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TMI事故、美浜事故、福島事故を忘れて川内原発の再稼働はない | たんぽぽ舎・原発事故基礎講座(5) 8月28日 【TMI事故直後でのふたつの教訓】 (1)ECCSを切ってはならない。この教訓は、福島原発事故で無視された。 福一1号機の事故は、事故の初期に非常用復水器の運転を止めたことで起こった。 (2)加圧水型にも原子炉水位計が必要。だが、給水ポンプ作動で水が循環している時には、水位が正確には測定できない。誤解を招くと水位計の設置が遅れる。川内では? 【事故直後、DBA思想はTMIではぎりぎりで維持】 DBA(Design Basis Accidents)とは、起こりうる原発事故を想定し、核燃料をECCSで冷却し、放射能の放出は格納容器で押さえ込む。TMIでは辛うじてDBAは維持できて、牛乳廃棄問題は生じなかった、と安心していた。 【しかし、事故数年後に、原子炉の深刻な状態が判明、追加される4つの教訓】 (3)炉心熔融。事故直後発表では炉心熔融なし。しかし、その後の調査で炉心熔融は52%。 (4)原子炉底抜け。原子炉底に2本の亀裂を発見、原子炉底抜け直前だった。 (5)格納容器での水素爆発。天井の熱損傷発見。だが、特別に分厚い天井で破壊を免れる。 (6)ヨウ素の大量放出。当初 15キューリー放出と発表。しかし、3000万キューリーも行方不明。 【深刻な美浜原発事故】 1991年2月、蒸気発生機細管の破断で、1次冷却水が2次系に流出。ECCS作動。しかし、能力不足。そこで、充填ポンプ使用。だが、充填ポンプの圧力に負けて、ECCSポンプ注水できず。原子炉沸騰、空焚き寸前。 一次系の蒸気の流入で二次系の圧力上昇。逃し弁から環境へ汚染蒸気噴出3回。一次系の圧力を下げるため、ECCSポンプを止める(TMI教訓(1)の違反)。加圧器の水は回復。しかし、原子炉の沸騰で加圧器に水が流れ込んだだけのこと。 DBA失敗は5つ。(1)能力不足のECCS。(2)加圧水型(PWR)が沸騰水型(BWR)となった。このBWR型事故対応して(3)水位計に加え。(4)一次系隔離弁、(5)非常用復水器などの追加が必要。だが関電の事故隠しで、DBA再検討の議論は妨害されたまま。 【川内原発など、PWRの運転再開に待った!】 TMI事故(1979)、美浜事故(1991)、そして福島事故(2011)を新しくDBAとする議論が必要。DBA(科学技術)の欠いた加圧水型原発の運転再開は、「原子炉の安全は科学技術で守る」としてきたこれまでの原子力開発の約束放棄を意味する。 科学技術による安全対策をしないまま原子炉を運転するのは、原発の経済性悪化である。科学技術を使用しないのだから、事故は防げない。原発を安全対策せず運転して、「事故が起こっても仕方がない」とするのは「未必の故意の犯罪」。予見される原子炉災害により、庶民を放射能で苦しめても平気なのは、「人間の顔をした悪魔」である。 政府、規制委、電力首脳ら、彼らの心から「この悪魔」を追い出すたたかいが始まる。. .
.. 2014年08月27日 11:05 No.783002
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