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実際に、気象庁が津波警報を発した時には既に奄美大島に1.2mの 津波が到達した後だった。それでも、その後の警報や注意報の発令は 素早く行われたので、多くの漁船の沈没・転覆(30隻以上とされる)や 漂流についての人的被害は阻止できたと考えられる。
遠地地震の津波被害としては、1960年のチリ地震津波(死者・行方 不明142名、負傷855名、被災者147,898名、被災家屋46,000棟)があり、 太平洋沿岸地域で大きな被害を出している。 津波の波高はこの時よりもずっと低かったとしても、今後も起こり 得るこうした未知の津波被害を未然に防ぐことが出来る津波防災 システムを持ち、稼働させられることは重要なことである。
◎日本への教訓は
日本の火山は現在111ある。これは世界で過去1万年以内に噴火した 火山の約7%に相当するという。 そのうえ海に囲まれた島国であり活火山の約3分の1が伊豆小笠原 諸島や南西諸島などの海域に存在する。 今回と同規模か、もっと大規模な海底火山噴火が日本でも発生して きたし、これからも発生する。
その実例として、昨年8月に事前に警告を発することが出来ない ほど人知れず大噴火し、大量の軽石が漂着した海底火山 「福徳岡ノ場」の記憶は未だ新しい。 硫黄島から50kmほどの海底火山で、今までに大規模噴火を引き 起こす火山との認識はほとんどなかった。 この時の規模はVEI4程度とされている。この火山の噴火が終結 したのかどうかもまだよく分かっていない。
なお、火山憤火予知連は昨年12月に「今後十数年は同程度の噴火が 起きる可能性は低い」との検討結果を公表している。 このような海底火山の噴火が、過去に重大な影響を日本列島に住む 人類に与えた。 7300年前に九州南方沖の薩摩硫黄島周辺で起きた超巨大噴火では、 巨大津波が近隣の島々のみならず現在の大分県や高知県、さらには 三重県にまで到達したことが明らかになっている。 またこの噴火では火砕流が海を渡って九州南部まで到達し、火山灰は 東北地方にまで達していた。 これにより日本列島上の縄文人は大きな打撃を受け、とりわけ九州の 縄文文化は消滅したとされる。
.. 2022年01月29日 08:27 No.2383005
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