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花火と政権 鎌田 慧 (ルポライター)
鳴り物入りだった戦後70年談話は、日露戦争の勝利から書き出されたものの、途中で腰砕け、結局、侵略、反省、謝罪を踏襲。しかし、主語は外して責任を負わない中途半端。過去を振り切って喝采を浴びようとした野望も、振りかざした刀を止められた形になった。 被害者に「寛容」を強要して、「謝罪を続ける宿命」から脱却しようとする思惑が、行間に透けて見えて、国際的にも恥ずかしい談話だった。 猛暑のうちにも、秋の気配が感じられる今日このごろ、原発は無理やり再稼働され、また危険と共に暮らすようになった。戦争法案の強行採決の危険も高まっている。 秋風と共に安倍内閣の支持率は落ちるばかりだが、「談話」打ち上げの前、安倍さんは妻の昭恵さんと帰郷した。「関門海峡花火大会」に出かけ、ワイシャツ姿で手を振り上げ、演説した。 「経済政策で花火のように日本経済がどんどん上がっていき、みなさんの収入も上がっていくように頑張っていきたい」 線香花火とはいわないにしても、パッと咲いてパッと散る、花火のような経済。花火のような賃上げとは正直な談話だ。アベノミクスの張本人がいってはいけないのだが、正体見たり枯れ尾花。 川内原発に近い桜島が山体膨張。相模原米軍基地内で爆発事故。川崎市の鉄鋼工場でも爆発。制御なき政治はさらに危険だ。 (8月25日27面「本音のコラム」より)
.. 2015年08月26日 09:06 No.953004
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