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脱原発 諦めない 伊方再稼働同意に揺れる地元 説明会も公開討論会もなし 立ち上がる住民 進む差し止め訴訟 住民投票の準備も 南海日日新聞 近藤さんの遺志継ぐ
愛媛県の中村時広知事が再稼働のゴーサインを出した四国電力伊方原発3号機(同県伊方町)。「こちら特報部」では、15日に68歳で亡くなった元記者の近藤誠さんの連載「別冊 南海日日(にちにち)新聞」で再稼働問題に揺れる地元の様子を伝えてきただけに、住民不在の「同意」は看過できない。風雲急を告げる中、近藤さんの仲間たちに脱原発への思いを聞いた。 伊方原発から半径10キロ圏内に入る愛媛県八幡浜市。伊方町の山下和彦町長が中村知事との会談で「再稼働を容認する」と表明した翌日の23日、脱原発グループの市民らが商業施設の近くで「原発いらん!」などと書かれた横断幕やプラカードを手に、「伊方原発、再稼働反対。ふるさと守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。 抗議行動に参加した「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」代表の斉間淳子さん(72)は、近藤さんらと一緒に、地元の脱原発運動を引っ張ってきた。近藤さんは、淳子さんの夫・斉間満さん=故人=が1975年に八幡浜市で創刊し、2008年に休刊した「南海日日新聞」の最後の記者だった。 淳子さんは「原発と共存できないということを福島の事故で私たちは見てきたはずなのに、住民のことを何も考えていない」と怒りをあらわにした。同時に「私たちの仲間が先日亡くなった。生きていたら今日もここに来ていただろうと思うと悔しい」と近藤さんの死を悼んだ。 松山市の市民グループ「伊方原発をとめる会」は今月5日、再稼働を判断する前に公開討論会を開くことなどを県に求める13万人あまりの署名を中村知事に提出した。近藤さんは生前、「伊方原発では、このような署名運動はかつてなかった。ぜひ連載で書きたい」と願っていたが、かなわなかった。 (中略) いま一度、冒頭の抗議行動に戻る。「伊方原発なくそう!八幡浜市民の会」メンバーの八木健彦さん(72)は「住民の意見を聞いていると町長は言うけれど、町長の前で反対と言う人がどれほどいるのか」といぶかる。「知事と伊方町長が同意したとは言っても、事故が起きれば伊方町と周辺だけの問題ではすまない」 (後略) (10月27日「こちら特報部」より抜粋)
.. 2015年11月02日 08:28 No.976003
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