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◆《本音のコラム》 鏡のむこう 鎌田 慧(ルポライター)
集団的自衛権行使の容認、さらには原発再稼働の強行。民意に逆らう安倍内 閣は、近年まれな独善強権政権である。「なにが秘密か。それが秘密」と批判 された「特定秘密保護法」を強行採決。その直前に、「国家安全保障会議」が 設置された。早速、武器輸出を「防衛装備移転」と姑息にいいかえ、ミサイル 部品を米国に輸出することを決めた。 安倍晋三首相は財界幹部をひきつれ海外を歴訪、原発輸出から兵器輸出へと 歩きまわっている。原発輸出はほかならぬ核拡散だ。重厚長大型産業の経団連 の利益のために「死の商人」の露払い役をかって出ている。 米国・国家安全保障会議の翻訳版が、「日本版NSC」と呼ばれる「国家安 全保障会議」である。本家NSCの一端を担う国家安全保障局(NSA)の秘密 を暴露したのが、その職員でCIAの工作員でもあったエドワード・スノーデ ンである。 米政府の国家悪に、たったひとりで挑戦したスノーデンの活動は、すでに報 道されている。彼が収集した情報をもとにして書かれた、グレン・グリーン ウォルドの「暴露」は、日本版NSCの未来を暗示して、背筋を寒くさせられ る。 戦争をしたがる政府の敵は自国の国民である。戦中に猛威を振るった憲兵隊 の残虐さをみるとよくわかる。むこう側は何も見えない。が、むこうはこっち のすべてを見ている。 (7月29日より)
.. 2014年08月08日 08:30 No.772002
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