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槌田 敦(物理学研究者)さんが「第五検察審査会」に出した手紙 └──── 第五検察審査会御中 2015年8月5日 物理学研究者 7月31日、「第五検察審査会が東電元3幹部を強制起訴」というニュースがありました。 私は、日本物理学会で、これまで原発過酷事敏の研究を続けてきましたが、お役に立てればと思い、手紙を差し上げる次第です。 福島第一原発は、地震と津浪で打撃を受け、炉心崩壊を引き起こし、住民に大災害を与えました。 地震・津浪→炉心崩壊→大災害ですから、地震・津浪があったからといって、それだけで大災害になるのではありません。 そこで、その途中の炉心崩壊を防ぐためにどのような対策をしたのか等、東電の対応が問われることになります。 私は、物理学会のみなさんと共に、この部分に焦点を当てて研究して参りました。その結果を、パンフ「増補版−福島原発事故3年 科学技術は大失敗だった」にまとめましたが、この中で、東電幹部の怠慢または判断ミスを多数見いだしました。 たとえば、 ◎【炉心崩壊と放射能の放出を防ぐための各原子炉共通の対策】 1.地震による鉄塔倒壊と津浪により、福島第一原発は全交流電源喪失となった 東北電力との電力融通は、実行されなかった 福島第二原発との電源共有は、役員会での議論だけだった 2.交流電源を喪失して、第一原発全体で温度の測定が復旧まで8日間も 不能となった 温度の計測不能は、原子炉運転の資格なし 3.直流電源の喪失で、圧力と水位が、長時間の測定不能となった 圧力と水位の計測不能も、温度とともに原子炉運転の資格なし 4.しかも、水位では実際よりも高く表示されて、原子炉満水と誤解していた また、圧力では格納容器より原子炉が低く表示され、判断不能の事態となった この計器誤表示の原因は容器の空焚きであるが、測定計器を改良せず放置し ていた 5.事故時・平常時共用のECCSについて 事故なのに、自動起動したECCSを平常時のマニュアルで手動停止 (1号機)した また逆に、事故なのに、平常時の条件でECCSが自動停止 (2、3号機)した 6.3月12日より原子炉に海水を注入。だが、淡水は集中廃棄物処理施設に 大量に存在 海水の蒸発で塩析出。燃料冷却は妨害されて高温化。 放射能は大量に気化し流出へ 7.格納容器に液体窒素を注入して固化すれば、放射能は氷に閉じ込められる また、冷却水の供給は不要となって液体放射能の流出を防止できた
.. 2015年08月11日 10:09 No.946001
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