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「リレー参加作品:プロローグ」作者…新月
それにしても、どうして苦手だったり興味の湧かない授業だとあそこまで眠くなるのだろうか? 気がつけば黒板は数式やら何やらで埋め尽くされ、ノートには不可解な文字や線がいくつも書いてあった。 「この文字は一体誰が書いたんだ? 知っている奴がいたら教えてくれ」 と、言いたい所ではあるが犯人は自分だから何も言う事は出来ない。 最後の授業が終わり、眠い目を擦りながら向かった場所はSOS団の部室だ。まあ、元々は文芸部の部室だったがな。自分では気付かない内に、足は自然と部室に向かうようになっていた。こうなったのも全てハルヒのせいである。 ああ、間違いないね。 俺がサボった日には知らない所で「閉鎖空間」とかいう異次元世界を作ってやがるからな。古泉もその空間の後始末をしなきゃならんし、長門も情報収集や現実世界に起こってしまったハルヒの気まぐれを見つけ出す必要が出てくる。朝比奈さんに至ってはハルヒのストレス発散のためだけに遊ばれて……。要するに、俺の勝手な行動は団員を含めて沢山の人々に迷惑をかけてしまうのだ。だからハルヒからの、今日は休みだから、という連絡がない限り俺は部室に顔を出さなきゃいかんという訳だ。 ……頼むから今日も何も起こさないでくれよ? 部室の前に着いた俺は、ドアノブを握りながらそんな事を思う。 溜息と共に古ぼけた部室のドアを開けた。そこには窓辺で黙々と読書する長門、メイド服姿の朝比奈さんに悪戯をしようと追い掛け回すハルヒ、満面の笑顔で1人でチェスをしている古泉の姿があった。 とりあえず、まだ何も起こっていないようだな。 事情を知らない生徒が見れば異様なのであろうが、今の俺にとっちゃ日常的なこの光景を見て安心し、俺はゆっくりと部室に入っていった。
(もりぞーにつづく)
.. 2009年09月06日 15:50 No.466001
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