|
鎌田 慧 (ルポライター)
多数をたのんで横車をおす自民党は、やがてまた「おごれる平家久しからず」の轍を踏む。この憲法無視の傲慢内閣にひとびとは不安と恐怖を感じはじめた。平和を掲げてきた公明党は、これだけ参戦の危険が深まってもなんのその、ひたすら自民に追随してどこまでも、の不思議である。 野党のはずの維新の党はここで存在アピールのチャンスとばかり、最高顧問・橋下徹大阪市長が安倍首相と会談、そのあと、代案「武力攻撃危機事態」をもちだした。これは政府の「存立危機事態」をすこしきびしくしただけだ。「自衛権」を使える要件を、日本の周辺で米軍が攻撃され、日本も攻撃される危険性が高い場合のみ、とした。 これはいままでの個別的自衛権を拡大したようにみえて、日本への攻撃がなくとも、日本周辺の米軍が攻撃されれば武力行使する、というのだから、昨年7月1日の、集団的自衛権行使を認めたクーデター的、違憲の「閣議決定」への批判はない。 安倍首相は米国で約束してきたように、とにかく今国会での、違憲な法案の成立を狙っている。 維新の代案提出は、違憲批判に曝され孤立しはじめた自公内閣への秋波のようであり、助け船でもある。こんな代案がなければ、野党そろって強行採決に反対して退場、60年安保闘争の時のように、歴史的な暴挙として、記録されるのだ。 (7月7日「本音のコラム」より)
.. 2015年07月13日 09:18 No.936001
|