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鎌田 慧
福井県敦賀半島の先端にあって、「夢の増殖炉」と喧伝されてきた「もんじゅ」も、命運が尽きようとしている。1985年に着工されたが事故続きで、さすがの原子力規制委員会もさじを投げたようだ。 同じ半島に建設された新型転換炉「ふげん」は、とっくの昔に廃炉が決定。英米仏でも高速増殖炉は事故を起こして撤退した。もっとも危険な原発が、お釈迦様のそばに仕えたホトケを誇称していたもんじゅだけでも、建設維持管理費を含めて1兆円を空費した。 それとつながっている「リサイクル機器試験施設」には、820億円も投入されている。さらに巨額でもっとも危険な青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場は、建設から22年たってなお、いまだ稼働できる見通しにない。 「核燃料サイクル」はいつまでたっても、原料のプルトニウムは減らない、という魔術のような輪廻が想定されてきた。しかし、そんなにプルトニウムをつくってどうするのかとの疑惑は深い。 すでに日本の備蓄量は47.8トン。原爆材料の6000発分。富国強兵・国威発揚内閣では、アメリカの核の傘から脱却しよう、小型原爆所持は憲法違反ではない、などと言い出しかねない。 青森県で行われた「護憲大会」で、私はもんじゅのあとは、再処理工場反対運動を拡大しようと発言した。(ルポライター) (11月17日「本音のコラム」より)
.. 2015年11月18日 08:35 No.984001
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