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「リレー参加作品『生還非行-☆』」作者◆もりぞー
煙がはれると、なんとそこには学校の校舎があった。目を疑ったが、北高の校舎らしい。状況がまったく理解できん……。 俺は夢を見ているんだろうか? えーと、確か謎の飛行物体が飛んできて、間一髪、俺はそれをかわしたはずだが……もしかして、校舎が飛んできたのかっ? あり得ん! 昇降口の扉が開くと、中から長門が出てきた。 「きて」 そう言うなりこちらに背中を見せた。誰でもいい、今の俺の状況を一言で解説してくれるやつがいたら、名乗り出てほしい。一月分の小遣いくらいなら楽にくれてやる。 長門は俺に構わず校舎の奥へと進んでいく。今がいつで、どこで、現実なのか、夢なのか、さっぱり解らんが、困ったときは長門に従った方が得策だ。いま長門の背中を見失ったら二度と会えないんじゃないかという妙な不安もあった。 昇降口に入ると、その先の廊下に長門が待っていてくれた。しかし下駄箱の前に俺の姿を認めると、何も言わずに歩いていってしまった。慌てて上履きにはきかえると、俺も無言でついて行く。 もしかして、文芸部に行くつもりじゃないのか? 歩きながら考える。部室には朝比奈さんや古泉、そしてハルヒがいて、みんな俺が来るのを待っているんだ。ハルヒは俺の顔を見るなり、開口一番こう言うはずだ。 「遅かったじゃない、どこ行ってたのよ」 非現実から生還した俺を、みんな暖かく迎えてくれるだろう。すべては決着が着いたはずだ。しばらくは退屈な日常でいい、頼むから普通の高校生活を送らせてくれ。今はそんな気分だ。 前を行く長門の脚が目に入った。華奢なふくらはぎが規則正しく前後に動き、廊下を移動していく。 元文芸部員のおとなしい宇宙人。地球人とコミュニケートするために創られたんだったか。それにしても、よく観察してみると、長門にはおかしなところがたくさんある。たとえばスカートだ。おとなしい文芸部員の割には、丈が短くないか? 宇宙人の情報不足ゆえの…………って、ちょっと待て! 何かおかしいぞっ! あり得ない状況を前に、俺の思考は中断された。なんですぐに気づかなかったんだ? 前を歩いているのは長門じゃないぞ。いや、長門には違いないが、普通の長門じゃない! ……何を言ってるのか自分でも解らなくなってきた。……とにかく、ハンパねぇ……。 長門のふくらはぎの先、上履きの手前……その間にあるものが、あり得ないことになっている。違和感ありありだ。 長門がルーズソックスをはいている……。だらだらに落ちて、上履きに被さっている。 なんなんだこれは……。ここはどこだ?
(~霊夢に続く~)
.. 2010年01月16日 21:36 No.607001
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