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伊方めぐる四国電の無責任
四国電力が先月30日の愛媛県伊方原子力発電所環境安全管理委員会で、伊方原発の原子炉格納容器に航空機が衝突しても「核燃料は安全に冷却できる」と発言した。だが実際は、衝突した場合の影響分析などは実施していなかった。 委員会では、委員が「航空機の衝突に原子炉格納容器が耐えられるか」と質問したのに対し、四電の担当者は「コンクリートの遮蔽がある。格納容器に多少の損傷はあるが原子炉容器までの影響はなく、核燃料は安全に冷却できる」と答えた。しかし、市民団体「伊方原発をとめる会」(松山市)によれば、四電が2013年に国へ提出した資料には、原子炉施設への航空機の落下確率は低いことから「航空機の落下を考慮する必要はない」と記載。原子炉への直接の衝突は検討しておらず、周辺に航空機が落下した際の「火災の影響評価」がおこなわれているにすぎない。 傍聴していた「とめる会」の和田宰事務局次長が委員会後、四電の担当者に「衝突の計算はしていないはずだ」と指摘すると、担当者は「海外の報告を念頭に語った」と説明した。 とめる会は今月2日、四電の答弁の訂正、原子力施設への航空機の落下・衝突の影響分析や安全対策を求め、中村時広知事あての申入書を県に提出した。 実は、航空機落下をめぐる四電の「うそ」は今回が初めてではない。1988年6月、伊方原発から約1キロの山中に米軍の大型ヘリが墜落し、乗組員全7人が死亡した。四電担当者は墜落直後の記者会見で「原発に航空機が落ちる場合も考え安全審査している」「ヘリがぶつかった程度なら放射性物質が外に出るような事故にはならないだろう」と言い放った。国は84年、2号機の許可取り消し請求訴訟で「航空機などの落下は想定しておらず審査していない」と答弁している。電力会社の無責任な態度は今も昔も変わらない。 (近藤誠・元南海日日新聞記者) (4月10日「別冊南海日日新聞」より)
.. 2015年04月14日 08:33 No.899001
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