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◆「帰還 押しつけ」 憤る被災者 除染途上…高線量も
福島第一原発事故による福島県の「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」を解除するよう求める与党の提言に、避難者らは「帰還の押しつけになる」と不安を隠さない。専門家は「避難継続と帰還のどちらの選択も支援する政策が必要だ」と訴える。 ■福島・南相馬 「避難勧奨は解除された。でも子連れで帰ってきたのは一軒しかねえんだ」 福島県南相馬市原町区高倉地区の菅野秀一区長(74)はため息をつく。農道わきの溝は除染がまだ。除染した家の玄関先や庭でも、雨どいの近くなどで線量が再び上がっている。未除染の近くの山や原野から、木の葉や土ぼこりが風で飛んでくる。それが雨で流れて集まる場所だという。「そんな場所が生活圏のあちこちにある。これから避難指示が解除される区域でも同じことは必ず起きる」 (中略) 国が解除に踏み切った根拠は、昨夏の調査結果だ。「指定基準の年間被ばく線量20ミリシーベルト(空間線量毎時3.8マイクロシーベルト相当)を下回った」と説明するが、測ったのは各世帯で玄関先と庭の2カ所だけだった。ところが菅野さんによると、国が判断対象としなかった雨どいの出口や排水溝の周りは今でも毎時5マイクロシーベルトを超える。配水池の周辺でも10マイクロシーベルトを上回るという。 「そもそも解除基準の年間被ばく20ミリシーベルトは、原発作業員の上限(5年間で100ミリシーベルト)に匹敵し高すぎる。国は先に結論ありきで帰還を押しつけている」 (後略) (5月30日朝刊より抜粋)
.. 2015年06月01日 09:31 No.918002
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