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2016年4月から電力完全自由化ってどういうこと? (下) | じゃあ2020年まで待たなくてはならないの? | 電力会社の顧客が一気に移ったら電力不足に? | 電力自由化の最大目的は「再生エネ電力の売買権の実現」 | やがて来る全面自由化に向けて準備すべきこと └──── (脱原発大分ネットワーク) (上)は、12月10日【TMM:No2660】に掲載
5.じゃあ2020年まで待たなくてはならないの? 実はその問いに関しては私にも本当のところよく分からないのです。8.1兆円と言われる電力産業への新規参入の受付を経産省は8月から受け付けていますが、10月現在で48社が小売電気事業者の申請をしたそうです。ただ今後申し込む予定の企業は700社以上と言われています。そんなに多くの企業が参入しようとしているのですが、実態としては大企業の50社そこそこだろうと思われます。あとは申請だけはしておこうという独立発電事業者でしょう。 代表的な新電力がNTTと東京ガスと大阪ガスが一緒に作った「株式会社エネット」です。東京ガスや大阪ガスもNTTもガスや電話とのセット割引で顧客をつかもうと計画しているそうです。これに対抗して東電はソフトバンクと提携してソフトバンクの顧客を狙ってセット割引を全国展開しようと計画中だそうです。 そのほかには、新日鉄や丸紅や住友商事系列や大和ハウス系列や伊藤忠系列。イーレックス(株)は大分県庁への販売実績がある企業です。 変わり種ではハウステンボスも参入するそうですし、ブラック企業で有名なワタミも「ワタミファーム&エナジー株」という名前で新規参入予定です。 これらの市場参入予定の企業の名前は挙がっているのですが、具体的な料金や申し込み方法などはまだ何も公表していません。だって肝心の託送料(送電線使用料)の電力会社による発表がないのですから、料金など決めようがないというのが現実だと思います。つまり、今のところ何も分かっていないのです。
6.電力会社の顧客が一気に移ったら電力不足に? 2014年時点での新電力(PPS)72社の企業向け電力販売のシェアは5.72%(2,900GWh)だそうです。それでも随分増えた感はありますが、これが一気に2〜3割などということになったら、販売する電力が足りなくなってしまうでしょう。そこで各新電力にも業務提携という形で既存の電力会社が電力供給するというのです。 つまり、九電管内に新規参入する新電力へ関電や東電が電力を供給するという電力会社間競争に新電力が使われる可能性があります。私たち脱原発派としては、新規参入企業は原発の電気だけは販売しないでほしいものです。 ただ、これは致し方ないかもしれません。イギリスなどでは電力市場取引が活発です。日本にも電力市場取引所はあるのですが、電力会社が売り惜しみをしているので、新規参入企業は「売りたくても売る電力がない」という問題があると言われているのです。 だから一気に新電力に顧客が流れて来れば、既存の電力会社の電気が余って、電力市場に売るしか方法がなくなる電力会社も出てきて、電力市場取引が活発化する可能性があります。そうなれば、それだけで厳しい価格競争が生まれて、高コストの原発は市場から排除されていく可能性が出てきます。
.. 2015年12月14日 08:25 No.991007
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