知っている人は知っているが、知らない人は知らないが(笑)「人道に対する罪」なるものが適用されたのは第二次世界大戦後の国際軍事裁判が最初である。国際軍事裁判所条例第6条c項に次のように書かれている。「人道に対する罪、すなわち戦前または戦中において、いかなる(国籍であれ、あるいは無国籍であれ)シビリアンの住民に対してなされた殺人、殲滅、奴隷化、移送(追放)、その他非人道的行為、もしくは本裁判所の管轄に属する犯罪の遂行としてもしくはそれに関連してなされた政治的、人種的、宗教的理由による迫害であり、犯行の行われた国の国内法に違反するしないにはかかわらない。」 こまかな解釈の問題は省略して、このIMT条例C項はそのまま極東IMT条例第5条C項にもちこまれた。ただし宗教的(理由による迫害)の文言は削除された。ところが開廷の2、3日前に重要な(重要と思わない人もいる)変更がなされた。いかなるシビリアンの住民に対する(against any civilian population)という語句を削除してしまったのである。したがって条例の上からは相手国の兵士を殺しても人道に対する罪を犯したことになるのである。IMT条例の場合は、コンマとセミコロンのちがいについて、わざわざベルリン議定書にロシア側の解釈に統一するというような説明までしているのに、極東IMT条例ではなんの説明もなく変更した。 ところで多谷千賀子著「戦争犯罪と法」の資料では極東国際軍事裁判所条例5条c項の文章をagainst any civilian populationをいれた形で掲載している。訳文は「民間人に対する、殺人、大量殺人、奴隷状態におくこと・・・」としている。 裁判にあたっては「民間人に対する」を削除しているのだから、一言の説明があってしかるべきだろう。
訂正 しあたがって→したがって 戦争の法的起訴である→戦争の法的基礎である 憲法第9条に「国の交戦権は、これを認めない」とあります。英文ではどうなっているかというと、The right of belligerency of the state will not be recognized. 国家の交戦状態における(交戦者としての)権利は認められない。という訳になるでしょうか。もし、そうであるなら、この文は、もし交戦状態になったら、交戦者としての権利は認められないという意味になる。平和憲法としては、そんなよけいなことを書かなくてもいい筈であると思うので、日本国政府は政府訳としての英訳を考えてもらいたい。
パル判決書に次のような文章があります。 THESE DECLARATIONS ARE MERE ANNOUNCEMENTS OF THE INTETION OF THE ALLIED POWERS.They have no legal value. They do not by themselves give rise to any legal right in the United Nations . The Allied Powers themselves disown any contractual relation with the vanquished on the footing of these Declarations: 翻訳すると次のようであろう。 これらの宣言(カイロ宣言とポツダム宣言)はアライドパワーズの意図を単に告示しただけである。それらには法的価値はない。それらは宣言をしたというだけではUNにおいて法的権利の根拠になるものではない。アライドパワーズは自らこれらの宣言を立脚地として敗者と契約関係をもつということを否認しているのである。