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(その3) | 東電福島第一原発事故も無かったかのごとく | 防災指針まで改悪しても再稼働させたい政府 └──── (たんぽぽ舎)
5 OIL2(注)の20マイクロシーベルト毎時を超え1日過ぎるまで・・・ 16Pにある記述 「OIL1(注)については緊急時モニタリングにより得られた空間放射線量率(1時間値)がOIL1の基準値を超えた場合、OIL2については、空間放射線量率の時間的・空間的な変化を参照しつつ、緊急時モニタリングにより得られた空間放射線量率(1時間値)がOIL2の基準値を超えたときから起算して概ね1日が経過した時点の空間放射線量率(1時間値)がOIL2の基準値を超えた場合に、防護措置の実施が必要であると判断する。」は、どういう観点から見ても、福島第一原発事故の教訓を無視している。 地震と津波の複合災害となった福島第一原発事故は、否応なく高線量下に置いても迅速な避難行動はできない事態となった上、SPEEDIなどが機能せず、比較的低い線量を選んで行動することさえ出来なかった。 これに対して反省するどころか、更に初動を遅らせるに等しい記述がある。20マイクロシーベルトを超えた段階で避難するというわけでさえなく、実にそれから1日おくというのは、ほとんど理解されるわけがない。 現代ではモニタリング装置は多くの人も持っており、空間線量が極めて高くなっていることは、自治体や政府が何も言わなくても情報として広まるであろう。 その時になっても迅速な避難行動を指示するどころか、現在地に止まることを強要すれば、パニックを引き起こすであろう。 災害時対応としても、あまりにも危険であり、デタラメである。20マイクロシーベルト毎時とは、平常時の40倍を超えるのである。(了)
※注:OILとは「運用上の介入レベル」(Operational Intervention Level) の略称です。 「OIL1」とは、避難のための基準であり、IAEA国際原子力機関が定めた値の2分の1相当としている毎時500マイクロシーベルトの空間放射線量率を言います。 「OIL2」とは、一時移転つまり居住地域から一定期間退避するために定められた基準で、IAEAが定めた基準の5分の1に相当する毎時20マイクロシーベルトの空間放射線量率を言います。 なお、線量率はいずれも地上1mの地点での測定値とされています。
「UPZ」とは 緊急時防護措置を準備する区域(Urgent Protective action planning Zone)でおおむね30km圏内、緊急防護措置と言いながら何をする区域なのかは、定義が明確ではない。そのため鹿児島県では30キロ圏内であっても避難を想定する防災計画が作られていない施設がたくさんある。福島第一原発事故の100分の1程度の放出量では10kmの範囲の外側は屋内退避で済むと考えられている。 「PAZ」とは 予防的防護措置を準備する区域(Precautionary Action Zone) 急速に進展する事故を考慮し、重篤な確定的影響等を回避するため、緊急事態区分に基づき、直ちに避難を実施するなど、放射性物質の環境への放出前の予防的防護措置(避難等)を準備する区域をいう。実用原子力発電所の場合、この区域の範囲のめやすは「原子力施設から概ね5km」とされる。 このことから「直ちに避難を実施するなど」といいながら、実際には避難まで相当の期間が見込まれていると考えられる。拡散予測ではなく実際の計測線量により区域内の行動が決められるということで、被曝をしながら避難または屋内退避を指示されることになる。
.. 2015年04月08日 08:51 No.897001
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