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「リレー小説参加作品『廃墟ビルにて。』」 作者:霊夢
「いや、それ以前に<不思議なもの>って何だ? 幽霊とかか?」 俺は、超がつくほどの上機嫌になった団長殿に尋ねる。世界を破滅(はめつ)させてしまう危険性のある団長ことハルヒは、俺のほうに振り返り、朝比奈さんを掴(つか)んでいた手を離して、こう言った。 「それ以外に何があるのよ! ……さぁ、行くわよ!」 ハルヒはもう、ほっとけば駆け出しそうだったのだが、ここで一つ疑問が。 「おい。心霊写真を撮るにしても、何処(どこ)へ……」 「僕がいい場所を知ってますよ」 俺はセリフの途中だったのだが、副団長殿がそれを遮(さえぎ)った。またコイツはいらんことを。 「流石(さすが)、副団長! キョンより何倍もいい仕事するわ!」 確かに、このまま古泉がそう言っとかなければ、閉鎖空間が出来てしまい、最終的には悪い場合、世界が無くなるかもしれないので、今のはいい選択なのだろうが、これまた面倒くさいことになった。 こうなったハルヒを止められるやつがいるのだろうか。きっとサ○ヤ人でも無理だね。そう考えながら、俺たちはしぶしぶハルヒの後に着いていくのだった。古泉の道案内により。
そして電車に乗ったり、歩いたりして、やっとこさ着いた。ここ、廃墟(はいきょ)ビルに。 目の前に聳(そび)え立つ、誰が見ても廃墟してると言うハズな建物が、俺たちを見下ろしていて、誘(いざな)っているように見えた。そんな怖さに朝比奈さんは、全身を震えさせていた。 「ほ、本当に……ここに、は、入るんですかぁ?」 実際、嫌なのに無理矢理入らされる朝比奈さんを見ていると可哀相に思ったが、悪いと思いながらも、可愛いと思ってしまった。今、このカメラで朝比奈さん撮ってもいいですかね? 「さぁ、出陣よ!」 さっきからこのテンションであるハルヒ。何処(どこ)からそんなテンションが出てきているのだ&なぜ出陣なのだと、心の中でつっこみながら奥へ進もうとしたそのとき、俺たちの列の先頭にいたハルヒが、一番後ろにいた俺を指差して言った。 「まず、この入口でも撮っときなさい。何か写るかもよ?」 俺は仕方なくポラロイドカメラ(撮った後、すぐに写真が出てくるカメラ)で、薄気味悪い入口を撮る。パシャリといい音を立てて、写真が出てきた。 その写真をハルヒが見ると、「何も写ってない……。次よ次ッ!」と言いながら奥へ入っていった。 そんなハルヒのセリフにため息をすると、長門が俺にだけ聞こえる声でぼそりと呟いた。
「危険」
(〜ユリアに続く〜)
.. 2009年09月14日 23:37 No.485001
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