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■--未来の物語
++ 東京新聞 (社長)…1305回          

    鎌田 慧

  「子どもたちが死んでいくとき…とてもおどろいた顔をして横たわっているんです」
 「未来の物語」とサブタイトルにあるノーベル文学賞作家スベトラーナ・アレクシエービッチの『チェルノブイリの祈り』の一行である。ベラルーシの子どもたちに「がんは死につながる」という認識はなかったという。
 ヒロシマ、ナガサキ、第五福竜丸、東海村JCO、そしてフクシマ。五度も極端な悲劇に見舞われながらも、日本人はまだ核の利用は安全だ、とする宣伝を信じようとしている。どうしたら六度目を拒否する行動が強まるのだろうか、とこのドキュメントを読みながら考えさせられた。
 過去の悲劇が未来にまちかまえる。それを回避する賢明さも決意もないまま、またおなじ過ちを繰りかえし、子どもたちが驚いた表情で死んでいく。それでいて誰も責任をとることがない。
 もう日本では買い手がなくなった原発を、首相が率先して世界に売り歩く。ヨウ素剤と避難訓練のマニュアルを、付録につけるのだろうか。
 被ばくしたベラルーシの人びとの、死に至る静謐(せいひつ)な悲しみと苦悩に満ちた歴史を聞き歩きながら、著者のアレクシエービッチは、「人間の命の意味、私たちが地上に存在することの意味についても」聞いてみたかった、と書く。悲劇の記録は、フクシマで終わりにしたい。(ルポライター)
   (11月10日「本音のコラム」より)

.. 2015年11月11日 08:07   No.980001

++ 東京新聞 (社長)…1306回       
百年先のため人柱に 楢葉町宝鏡寺・早川住職の決意

  楢葉町の小高い山の上に620年の歴史を持つ浄土宗の古刹・宝鏡寺がある。同寺の早川篤雄住職(76)は怒っている。原発事故から4年8ヵ月。楢葉町は2ヵ月前にやっと避難指示解除となったが、それは「復興という名の切り捨て」であったという。しかも同町に立地する東京電力福島第二原発について、国も東京電力もいまだに廃炉を約束していない。「彼らは事故から何を学んだのか」。住職の話に耳を傾けてみたい。
  福島県いわき市に避難していたが、今年2月に単身で帰ってきました。(中略)
  事故の直後、避難先で「あんたのいったとおりになったな」と町の人にいわれました。残念ながら、その通りだった。(中略)
  事故を教訓にして、原発の安全対策に画期的な進歩があったのでしょうか。何もない。それなのに全国の原発を再稼働させるという。恐ろしい話です。 (中略)
  ただ、私は絶望しているわけではない。100年、200年がたって、またこの土地に人が住み始めるかもしれない。その人たちのために、人柱になるような働きを、私たちはしなくちゃいけない。そう、考えています。
      (11月10日朝刊4面「3・11後を生きる」
      「坂本充孝(福島特別支局長)のふくしま便り」より抜粋)


.. 2015年11月11日 08:13   No.980002
++ 東京新聞 (社長)…1307回       
東電CM 新潟で再開 柏崎刈羽PR 再稼働へ布石?
  福島避難者「お金は支援に回して」

  東京電力福島第一原発事故の後、テレビコマーシャル(CM)を控えていた東電が、柏崎刈羽原発のある新潟県限定でCMを再開した。教訓を踏まえ安全対策に全力を挙げていると強調する内容だが、福島から新潟に避難中の住民からは「柏崎刈羽を再稼働させようという狙いがありあり」といった反発の声も出ている。 (中略)
  CMを見た柏崎市に避難中の女性(56)は「新潟でだけ流しているのは、(新基準への適合審査を申請している)柏崎刈羽を再稼働させる気でいるからだ。東電はお金の使い方を間違えているのではないか。CMに使うぐらいなら、避難している人たちへの支援に使ってほしい」と話した。
     (11月10日朝刊31面より抜粋)


.. 2015年11月11日 08:22   No.980003


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