東京電力は補償に公正かつ迅速に対応するという。私は極東軍事裁判所条例を想起した。第一条「極東における重大戦争犯罪人の公正かつ迅速なる処罰のため、・・・」公正かつ迅速というのはjust and prompt の訳語である。戦勝国がうらみに思っている相手に公正な裁判をするというのは、悪い冗談のようだ。聖人なら自分につらくあたった人にも公正に対応できるが、ふつう人には無理だ。まさか文明国が邪険な処罰といえないから、公正ととりつくろった?のだ。迅速というのはBC級戦犯裁判の場合によくあてはまる。不正かつ弁護の準備の時間がないように急いで行われた裁判が多い。まさか、こういう「公正かつ迅速」の先例があるのを意識したわけではあるまいが、補償問題にこの語を使っているのを聞いて、何を言っているんだと思った。
蛇足ですが、会合の名前の英文は"high-level U.N. meeting on nuclear safety and security"なので、セキュリティの部分が抜けているのが気にかかります。核セキュリティ、つまり核には常に兵器の問題が付随することを意識させる名称です。日本のマスコミはこれを意図的に国民の目に触れないように細心の注意を払っているのでしょう。
ポツダム宣言はポツダムで発したからつけた名だが、正式名称かどうかしらないが、英語文献では「Proclamation Defining Terms for Japanese Surrender july 26 1945」「1945年7月26日の日本の降伏の条件をあきらかにした宣言」がまたの名である。米英の考えた無条件降伏というのは、アメリカの文書でみると、無条件降伏によって、アメリカは日本国家を解体する権利を得るとした。ポツダム宣言はそのような無条件降伏方式をあらためて、降伏の条件をまえもって示したものである。その条件の一つが軍隊の無条件降伏である。ポツダム宣言受諾の後、日本政府に人物なく、アメリカ政府が日本軍が降伏すればこっちのものだといわんばかりに、日本国家の降伏という形できたのをあらためさせることができなかった。結局、降伏文書の調印では、天皇と政府と大本営が、降伏したかのような文書にサインした。これが1945年9月2日である。