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「大間」差し止め 函館市長に聞く フルMOX「危険だけ背負わされる」 事故前の基準で許可 −全国からの応援支えに 「国にモノ申す」他自治体に波及も−
電源開発(Jパワー)大間原発(青森県大間町)の建設差し止めなどを求め、北海道函館市がJパワーと国に対し、訴訟を起こす。自治体が原告となる原発差し止め訴訟は全国初だ。異例の訴訟は、他の原発周辺自治体に波及する可能性もはらむ。工藤寿樹市長は「住民と街を守る責任がある」と話す。(中略) 函館市は原発事故の防災重点地域である30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)にある。それにもかかわらず、原発建設や稼働の同意手続きに関与できない。電力会社と締結する原子力安全協定などの対象は、都道府県や立地自治体に限られている。(中略) 大間原発の国による原子炉設置許可が、福島原発事故の前の旧審査基準によって出されていることも問題視し、その違法性を主張する。「原発事故前のいいかげんな審査指針で、許可が出されている。それに基づいて工事も再開している。そんな許可は無効だ」 大間原発が使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を100%使用する世界初のフルMOX原発であることも、大きな不安要因だ。(中略) 専門家の間では、毒性の強いプルトニウムを使うフルMOX原発の安全性を疑う意見が強い。 工藤市長は「津軽海峡は国際海峡で、ほかの地域と比べ、外国のゲリラ船も入りやすい。世界一危ないフルMOXで、世界一テロに弱い原発ができあがる」と危機感を募らせる。 (中略) 「大間原発は、電力の需給にも関係がない。最低限、新しい原発は凍結すべきだというのは、多くの人が思っていることだ。福島の反省もなく、進めるのはおかしい」と安倍政権の姿勢を批判した。(中略) 脱原発を主張する首長、首長経験者でつくる「脱原発首長会議」には、39都道府県の90人超が加入している。(中略) 首長会議の事務局長で、元東京都国立市長の上原公子氏は「公園の遊具で子どもがけがをしただけでも大問題になる。それだけ自治体は一人の命に責任を持っている。原発こそ生死に関わる問題で、他の自治体も函館に続くよう呼び掛けたい」と話す。 前千葉県我孫子市長の福嶋浩彦・中央大学院大教授は「自治体は国の出先機関ではない。地方のうねりが国を動かすケースもある。住民の立場に立ち、国に影響を与えることも、自治体の一つの仕事だ」と話した。 (2月24日・こちら特報部より抜粋)
.. 2014年03月03日 09:01 No.698001
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