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■--2号機再稼働“ひな型”は通用しない
++ 東京新聞 (社長)…1264回          


  九州電力は、川内原発2号機(鹿児島県)を1号機に続いて再稼働させた。住民の不安や疑問に耳をふさいで、同じタイプの原発の再稼働を急ぐ−。そんなやり方を定着させるべきではない。
 先例に沿うように粛々と、ということなのか。
  原子力規制委員会の田中俊一委員長は先月、1号機が営業運転に入るのを前に「ひな型ができたので、審査はスムーズに進む」と話していた。
 多くの住民の安全を“ひな型”で判断されてはたまらない。
  8月、その1号機が再稼働して、約2年に及ぶ日本の原発ゼロに終止符が打たれたときと、周囲の状況は変わっていない。
 規制委は安全の保証はしていない。しかし、紳士協定に基づいて再稼働に同意を与える鹿児島県などは、規制委によって安全性の確保が“確認”されていると言う。
 新任の経済産業相は「万が一事故が起きれば、政府の責任は十二分にある」と話した。しかし、どのように責任を取るかは依然、定かでない。
 相変わらずの無責任体制は、もう事故など起きないと、高をくくっているようにも見える。
 福島の教訓は、いったいどこへ消えたのか。
  説明不足も同様だ。九電は、多数の住民を対象とする説明会を拒む姿勢を崩さない。
 鹿児島県は川内原発の必要性や安全性に関する説明会を来月末に鹿児島市内で開き、原発から30キロ圏の9市町対象の避難訓練を年末に開催するが、順序は逆だ。
 桜島や阿蘇山などの火山活動が活発になり、住民の不安は募る。
 新たな不安材料も浮上した。
  九電は運転開始時から約30年使っている2号機の蒸気発生器の交換を、3年後に先送りした。
 発電用タービンを回す蒸気をつくりだす重要な機器で、老朽化した配管が破れると、無論、重大事故につながる恐れがある。
 地元紙が4月に県内で実施した世論調査では、再稼働に反対、計画に沿った避難は困難との回答が、いずれも約6割に上っている。
 原発とその周辺環境は、それぞれ違う。周りの声に耳をふさいで、それを“ひな型”でくくるのは、乱暴だし、危険過ぎないか。
  住民の疑問の中に、安全を維持するヒントがある。
  多くの不安を置き去りにしたままで、原発再稼働をベルトコンベヤーに乗せてはならない。 (10月16日社説より)

.. 2015年10月19日 14:47   No.971001

++ 東京新聞 (社長)…1265回       
◆「原発は危険」最後まで 4日前には伊方反対集会へ 声絞り「廃炉を」
  特報面「別冊 南海日日新聞」連載 近藤誠さん死去

  四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の地元から反原発を発信し続けた元記者の近藤誠さん=同県八幡浜市=が15日未明、肝臓がんのため亡くなった。68歳だった。本紙特報面に「別冊 南海日日新聞」を連載していた。原発のない未来の実現を最期まで諦めなかった。
 伊方町や八幡浜市の地元紙「南海日日新聞」の最後の記者だった。
 同紙は1975年に八幡浜市出身の斉間満さんが原発批判の言論を守るために起こした新聞だ。広島県出身の近藤さんは創刊まもない77年3月に入社。スタッフ4、5人の小さな所帯で原発問題を中心に地元ニュースを追い続けた。四国電からは取材を拒まれ、広告主には圧力もかけられたが、地道な報道で信頼を積み重ねた。出力調整実験の失敗でチェルノブイリ事故が発生した翌87年には、四国電が住民に黙って出力調整実験を実施した事実もスクープした。 (中略)
 近藤さんは、亡くなる4日前の11日、入院先から伊方原発ゲート前の集会に参加し、声を絞って廃炉を訴えた。 (中略)
 痩せた体を椅子で支えながら一語一語をかみしめるように、目の前の四国電職員に語りかけた。「原発に未来はない。一緒に廃炉を考えよう。これから電力会社に入る若者たちが希望と誇りを持てる未来を考えよう」   (後略) 
    (10月17日24面「こちら特報部」より抜粋)



.. 2015年10月19日 15:12   No.971002
++ 東京新聞 (社長)…1266回       
原子力 制御できない
       (10月17日1面「金曜日の声 官邸前」より)

◎ 東京都昭島市のパート 湊寿子さん(46)
  政府は電力会社の利益や自分たちが選挙で当選することしか考えていない。50年先の未来を考えた国造りを進めてほしい。地方が原発の助成金に依存しない方法を国民全員で考えていくべきだ。

◎ 東京都世田谷区の無職 逸見徳朗さん(78)
  福島第一原発事故の原因もはっきりしていないのに、川内原発2号機も再稼働したのは信じられない。大学で原子力を学んだので、人間の科学力では原子力エネルギーの制御はできないことが分かる。


.. 2015年10月19日 15:18   No.971003
++ 東京新聞 (社長)…1267回       
もんじゅ点検漏れ 相次ぎ7回 機構の運営 規制委不安視

  日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、機器の点検漏れが3年前に発覚して以来、新たに7回も漏れが見つかっている。こうした事態に、原子力規制委員会では「このまま機構にもんじゅを委ねていていいのか」との声まで上がり始めている。
 点検漏れが初めて発覚したのは2012年11月。1万点近くの機器で、定められた点検を怠っていた。機構の鈴木篤之理事長(当時)が規制委事務局に「形式的ミスが出るのはやむを得ない」と、安全軽視と受け取れる発言をしていたことも判明。理事長は引責辞任し、規制委は事実上の運転禁止命令を出した。
    (中略)
  政府はもんじゅを存続させる方針。規制委がどこまで毅然(きぜん)とした姿勢で対応できるのか、真価が問われる場面もありそうだ。
     (10月19日2面より抜粋)


.. 2015年10月20日 08:59   No.971004
++ 東京新聞 (社長)…1268回       
モントリオール映画祭招待「ナオトひとりっきり」
  中村真夕監督「原発事故のその後 海外でも高い関心」

  原発事故で全町避難になった福島県富岡町で動物の世話を続ける男性を追ったドキュメンタリー「ナオトひとりっきり」が、今年9月初旬までカナダで開かれたモントリオール世界映画祭ドキュメンタリー部門に招待された。「原発事故のその後について、海外の関心の高さを感じた」という中村真夕監督(42)に話を聞いた。
  中村さんは現地の反応について「会場は8割以上が埋まり、上映後は活発な質問が飛び交った。特に健康被害への関心が高かった。被ばくした牛の調査はされているのかとの質問も多かった」と話す。
  住民が避難した後、置き去りにされた牛や豚、犬や猫…。中村さんは、おなかを空かせて町をうろつく動物たちにエサを与え続ける松村直登さん(56)の姿に衝撃を受ける。被ばくも覚悟で富岡町に通い、1人で8か月間撮影した。(中略)
  中村さんは「カナダは世界有数のウラン産出国だが、採掘場で働く先住民族の健康被害はちゃんと調べられていない。貧しく弱い人々が危険を押しつけられる構図は、福島もカナダも同じ」と話す。「大きな勢力にかき消されようとしている小さな命と、その声を伝えていくことが使命だと改めて思った」
  「ナオトひとりっきり」は10月31日から新潟シネウインド(新潟市)でも公開される。 (10月19日5面「文化」より抜粋)



.. 2015年10月21日 08:04   No.971005
++ 東京新聞 (社長)…1269回       
新しい国へ   鎌田 慧

  安倍晋三首相の著書『美しい国へ』の完全版が、『新しい国へ』ということなので、書店で見かけて買いもとめた。
 ところが、旧著に18ページ分をあらたに付けたしただけ。表題を「美しい」から「新しい」に模様替えしたものの中身は一緒。軍事国家の「日本を、取り戻す」とは、古い日本への回帰ということで、「新しい国」とはいえないでしょう。
 付けたされた新稿には「TPP交渉参加に反対」と明記し、故郷山口の棚田の美しさを例に挙げ、「道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には瑞穂の国にふさわしい市場主義の形があります」と特筆している。
 いまは率先してTPPに参加し、国際競争に打ち勝つ強い農業を、と力説している。観光用の棚田の一部は残されるかもしれない。が、どれだけの農家が生き残れるか、数字を挙げて説明してほしい。
 瑞穂の国の農業を、工業製品の代わりに国際競争にさらして、勝てるものではない。安倍さん、ご自分で言っていること、やっていることの歴史的意味を理解されているのでしょうか。
  先日は自衛隊の戦車、こんどは「東京湾に浮かぶ原子炉」である米軍の原子力空母に搭乗。それも戦闘攻撃機のコックピットに入って「横須賀港を母港に再び日本の守りについてくれる」と語った。
 戦争が近いとお考えなのか。(ルポライター)
     (10月20日29面「本音のコラム」より)


.. 2015年10月21日 08:17   No.971006
++ 東京新聞 (社長)…1270回       
東電、切り崩し工作? 飯舘村ADR申立人に不当対応
坂本充孝のふくしま便り

  東京電力福島第一原発の事故で全村避難が続く福島県飯舘村。住民約3000人が、生活基盤を破壊されたとして賠償の増額を求めて、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)申し出たのは昨年11月だった。その後ほぼ1年の間に、東電が申立人に対し「ADR紛争中は直接請求分の賠償金を支払わない」と不当な対応を繰り返していたことがわかった。東電は「業務担当者への周知が不足していた」と非を認めて謝罪しているが、申立人の中には、ADRの取り下げを検討した人もおり、「ADRの切り崩し工作なのではないか」といぶかる声もある。 (中略)
 ADRは、慰謝料の増額などを争っているもので、住宅に関する賠償とは別だ。ADRの運用指針となる「総括基準」にも「回答金額を上回る部分の損害主張のみを実質的な審理判断とする」と明記されており、東電担当者の対応は明らかに不当といえる。指針は、ADRの和解を待つことで被害救済に遅れが生じることを防ぐ意味も持っている。 (中略)
 罪のない山里の住民から穏やかな日常を奪ったのは誰なのか。東電はもう一度、出発点に立ち返ってみるべきだろう。(福島特別支局長)
     (10月20日4面「3・11後を生きる」より抜粋)


.. 2015年10月21日 08:24   No.971007
++ 東京新聞 (社長)…1271回       
福島事故後被ばくで労災
  白血病基準「年5ミリシ−ベルト」超す線量
  発症元作業員、初の認定

  厚生労働省は20日、東京電力福島第一原発事故後の作業で被ばくした後に白血病になった元作業員に、労災保険を認定した。事故収束作業に伴う白血病の発症で労災が認められたのは初めて。
 厚労省によると、労災が認められたのは発症時30代後半だった男性。建設会社の社員として2011年11月〜13年12月、複数の原発で作業した。12年10月以降の1年1カ月間は福島第一を担当。原子炉建屋に覆いを造ったり、使用済みの防護服などを焼却する施設を建設した。
 男性は13年12月に福島第一を去った後に体の不調を感じ、白血病と診断され労災申請した。現在は通院治療している。
 白血病の労災が認められるには、年5ミリシーベルト以上を被ばくし、作業開始から発症まで1年以上あることが基準。男性の累積被ばく線量は19.8ミリシーベルトで、福島第一での線量は大半の15.7ミリシーベルトを占めた。
 福島県の富岡労働基準監督署は、厚労省の専門家による検討会の見解を聴いた上で、福島第一での被ばくが白血病の大きな原因になった可能性があると判断した。男性には医療費や休業補償が支払われる。(中略)
 事故前に全国の原発で白血病や悪性リンパ腫などの労災を認められた作業員は13人。福島第一の収束作業で白血病も含むがんを発症したとする申請は8件。今回の男性を除く7件の内訳は3件が不支給、1件が取り下げ、3件が調査中。
      (10月21日朝刊1面より抜粋)



.. 2015年10月22日 08:10   No.971008
++ 東京新聞 (社長)…1272回       
被ばく労災 廃炉の担い手こそ守れ

  東京電力福島第一原発の事故処理で高線量の被ばくを伴う作業が続いている。被ばくによる労災も現実となり、壁が厚い補償認定の見直しが必要だ。廃炉への道は作業員の安全が守られてこそある。
 廃炉に向けた過酷な作業が続く現場では、過密な労働環境で事故が相次いでいる。2013年度に32件だった死亡・負傷は14年度には64件に倍増した。
 各地で原発再稼働を進める政府はさらに、重大事故時に許容される作業員の緊急被ばく限度を、現行の年100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げようとしている。作業員にさらなる被ばくを強要するのは命の軽視ではないか。
 原発労働者の安全対策や補償は不十分だ。がんを発症しても労災認定の壁は厚い。厚生労働省が胃、食道、結腸がんについて、事故翌年の12年に公表した労災補償の考え方では、がん発症との関連がうかがわれるのは「被ばく線量は100ミリシーベルト以上」「被ばくから発症までの期間は5年以上」などと高いハードルを課している。
 だが、「何ミリシーベルト以下ならがんは発症しないという境界はない」と指摘する専門家は少なくない。厳しい基準を一律に当てはめるだけでは、収束作業で増える労災の認定が進まなくなる。厚労省によると、福島原発事故の作業での労災申請は11件。認定例は原子炉建屋の覆い設置などに従事後、急性骨髄性白血病を発症した北九州市の元作業員のケースのみ。
 現場の安全対策を問う裁判も始まった。事故収束作業に従事し、胃などにがんを発症した元作業員男性が9月、東電と元請け会社などに損害賠償を求める裁判を札幌地裁に起こした。男性は「事業者が安全配慮を怠り無用な被ばくをさせた」と主張。被ばく線量は11年7月から4カ月で56.41ミリシーベルト。線量も発症までの期間も基準に満たないなどとして労災を認められていないが、高線量の作業は線量計を持たずに行ったという。
 男性のケースのほかにも、線量計に鉛カバーをして線量を低く抑えたり、被ばく線量をごまかして働かせている問題が発覚した。男性の裁判を通じて、作業実態が明らかになれば全体的な点検、見直しは不可避になる。
 国や東電は、がん検診や健康管理手帳の交付について、福島原発事故後の「緊急作業」に従事した人に限らず幅広く、離職後も含めて受けられるようにすべきだ。何10年もかかる廃炉作業は担い手が守られなければ成り立たない。
   (10月21日社説より)


.. 2015年10月22日 08:32   No.971009
++ 東京新聞 (社長)…1273回       
ヨウ素剤全戸配布 進まず 東海第二原発事故備え 茨城・東海村
  服用対象で誤解?説明会出席わずか

  日本原子力発電(原電)東海第二原発の事故に備え、茨城県は18日、甲状腺の内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の事前配布を原発のある東海村で始めた。村内の配布対象は16000世帯の38467人で、初日だけで2890人分を手渡した。一方で、ヨウ素剤を受け取るために必要な説明会に出席していない村民は全世帯の3分の2以上にも上る。当初、予定した説明会はあと1回で、県は来年も継続して開く考えだが、全世帯に配布するまでには、まだ時間がかかりそうだ。(後略)
    (10月19日6面より抜粋)


.. 2015年10月22日 08:48   No.971010


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