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■--(無題)
++ シャノ (ボス)…629回          

では・・・。
 心霊探偵 FILET 奇妙な出会い
 春先の暖かい風が頬を撫で、藤原光希は気だるそうに校庭へ目をやった。誰もいない校庭では、草木が心地よさそうに春風になびいている。
 今年、小学校の最上級生となった彼は、始業式を終え、今はクラスの席替えの最中だった。
 彼が退屈な時を過ごしているのは他でもない。自分と近くの席になる者になど、興味がなかったからだ。
「光希!」
 幼馴染の米村健が、光希に声をかけた。
 退屈そうだな、と言い、健はにやりと笑った。放っとけよ、光希はそっぽを向いた。
「お前、自分の席くらい見に行けよ。後で先生五月蝿いぞ」
 健は、青木を顎で指した。光希達の担任である彼は、二十代半ばの、明るい男の人だった。教室の後ろの壁にもたれかかっている。
「・・・無理だろ」光希は前の黒板を指差した。「女子が陣取ってるもん」
 黒板には、A4の用紙が貼られていた。席順を示したものだ。その前には、十数名の女子が集まり、その周りを男子が文句を言いながら取り囲んでいる。
「・・・遠くから見えるだろ?」健は苦笑した。
 面倒くさ、と言いながら、光希は席を立った。
 光希がふと後ろに目をやると、四人の少年少女が教室の後方に集まり、談笑していた。
 変だな、と光希は思った。用紙に集まっていないからではない。彼が不思議に思ったことは、五年間、この若草小学校に通っていながら、光希が彼等と顔を合わせた事がないことだった。
 転校生、ではないだろう。そんな話は聞いたことがない。
 彼等は、一人は椅子に座り、他の三人は、壁にもたれたり、立ったりしていた。
 変なこともあるもんだ、と光希は首を捻ったが、すぐにその場から離れた。あまりじろじろと見ていては、向こうが不審に思うかもしれないからだった。
 人込みをかきわけ、光希は用紙が見える位置に来た。そして、用紙から自分の名前を探し始めた。
 それは、すぐに見つかった。
 彼の席は一番後ろ。同じ班の人の名前は、烏羽楓、水無月灯、木ノ下薫、中橋翔。
 彼らの名前を、光希は聞いたことがなかった。すぐに彼は、彼等は、あの四人組だということを悟った。
.. 2010年03月28日 18:51   No.2635001

++ シャノ (ボス)…630回       
続き
「お前、どこだった?」
 健が光希の後ろから顔をのぞかせた。そして、用紙から光希の名前を探し当てると、げっと声をもらした。
「うわ・・・よりにもよって・・・」
「なにが?」
 光希は怪訝そうに尋ねた。
「なにがって、そりゃ・・・あ〜・・・お前、オカルト信じないもんなー」健は前髪をかきあげて続けた。「あの四人、変な噂が流れてる」
「変な噂?」
 光希は聞き返した。健は眉をひそめ、こくりと頷いた。
「なんでも、放課後に変な話してたとか、誰もいないところをじっと見てたとか、よくヒソヒソ話してるとか・・・見えるんじゃないかって、もっぱらの噂だ」
「見えるって、何が?」
 光希が言った。
「だからさ・・・」健は声をひそめた。「幽霊」
「幽霊!?」光希は思わず声を荒げた。周りのクラスメートが、光希に視線を投げる。
「しーっ!声がでかいって!」健が慌てて言った。
「お前、それ、信じてんのか?」光希はげんなりとため息をついた。
「え、あ、いや・・別に信じてはないけど・・・ただ、あんまり見た奴が多いから・・。烏羽と水無月の家は、寺や神社だし・・・」
「どうせ、噂だろ?」
 しどろもどろと言う健を軽くあしらうと、光希は席に着いた。
 健は何も言わない。光希がオカルト関係の噂を信じないことを、彼はよく知っていた。

 数分後、生徒達は席を移動した。
 青木は教壇に立ち、満足そうに教室を見渡した。
「一年間、このメンバーだからな。知らない奴とも、仲良くなっとけよー」
 はーい、と、生徒たちの返事が響いたところで、休み時間開始の合図が鳴った。



.. 2010年03月28日 19:14   No.2635002


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