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東電が今の段階で不安視していることが明らかなのは、格納容器に 繋がっているサプレッション・チェンバー(※)の健全性である。 ここには高濃度汚染水が溜まっているので、地震により格納容器が 揺れると、サプレッション・チェンバーとのつなぎ目が破壊される 恐れがある。それは大規模放射性物質拡散事故につながる。 水を抜いて密封し、耐震性を高めたいところだが、抜く方法が 定まっていない。
事故から9年も経って、このような状態である。 津波対策も進んでいない。 10メートル盤にある建屋の防水工事は終わっていないので、敷地が 浸水すれば3・11と同様に大量の海水が流れ込み、汚染水となって 放射性物質を海に流してしまう。
例えばタービン建屋の地下はおおむね水を抜き取り床が見えるところ まできている。 その後にモルタルなどを充填するのかと思えば、そういうことは しないという。充填してしまうと放射性廃棄物が増えるからだ。 しかし津波はもちろん、大雨などでも再冠水すれば汚染水は増える。 充填しておけばその体積には水は浸入しない。 いずれにせよ建屋の撤去が可能な段階は未だ遠く、汚染物が増える どころか汚染物の体積すら分からない現状では、東電の説明は無理な 言い訳にしか聞こえない。
原子炉建屋を含め建屋の地下空間を全てモルタルや樹脂などで 充填していけば、少なくても耐震性の強化にもなり、放射性物質に 汚染されたものが地下や地盤に侵入するのを抑える効果はあるはずだ。 (中)へ続く
(※)サプレッションチャンバー(S/C:Suppression Chamber) D/W(ドライウェル−フラスコ型の容器)とベント管でつながって いる格納容器下部のドーナツ型の容器。1号機で1,750トン、 2〜4号機で2,980トンという大量の水を蓄えている。 「福島第一原子力発電所の概要」より こちら
.. 2020年03月26日 05:43 No.1878011
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