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■--.「耐震偽装」再び
++ 山崎久隆 (社長)…515回          

 原発の耐震偽装は、なぜ問われないのか
 |  鹿児島県川内原発の「耐震偽装」
 |  その他の原発の「耐震偽装」
 |  原発建設の「手口」の1つ・「断層隠し」
 |  耐震偽装を追求しよう
 └──── (たんぽぽ舎)

◯ 免震装置に使うゴム板を制作している東洋ゴムは、自社が制作した「免震機構」に使用されるゴム板の弾性値や強度などの基本データを長年にわたり「偽造」していたことを明らかにした。
 日本各地で建設中又は建設が終わっていた建物の、少なくても55棟で、必要な性能を持たない免震機構が設置されている疑いが持ち上がり、大変な騒ぎになっている。
 55棟のなかには市役所や消防署など防災基幹施設も多くある。いずれも耐震性能を評価し直して、装置の交換などの対策を取るとしているが、重大な不正が長年続いていたことに、不信と非難の声が高まっている。
 2014年2月には、すでに性能評価基準に適合していないとの「疑い」が社内で認識されていたのにメーカー側が自ら「疑い」の可能性が極めて高くなったと国交省に「報告」したのが今年の3月12日で、この段階で既に1年以上経過していた。国交省および東洋ゴム工業の公式発表は翌13日だった。
 今後、2005年に発覚した一級建築士による「耐震強度構造計算書偽装事件」のような事件に発展する可能性もある。
 さて、もちろん免震装置の偽装は重大問題であるが、川内原発の再稼働をめぐる耐震設計に関する「違法性の高い審査」も、これに勝るとも劣らぬ重大問題なのだが、一部の報道を除いて取り上げられることはない。
 この国の「バランスの悪さ」は、背後の力関係が常に影響を与えている。

.. 2015年04月03日 08:08   No.896001

++ 山崎久隆 (社長)…516回       
◯鹿児島県川内原発の「耐震偽装」

  国会事故調査委員会の委員だった石橋克彦神戸大学名誉教授は、川内原発の耐震評価において「内陸直下地震」「プレート境界地震」「海洋プレート内地震」の3つを評価対象として「基準地震」を策定すべきところ、「内陸直下地震」で全てが包絡するとして、他の2つを評価から除いてしまった九州電力の「申請書」を、ろくに審議もしないで鵜呑みにしてしまった規制委員会の審査結果を強く批判している。
 プレート境界地震の影響については、川内原発の場合は南海トラフ、琉球海溝付近の地震を指すことになる。
 南海トラフの地震は、マグニチュード8クラスが過去に繰り返し発生している。
  最近で大きなものは1707年の宝永地震で、マグニチュード8.6以上と推定されるが、この地震よりも2000年ほど前に、これを遙かに上回る地震が起きていた可能性が指摘されている。
 高知大学の岡村真教授は、海岸に近い池の中の堆積物調査の結果、1707年の津波を遙かに上回る巨大な津波が2000年ほど前に起こった痕跡を発見した。
 耐震設計では、原発の耐震安全性を13〜14万年の期間で最大の影響を与えた地震を考える。この基準に照らせば、貞観地震以来1100年ぶりの大きな地震であった東北地方太平洋沖地震のマグニチュード9は、日本のプレート間地震では標準的な水準だ。むしろ、それを超える可能性を何処まで見るのかが問題となるはずが、1707年の比較的小さい宝永地震規模を考えていたのでは、過小評価としか言いようがない。
 言い換えるならば、本来必要な性能を「甘い想定」で考えることで、構造強度が低くても合格するように「偽装」したことになるわけだ。
 実際、川内原発の基準地震動Ssは、620ガルでしかない。マグニチュード6.8の内陸直下地震だった中越沖地震では、柏崎刈羽原発の解放基盤表面の地震動記録は1699ガルに達した。そのため基準地震動はその後、2300ガルにまで引き上げられた。もともと450ガルしかなかった原発で、である。


.. 2015年04月03日 08:16   No.896002
++ 山崎久隆 (社長)…517回       
◯その他の原発の「耐震偽装」

 その他の原発についても、耐震設計自体に明確な偽装が見つかったわけではないが、実態を見れば到底、安全などと言えない現実がある。
 原発の耐震設計は一般の建築物と異なり、具体的な建設地点での地震災害を想定することから始まる。つまり耐震計算の基礎となる「想定地震」(基準地震)が間違っていれば、その後の計算に重大な影響を与える。
 「想定が間違っていた」を「想定を過小に取る」と言い換えると、そこには明らかに意図がある。つまり原発での耐震計算の偽装の原点があるとしたら、この「想定地震」の過小評価から始まると言い換えることができる。
 これまでに、具体的な過小評価の疑惑は数々指摘されてきた。例えば柏崎刈羽原発、もんじゅ、福島第一・第二原発、伊方、川内、六ヶ所再処理工場そして浜岡。およそ原子力施設と名が付けば何らかの疑惑があるといっても過言ではない有様だった。先に述べたように、柏崎刈羽原発は、450ガルが2300ガルになっている。浜岡も600ガルが1000ガル以上になっている。
 原発震災で破壊された福島第一原発は、設置段階で370ガル(当時の安全余裕検討用地震)、3.11直前の耐震バックチェックでは水平600ガル、今は900ガルとされている。
 全ての原子力施設で、基準地震動は大幅に引き上げられてきた。いわば全て「偽装」されていたに等しい。
 その手口について具体例を挙げれば、「もんじゅ」は周辺の甲楽城(かぶらき)断層を耐震設計上もっとも大きな影響を与えるものとして計算しているが、柳ヶ瀬断層帯に属する複数の断層が同時に動くようなケースは想定していない。
 その結果、柳ヶ瀬断層帯を含むいくつかの断層が同時に動くような地震が発生すれば「もんじゅ」は想定地震を超える揺れに襲われる。ところが3.11後の規制委員会による審査に際して、関西電力は同じ若狭湾にある大飯原発などで断層の連動を考慮せざるを得なくなった。断層ごとに連動するかしないかが、全く恣意的になってしまい、これで全体の耐震設計の考え方は、ますます整合性がなくなっている。


.. 2015年04月03日 08:41   No.896003
++ 山崎久隆 (社長)…518回       
◯原発建設の「手口」の1つ・「断層隠し」

 「断層隠し」と呼ばれる「手法」もある。
 顕著に表れたのが六ヶ所再処理工場で、建屋の真下にある断層を「消して」しまった。一見すれば顕著にずれ動いたように見える「リニアメント」を、これは活断層ではないというのである。もし活断層であれば、建屋そのものの立っている岩盤が破壊されることを想定せざるを得ないためだ。そのような場所にはいかなる構造物も「健全に」建ち続けることは不可能である。そのために活断層を無くしたというわけだが、実際に地震に遭遇すれば、活断層であろうと無かろうとそのような「リニアメント」のある岩盤が強固なはずはなく、ここで地盤崩壊を起こす危険性は非常に大きいと考えるのが筋というものである。
 六カ所再処理工場の地盤延長上に建っているに等しい、東北電力東通原発でも「断層隠し」は起きていた。この敷地には複数の断層が走っている。これらの断層が「活断層かどうか」が現在、問題になっている。新規制基準では、断層上に重要構造物が「在ってはならない」。
 規制委員会の専門家会合では「将来動く可能性がないとはいえない」などと曖昧な評価書を出したが、言い換えるならば可能性は否定できないことになる。
 安全側に立つことが絶対に求められる原発の場合、この評価書では原発の建設は出来ないはずだ。
 では、これまで東通原発の立地点については、どういう評価がされてきたのか。
 言うまでもなく断層が「今」見つかったわけではない。建設前から存在した断層について、活断層ではないことにして地図上から「消し去った」からこそ、原発の立地が可能だった。

◯耐震偽装を追求しよう

 17箇所の原発立地点では、大なり小なり同じことが横行してきた。その1つ、敦賀原発の下にあった断層は、活断層とされたことで、敦賀原発は廃炉が確定的になった。「耐震偽装」は構造的に組織的に、原発立地点で繰り返されてきた。
 それに対する警告は、まだ十分高まっているとは言えない。川内原発、高浜原発、大飯原発での耐震評価の見直しを求める声を、もっと高めていかなければならない。

.. 2015年04月03日 08:51   No.896004
++ 島村英紀 (大学院生)…106回       
現代科学では解けないナゾ 4月4日に皆既月食
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその96
 └──── (地震学者)

  4月4日、満月の日に皆既月食が見られる。始まりは20時54分、終わりは21時6分だから夜桜と一緒に見る人も多いだろう。
 皆既月食はそれほど珍しいものではない。日本では前回は2014年10月8日にあったし、次回は2018年1月31日にある。部分月食ならもっと多い。しかし今度のように桜の季節に皆既月食が見られるのは17年もあとのことである。
 月食は太陽と地球と月がこの順に一直線に並ぶときに起きる。
  天体の中を太陽が通っていく道を「黄道(こうどう)」というが、これが月の通り道「白道」と一致したところを太陽と月が通るときに月食や日食が起きる。
 いまはこの時期だ。このため、半月前の新月だった3月20日には欧州で日食が見られた。欧州北部と北極海では皆既日食になった。
 皆既日食は地球よりも4分の1くらいも小さな月の影に地球の一部が入るときに起きる現象だから、地球の影に月が入る月食よりは、見られるチャンスがずっと少ない。日本でこの前皆既日食が見られたのは2009年7月22日だったが、次は2035年9月2日、その次は2063年8月24日になってしまう。
 じつは現代科学では解けていないナゾがある。月よりも400倍大きな太陽が、地球と月までの距離のぴったり400倍のところにあることだ。このため、太陽がちょうど全部隠れる皆既日食が起きる。だが、なぜ400という数値がたまたま一致しているのかは、いまだに説明できないことなのである。
  しかし月はしだいに地球から離れていっている。その速さは年に約3センチメートル。いずれは皆既日食はすべて金環食になり、そのうちには太陽を隠すべき月が小さくなって、日食とは言えないくらいまぶしいものになるに違いない。
 ところで日食には近代文明の意外な落とし穴があることが分かった。
 欧州のほとんどでは部分日食だが、それでも日食が始まると太陽光発電の発電量が急減し、終わると急増する。このため電力供給が不安定になる懸念があったのである。
 たとえばドイツでは2014年の電力消費量の18%が太陽光発電でまかなわれた。もし快晴ならば、日食によって全欧州で発電量がほぼ同時に3400万キロワット急減すると算定されていた。これは中規模の従来型発電所80か所分の発電量にも相当する。
  太陽光を発電源とする電力が日食によって一挙に失われるという前例のない試練。このため欧州各国の送電網を運用する電力各社では対応するための危機管理計画が導入されていた。
 現在の太陽光発電量は欧州で最後に日食が観測された1999年当時の発電量の100倍にも達している。だから危険はずっと大きくなっている。
 はるか昔には日食や月食はなぜ起きるのか分からない恐怖の対象だった。その後原理が分かり、ずっと、たんなる天体ショーになっていた。
 だが現代はふたたび恐怖をもたらすものになっているのである。
(4月3日夕刊フジより)


.. 2015年04月06日 08:07   No.896005
++ 島村英紀 (大学院生)…107回       
列島壊滅の可能性ある“カルデラ噴火”
 |  カルデラ噴火が起きると最悪は1億2000万人の死者が出るとの予想
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその97
 └──── (地震学者)

  メルトダウンを起こした福島第一原発の原子炉内部に核燃料は残っていなかった。
 3月に発表されたミュー粒子を使った世界初の調査の結果だ。燃料は原子炉から溶け落ちてしまっていたのだ。
 宇宙の彼方からやってくる宇宙線が地球の大気と衝突して次々に生まれているミュー粒子は1平方メートル当たり毎分1万個も飛んでいる。厚さ1キロメートルの岩でも通す能力を持っているから、分厚いコンクリートや金属に取り囲まれた原子炉の中を透視できる。
 もし核燃料があれば、ウランなどは高密度の物質なので黒く写るはずだった。だが原子炉の中はからっぽだったのだ。
 このミュー粒子を使った透視の手法は、もともと火山の内部を見るために使われはじめたものだ。マグマが地球深部から火口に上がってくる。どこにどのくらいの大きさのマグマがあるのかを研究するためにこの手法が使われている。
 だが、福島の原子炉もそうだが、ミュー粒子は上や斜め上から飛んでくる。それゆえ地面から下のものは見えない。だから原子炉の底を突き抜けて下に行ってしまった核燃料は見えなかったのである。
  ところで「カルデラ噴火」というものがある。「破局噴火」とも言われる巨大噴火で、過去10万年間に12回、日本で起きた。
 たとえば九州南方に起きた7300年前の鬼界(きかい)カルデラ噴火では九州を中心に西日本で先史時代から縄文初期の文明が途絶えてしまった。
 マグマは周囲の岩よりも軽いから浮力が生じる。カルデラ噴火を起こすマグマ溜りでは、火山の下に大量に溜まったマグマによって大きな浮力が生まれる。
 そして、やがてマグマ溜りの天井部分に大きな亀裂が出来てマグマ溜まりが一挙に壊れて大噴火するのがカルデラ噴火なのである。
 巨大なマグマ溜まりがあるところは火山の地下である。せっかくの期待の星、ミュー粒子も、火山の山体の地上部分の内部は見えても、地下は見えないのである。
 将来は精密な「地震波トモグラフィー」という手法を使えば、この種の地下のマグマ溜りを見ることが出来るのではと思われている。
 地震波トモグラフィーとは、火山地帯に地震計を数百個、比較的長期間置いて、四方八方で起きる無数の地震波を精密に観測する手法だ。大変な手間と時間を要する研究である。
 カルデラ噴火が起きると、噴火や火山灰の影響で最悪は1億2000万人の死者が出るとの予想がある。日本人のほとんどが死に絶えてしまう規模だ。
 この次にいつ起きるかについて定説はない。だが、ある研究によれば100年以内に起きる可能性が1%という。
 低いといえば低い。しかし1%とは、政府の地震調査委員会が発表していた阪神淡路大震災(1995年)が起きた前日の地震の確率と同じなのである。可能性がないといって安心できるレベルではないのかもしれない。
    (4月10日『夕刊フジ』より)


.. 2015年04月20日 08:07   No.896006
++ 島村英紀 (大学院生)…108回       
北海道でもオーロラ!!大騒ぎ
 |  太陽から出た強い磁気嵐の影響
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその98
 └──── (地震学者)

  「宇宙天気予報」というものがある。太陽から出る磁気と電気を帯びたガスの流れである「フレア」が地球に磁気嵐を起こす。その予報なのである。
 一般人には関心がないだろう。だがピリピリしている人たちがいる。
 1989年には米国やカナダにある発電所の機器に障害が発生して9時間もの大規模な停電になった。2003年には日本の環境観測衛星が利用不能になって数10億円もの損失を出した。ともに磁気嵐が原因だった。このほか宇宙空間で作業する宇宙飛行士の健康被害が出ることもある。近代文明にとって「宇宙天気」は脅威なのである。
 さる3月中旬にも強い磁気嵐が起きた。
  宇宙天気予報は太陽面での爆発を観測して出す。NASA(米国航空宇宙局)や、日本でも情報通信研究機構が出している。天気予報と同じく、当たることも、当たらないこともある。
3月中旬に起きた磁気嵐は予報より約14〜15時間も早く始まったし、磁気嵐の強度も、当初の予報をはるかに上回る強さになった。つまり予報は当たらなかったのだ。
 この強い磁気嵐のため、北海道でオーロラが撮影された。肉眼では見えなかったが、デジカメには赤いオーロラが写っていた。現代のデジカメは肉眼よりも感度がずっと高いのだ。
 オーロラは極地方でなければ見えないものだが、太陽活動がとくに盛んで磁気嵐が強いときだけは低緯度でも見えることがある。ただし低緯度では赤いオーロラしか見えない。緯度の高いところで見えるような緑や黄色のあざやかなものは見えない。
  過去に日本では1958年2月に肉眼でも見える大規模なオーロラが見えたことがある。
 北海道では夜空が真っ赤になった。てっきり山火事が起きたに違いない、と消防車が一晩中サイレンを鳴らしてあちこちの林道を走り回って山火事を探す騒ぎになった。当時は宇宙天気予報はなかったから、何が起きたのか、消防署員は知らなかった。
 もっと前では1770年9月にも大規模なオーロラが日本各地で見えた。肥前国(長崎県・佐賀県)でも見えたという記録が残っている。
 そのほか1204年2月にオーロラが日本で広く見られた。鎌倉時代の公家・藤原定家の『明月記』に「北の空から赤気(せっき)が迫ってきた。その中に白い箇所が5個ほどあり、筋も見られる。恐ろしいことだ」とある。
 また日本書紀にも「赤気」の記述がある。推古天皇の統治時代だった620年に出たオーロラだと思われている。
 「恐ろしい」ものだったオーロラが広く日本人に「怖くないもの」として知られるようになったのは明治時代以降である。
 言葉も「赤気」ではなく、「極光」や「オーロラ」が使われるようになった。近年には、わざわざツアーで見に行く観光の対象になってきている。
 しかし、オーロラを見て喜ぶ人々の陰で、現代の文明を支える人たちが恐怖におびえているのである。
     (4月17日『夕刊フジ』より)


.. 2015年04月22日 08:00   No.896007
++ 渡良瀬 (幼稚園生)…1回       
.「合理的?現に今起きているリスクをクリア出来ない基準値なのに」
 |  「再稼働阻止の主張の絶対的論拠を一点に絞ろう」1600−1800ガルを最低基準にする
 └──── (さいたま市在住)

福井判決にあって鹿児島判決や政府、全てのマスコミ報道にないもの、それは現実の脅威の認識です。
 彼等は、リスクゼロを目指すのは非現実的議論だと言い張っている。今の新基準値は専門家の叡智を結集したもので“合理的”だと言う。
 其処にこそ騙されやすい罠がある。「危険だからと車迄規制するのか」、「現代科学文明にはリスクが付き物だ」とか議論を迷路に誘うのだ。
 我々の世間に対する主張は、誰にでも判る一点に集中しましょう。
 近過去に起こった一寸大きな地震は、全国殆どの原発の耐震新基準値を上回っている事実は動かし難い。この事実を誰も否定出来ない。
 それを先ず規制庁・政府・マスコミに認めさせることが最重要です。その上で、現実の明らかなリスクに対抗できる基準値に変える、即ち「全原発の耐震基準を、理屈抜きに単純に、中越・栗駒・能登並み(例示)レベルに上げましょう」を一点集中的に求めるのです。
 それだけで再稼働は出来ません。容易にその基準をクリアー出来ません。

 ここは地震学者・石橋克彦さんの出番です。
 要するに、1600−1800ガルを最低基準にするのです。


.. 2015年04月27日 10:47   No.896008
++ 島村英紀 (大学院生)…109回       
頻度高まる隕石の地球衝突
 |  広島に投下された原爆を超えるエネルギーも
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその99
 └──── (地震学者)

  中国で生まれて日本に入ってきた言葉がある。「杞憂(きゆう)」。中国古代の杞の人が天が落ちてきはしないかと毎日心配して、食事ものどを通らなかったことから出来た言葉だ。
 心配する必要のないことをあれこれ心配することや、取り越し苦労のことを言う言葉だとされている。
 しかし、現代の私たちにとっては笑い話ではすまないことが分かってきた。
  2000年から2013年の間に26個の大きな隕石が落ちてきた。この26個が地球に衝突したときのエネルギーは、TNT火薬にしてどれも1000トンから60万トンの威力があった。
 ちなみに米国が広島に投下した原子爆弾は16000トン相当だったから、どれも相当な威力だった。もし都市を直撃したら大変なことになる大きさである。
 火薬1000トン相当以上のものが14年間に26回。広島規模以上の隕石の爆発だけでも、平均すると年1回以上も起きているのだ。
 しかし幸いにして、いままで人が密集しているところに落ちたことはない。これは偶然の幸運のおかげだった。地球の表面の3分の2は海であるうえ、陸地の多くの部分も人はほとんど住んでいないところだから、密集地に落ちる確率はそもそも低いのだ。
 しかし、今後はわからない。この幸運がいつまで続くのか、そのうちにどこかの都市に隕石が落ちて悲劇的な大惨事になってしまうのかは神のみぞ知ることなのである。
 最近の調査では、巨大な隕石が地球に衝突する頻度は、これまで考えられていたよりもずっと高いということが分かってきている。
 最近では2013年2月にロシア西南部の町チェリャビンスクに大きな隕石が落ちた。
 この隕石は50万トン分、つまり広島に落とされた原爆の30倍ものエネルギーを放出した。衝撃波で東京都の面積の7倍もの範囲で4000棟以上の建物が壊れ、1500人もが重軽傷を負った。
 その前2008年10月にはアフリカ・スーダンの無人のヌビア砂漠上空にも大きな隕石が落ちてきた。落ちてきたものは直径約4メートル、重さ約59トンの小惑星だった。幸いこのときはこの小惑星のほとんどは地上に落ちる前に成層圏で爆発して燃え尽き、ごく一部が隕石として地上に落ちてきた。1400キロメートルも離れたところを飛んでいたジェット機の乗員が激しい閃光を目撃している。
 科学者は手をこまぬいているわけではない。このスーダンに落ちた隕石は、大気圏と衝突する20時間前に発見され、史上初の「衝突前に発見された天体」になった。
 だが、チェリャビンスクに衝突した隕石は事前に発見できなかった。
  これからも大きな隕石は地球に落ち続けるに違いない。だがチェリャビンスクの例のように、かならず事前に分かるわけではない。
 もっとも、事前に分かったとしても落下場所が正確に分かるわけではない。対処のしようもないのだが・・。 (4月24日『夕刊フジ』より)


.. 2015年05月02日 07:57   No.896009
++ 島村英紀 (大学院生)…110回       
.「プレートの異端児」が引き起こしたネパール地震
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその100
 └──── (地震学者)

  また「インド亜大陸」が大地震を起こしてしまった。
 ネパールで大地震があり、5200人以上が死亡、負傷者は11000人以上にものぼっている(註)。地震のマグニチュード(M)は7.8だった。
 インド亜大陸は、はるか南極海からプレートに乗って北上してきて、約1000万年あまり前にユーラシアプレートと衝突した。しかし、それだけではすまず、いまでも北上を続けようとしてユーラシアプレートと押し合っているのである。
 このためプレートの端がまくれ上がってしまって「世界の屋根」ヒマラヤやチベット高地を作った。ヒマラヤはいまでも毎年1センチずつ高くなり続けている。
 このインド亜大陸の動きはたびたび地震も起こしている。
 近年では2005年にもM7.6の大きな地震がパキスタンを襲って、確認された死者だけでも9万5000人以上という大惨事を生んでいる。
 また2008年に中国南西部で起きた四川大地震(M7.9)も多くの学校が潰れるなどして9万人以上が亡くなった。このほか2013年にもパキスタンでM7.7の大地震が起き、少なくとも数百人以上が犠牲になっている。
 今回のネパールの地震もパキスタンや中国の南西部で起きてきた地震の兄弟分の地震である。
 ネパールでも1934年にはM8.4の地震で1万人以上、1988年にもM6.6の地震で1500人近くが死亡している。
 インド亜大陸が動こうとしている限り、この種の地震は、インドの北にあるこれらの国々で続くに違いない。地震が起きるメカニズムは日本とはちがうが、プレートの動きのせいで地震常襲地帯であることは同じなのである。
 ところでインド亜大陸はここまで来るあいだに、数奇な運命をたどった。もともとこのインド亜大陸は、ひとつの大きなゴンドワナ大陸と呼ばれる大陸が1億5000万年ほど前に分裂して南極大陸ができ、割れた残りがアフリカ大陸、オーストラリア大陸などとともに分かれて、それぞれが北上していったひとつなのだ。
 そして、このインド亜大陸がアフリカの東沖、いまフランス領レユニオン島があるところを通ったときに、地球深部から上がってくる「プリューム」の上を通った。プリュームとは、風呂の中を泡が上がってくるように巨大なマグマのかたまりが上がってくるものだ。
 このプリュームから大量のマグマがインド亜大陸を割って吹きだしてきた。学問的には「洪水玄武岩」という。大量のマグマが出てきて、まるで洪水のように地表を広く覆ってしまうという一種の噴火だ。
 出てきたマグマは富士山の体積の100倍以上という途方もない量だった。こうしてインドのデカン高原ができた。玄武岩の台地で、面積が日本全土の約1.5倍、50万平方キロもある。
 日本の噴火とは比べものにはならない、過去有数の巨大な噴火だった。その後の暴れ方といい、インド亜大陸は「プレートの異端児」なのである。
  (5月1日『夕刊フジ』より)
(註)記事が出た2015年4月30日現在の数です。


.. 2015年05月07日 08:34   No.896010


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