)…25回       
ド苦労様ですww
今までの伏線がすべて長門によって
説明されてますね(●^o^●)
さすがです★
ここにきてまた新たな問題ww
そっち路線は想定外でした.

紅さん、がんばって!!!

.. 2010年01月31日 16:58   No.616004
++ 静真 (古泉 一樹)…126回       
ホントにこれまでの伏線がほぼ回収されてますねw
千歳さん、本当にお疲れさまです!

ここでまた新たな展開がきましたね
この展開をどうつなげていくのか、楽しみですw

では紅さんも頑張ってくださいw

.. 2010年01月31日 17:31   No.616005
++ もりぞー (長門有希)…222回       
千歳さん、ユリアさん、お疲れ様でした!
紅さんは辞退したので、次はムーラさんですね。
お手並み拝見です。

.. 2010年02月02日 05:12   No.616006
++ ムーラ (朝倉 涼子)…86回       
千歳さん、お疲れ様です!
伏線、布石をほとんど回収してくれ、自分も執筆しやすいです。ありがとうございます。
文章力も凄いですね~なんか、長門の想いが表れているような気がします。

では、新展開ということで、張り切って執筆させていただきます。
皆さん、期待せずお待ちくださいww

.. 2010年02月02日 17:19   No.616007
++ てえる (鶴屋さん)…60回       
お疲れ様です!

ほぼすべての伏線を回収し、すっきりしましたね~。そして最後の方のキョンが最終回モード入っててかっこよかったwさすが、うまいですね。

次のムーラさんも頑張ってください!

.. 2010年02月02日 22:18   No.616008
++ にょろ~ん (朝倉 涼子)…85回       
お疲れです
こんなに長い・クオリティが高い文すごいと思いました(´-ω-)

あと1つだけ気になったんですけど
「白い影」ってキョンが写真を撮る所まで遡行した時のバグ的な物じゃなかったですっけ?
間違ってたらすみませんw

.. 2010年02月03日 13:47   No.616009
++ 霊夢 (朝比奈みくる)…153回       
お疲れ様でした~
これで「裏世界編」はもうほとんど終りではないでしょうかw(勝手に名前つけるな

これから恋愛系物語になるんですね、分かりますw

.. 2010年02月03日 22:26   No.616010
++ ユリア (鶴屋さん)…67回       
お疲れ様です。

テスト期間が近づいてなかなかパソコを開けずレスが送れてしまいました・・・。スイマセン。

千歳さんうまくつないでいただいてありがとうございます!!
いろいろ残ってたこととかも説明していただいて・・・  
それにしてもあの長門の説明文すごいですね!!
アタシだったらあんなの書けませんwギブですw
やっぱ千歳さん天才だ♪

ホントいろいろアリガトウございました!

では次の紅さんもがんばってください!!!


.. 2010年02月03日 22:39   No.616011
++ ゴエモン&スネーク (朝倉 涼子)…72回       
お疲れ様です。千歳さん。

LVるの高い文章ですね~尊敬しますョ。

にょろ~んくん>
オレもバグ的なものだと思うよ。

では、次の方もガンバってください。

.. 2010年02月04日 20:34   No.616012
++ ふぁいヴ (長門有希)…219回       
返事遅れました、すみません。
千歳さんお疲れ様です。
す・・・すごいですね。
千歳さん最強です!!
長門さんの台詞も上手ですね!
次回も頑張ってください。

.. 2010年02月04日 20:44   No.616013
++ 千歳 (朝倉 涼子)…78回       
御評価、有り難うございます。
<にょろーんさん
<ゴエモン&スネークさん
ハイ、スミマセんっしたー!どこに書いてあったでしょうか?できれば教えて下さい。完全に見落としていました。
<皆さん
全体的に高評価、ありがとうございます!そして提出遅延の件、本当にすみませんでした。
このリレー小説は、原作のアナザーストーリー的なモノと自分は認識していましたが、敢えてハルヒルート(メインヒロイン)の恋愛系で繋げてみました。長門派、もしくはミクル派の方ごめんなさい!(陳謝!!) 
ではでは、最後になりましたが、ムーラさん頑張って下さい。  

.. 2010年02月04日 23:18   No.616014


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