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■--来月から再稼働阻止の大集会
++ 広瀬 隆 (小学校中学年)…10回          

 3月9日福井県と、3月16日鹿児島県での大集会を、
  全国の力で支援して
 
全国のみなさま 広瀬隆です

○ 再稼働候補のトップグループに挙げられているのは、愛媛県の伊方原発、鹿児島県の川内原発、福井県の大飯原発・高浜原発です。
 そのうち、伊方原発再稼働阻止の大集会は、昨年12月に松山でおこなわれ、その成果は、先週2月2日に発表された四国4県での共同通信と4県主要紙(愛媛新聞・高知新聞・四国新聞・徳島新聞)の合同アンケート調査で、「再稼働反対6割突破、原発廃止要求66%、原発不安87%、自民支持者でも不安81%」という結果となって表われています。
○ さあ、これに続いて来月に迫った、3月9日の福井県と、3月16日の鹿児島県で の大集会を、全国の力で支援してゆきましょう。
 何より、原発現地の一般市民が立ち上がって声をあげることが大切です。それには、全国からの集会参加が、現地住民にとって大きな励みになることは、松山大集会で見た通りです。
 大会場となる福井県の鯖江(さばえ)は、京都から特急でわずか1時間20分の近距離で、県庁所在地・福井市に隣接し、メガネフレーム生産の国内シェア96%を誇る工業都市です。日本中のどこからでも行けます。
○ 鹿児島市の大集会は、1万人をめざして、九州全土ほか、西日本の人たちに決戦への参加を呼びかけています。今年1月の年頭会見に臨んだ鹿児島県の伊藤祐一郎知事が、あろうことか、6月議会で川内原発再稼働のGOサインを出すと宣言したからです。おそろしい事態が進行しています。
○ 都知事選における舛添要一の「有権者に対する絶対得票率」は、自民・公明の支持を受けても、なんと二割を切っているのです。誰も、あんな男を信任していません。あんな男に、都知事の資格はない。与党・自民党も絶対得票率20%だ。
日本人は二割のファッショを、このまま許すのか?
冗談ではない。
.. 2014年02月14日 09:11   No.691001

++ 山崎久隆 (社長)…394回       
原発を「重要なベース電源」とする主張は誤り
 │「震災の教訓」の欠如、「未来への責任」の欠如(シリーズ その3) 
 └────(たんぽぽ舎)

 2月1日午前10時から、BS朝日の「激論クロスファイア」で「日本の原発を今後どうする!?」と題して、京都大学原子炉実験所山名元教授と多摩大学大学院田坂広志教授が議論をしていた。とはいえ、特に原発反対と賛成という違いがあるわけではなく、原子力を利用する立場からの問題点の議論だった。
 しかし論点の前提条件に大きな違和感を感じたので、何度かに分けて原発再稼動への反論をする。

○原発が今止まっているのは何故か

 2013年9月に原発が全部止まったのは、原発そのものの欠陥が原因だ。
 地震や津波に耐えられない「安全基準」を作り、度重なる警告(人間からも自然からも)を無視し続けた結果、福島原発震災を引き起こしたから止まった。「原子力の欠陥」が原発を止めている。
 これを解消しなければ動かせないわけだが、新規制基準でも原発の構造欠陥を解決できていない。
 原子炉水位や温度や圧力が正確に分からないまま、手探りで冷却を試みていた福島第一の教訓を生かすならば、いかなる事態でも正確に原子炉水位や温度などを捉えられる機器類の開発がまず取り組まれるべきであるが、そんな気配さえない。原理的に不可能だからだ。
 原子炉内部の状態も分からず対応せよとのシビアアクシデント対策は、福島以前は対策とは名ばかりの対処方法が書かれていないマニュアルだった。
 いまもシビアアクシデント対策は電源車を追加して冷却材用の水を入れる入口を作った程度のものだ。例えば地震に対する制御棒駆動系のシステムや配管の脆弱性は、そのままである。
 福島原発事故が停止の失敗では無かったので考慮する必要が無いとの判断であろう。だが地震による制御機能の喪失が次の原発震災かもしれない。そのような危機感をみじんも感じない。
 また、使用済燃料プールの安全対策が十分ではないことも問題だ。単に注水方法を多重化したのではダメである。冷却水を失う事態になっても燃料崩壊を防ぐ対策を取らねばならない。極めて困難であるため、そんな対策は放棄されているが、シビアアクシデント時には燃料プールが必ず冷却できる補償などは無いと考えるべきである。
 原発が原理的に稼働できない欠陥を有し、日本は地震津波火山大国であるために、その欠陥がさらに増幅される。原発が重要なベース電源どころか、原発こそが電力供給を阻害してきたことを認識すべきだ。


.. 2014年02月17日 08:13   No.691002
++ 山崎久隆 (社長)…395回       
○原発・電力供給を阻害

 東電は発電量の2割ほどが原発だったが、関電は4割を超えていた。設備容量も東電が2割程度なのに関電は3割近かった。(全国では2010年度で設備容量は2割、7割弱の設備利用率で3割の発電量)
 この結果、原発が全部停止した直後には電力供給に問題が生じた。それは事実である。東電の場合は夏のピーク時ではなく震災直後のことだ。東京では計画停電が実施された。ただし時期が3月中・下旬で年間を通じて電力需要の少ない時期だったから、計画停電をしなくても大停電にはならなかったと考えら
れる。
 夏のピーク時であれば広域停電に至った可能性もあった。
 関電は、その年の夏に広域停電の恐れが生じた。大飯をはじめいくつもの原発は動いていた。この時の危惧は、電力需要がピークを迎えているときに若狭湾周辺で地震が発生し、原発が全部停止する事態を想定してのことだ。東北地方太平洋沖地震の発生により、日本各地で地震が起きやすい状態になっていた。
若狭湾も例外ではない。その結果、大地震ではなくても原発を止める震度5程度の地震が起きていただけで、関西広域停電が起こりえたのである。
 電力需要の多くを原発に依存していれば、この程度で広域停電になる危険性は全電力会社にある。
 結局、原発をベース電源として位置づけ、それに依存し続ければ、原発停止がただちに広域大停電の引き金になってしまうことを認識すらしていない主張を何時までもし続ける人たちの意見は聞くべきものは何もない。

.. 2014年02月17日 08:24   No.691003
++ 山崎久隆 (社長)…396回       
日本のマスコミは、事の軽重を判断する能力を失っている。
 │ 各社トップで伝えるべきニュースが、あろうことかベタ記事扱いである。
 └──── (たんぽぽ舎)

 記事は次の通り
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 東電、昨夏把握も公表せず=500万ベクレル−福島第1の高濃度汚染地下水・規制委
                     時事通信 2月10日

 東京電力福島第1原発で昨年7月に採取された地下水から1リットル当たり500万ベクレルのストロンチウム90が検出された問題で、東電がこの数値を同月中に把握していたことが10日、原子力規制委員会への取材で分かった。
 東電はこの値を今月まで公表していなかった。規制委へ報告した際にも、判明したのは最近と説明したが、その後把握した時期を訂正したという。
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 福島第一原発敷地内の高濃度汚染水漏えいは、東電が確認してからでも、もう半年以上も経過している。この間、敷地から海に出ていると考えるべきだ。
 さらに極めて高濃度の汚染水が地下に広がっていることを示しており、たくさんの井戸を掘って可能な限り放射性物質の拡散防止と位置の確認が必要な事態であるが、そのようなことをしている形跡も無い。
 働いている人々の被曝も深刻さを増している。
 地震が起きるたびに、地下では汚染漏れの場所が拡大し、汚染水は広がり続けているだろう。
 これを隠し続けてきた東電、いったいどうしてそんなことができるのか。理由は簡単だ。情報を隠ぺいしようが、何をしようが東電に対して何の「おとがめ」も無いからだ。
 もちろん、単に東電に制裁を加えてみたって、福島の現状は変わらない。一刻も早く東電ではなく責任のある機関が現場を掌握すべきだ。作業員の安全のためにも。

.. 2014年02月17日 09:24   No.691004
++ 山崎久隆 (社長)…397回       
伊方原発の再稼働に関して、四国4県の地方紙と共同通信社が合同で
 | 世論調査を実施、高い割合で再稼働反対の声が多いことが改めて明確
 └──── (たんぽぽ舎)
 
 伊方原発の再稼働に関して、四国4県の地方紙と共同通信社が合同で世論調査を実施、その結果高い割合で再稼働反対の声が多いことが改めて明確になりました。
 四県でも再稼働反対の声が最も高い割合だった高知県の「高知新聞」は、『再稼働をめぐる「地元同意」でも住民の声に耳を澄ますべきだ。住民の6割超が伊方再稼働に反対した事実は重い。政府や四電は、この民意をしっかり受け止める必要がある。』と指摘しています。
 この調査は伊方原発3号機は2013年7月に新規制基準適合審査を申請していて、審査中の9原発の中では「先頭集団」に入っているとされ、再稼働が最も早いのではと危惧されていることで、地元新聞社が中心になって行ったものです。
 東日本に比べて原発事故の深刻さが見えにくい西日本では、再稼働反対の声は大きくないという見解もあるようですが、そんなことは全くないことが、これで分かります。
 さらに地元同意のありかたについても、これまでの立地自治体だけの議論で事が進むことに批判が広まっています。もちろん再稼働反対の立場からは、再稼働同意そのものが「あり得ない」ことだから「同意の範囲の問題ではない」という意見もありますから、地元自治体だけで再稼働を同意することには多くの反対があるということが分かります。
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【伊方原発再稼働】反対6割超の民意は重い
       高知新聞(2014年2月4日)

 原発の安全性に四国の多くの住民が不安を抱き、「脱原発」を求める世論の強さがあらためて裏付けられた。
 四国4県の新聞社と共同通信社が合同で行った世論調査で、四国電力の伊方原発の再稼働に6割以上が反対した。本県は最も反対が多く7割近くに上った。
       【中略】
 原発の安全性の項目では、四国全体で9割近くの住民が不安視し、本県のその割合は9割以上と最も高かった。伊方原発の将来については「段階的」も含めた廃止が四国全体で7割近くおり、本県は7割を超えていた。
 原発事故で「安全神話」が崩壊し、いまだに詳しい事故原因すら分からない中、原発への不安が消えていないことがはっきりした。
 従来、四電は立地自治体の伊方町や愛媛県と安全協定を結び、両自治体の同意を事実上の地元同意としてきた。だが、調査では半数近くが四国4県と山口県も「同意の範囲」とすべきとの回答だった。
 福島のケースを見ても、いったん事故が起これば被害は広範囲に及び、避難も一刻を争う。これまでは一部自治体が地元同意の対象だったとしても、調査結果に出た住民の思いは切実だ。
 (高知県の)尾崎知事は四電が再稼働を最終決定する際、「高知県の同意」を条件に求めない方針だという。四電との協議で安全対策を求めていく考えだが、それで県民の納得は得られるだろうか。
 そもそも法律上、地元同意の規定がないこと自体がおかしい。福島の事故の反省を踏まえて、国が明確に規定する必要があるのではないか。
 安倍首相は民主党政権が掲げた「2030年代に原発ゼロ」政策を転換した。ただ、原発依存度を減らすとしながら、その道筋を示していない。調査では、半数以上がこの政策転換を評価しないとしている。国のエネルギー政策はどこへ向かっているのか。国民に示す義務を忘れてもらっては困る。

.. 2014年02月17日 09:35   No.691005
++ 野村昌平 (幼稚園生)…2回       
東電本店前抗議行動で演説しました。(2月5日)
 | 「堰の設計根拠の開示を要求」−機械設計部門で働いた経験からたずねた
 └────  (東京)

 私は石川島播磨重工の機械設計部門で定年まで勤務しました、30年前48歳の時に敦賀原発一号機の定期点検でタービン建屋内での作業経験があります。
 当時の東電の設計仕様書は過剰とも思われるほど厳格なものでした、この仕様書に準拠すれば福島原発の汚染水タンク周りのいい加減な堰はできなかった筈です。
堰の欠陥を列記すれば、
・堰の容量は汚染水の容量を充たさない。
・雨水対策がされていない。
・堰に手動弁が取り付けてある。
 このことからも当初からタンクより漏洩したら外部への漏出は想定されていたことになります。堰のかさ上げがされていると聞きますが雨は横からも吹き付けます、堰の設計根拠を開示してください。堰の設計関係者はきいているか、出て来い!
間もなく3年目の3.11だ、責任を回避するあなた方は犯罪集団そのものだ!
バカモーン! 恥を知れ!

シュプレヒコール:(2回連呼)
・東電は責任を取れ!    ・汚染水を垂れ流すな!
・柏崎刈羽再稼動反対!   ・電気は足りている!
・原発はいらない!

 ※編集部より:次回(第6回)東電本店前合同抗議は、3月9日(日)の日比谷野音の集会(午後1:00−2:00)の後、2:15−3:00の45分間、東電前で開催されます。ご参加下さい。
 終了後に国会正門前大集合に参加します。

.. 2014年02月17日 09:45   No.691006
++ たんぽぽ舎 (社長)…781回       
たんぽぽ舎第26回総会(25周年)のご案内
 │  2月23日(日)13:00から 総会と記念講演・懇親会
 └──── 
たんぽぽ舎は設立から25年を迎えます。ぜひご参加下さい。

  日 時:2月23日(日)13:00開場 13:30−
第1部  第26回総会  13:30−14:45  
            ※会員以外の方もオブザーバー参加歓迎
  第2部  記念講演   15:00−17:00
        (1)地震・津波・火山だけではない
            −再稼働してはならないわけ理由−
             講師:山崎久隆氏(たんぽぽ舎)
  (2) 浜岡原発の再稼働を止めよう
  講師:鈴木卓馬氏(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)
第3部  懇親会   17:15−19:00

会場:第1部 第2部 スペースたんぽぽ   ダイナミックビル4F
第3部     たんぽぽ舎 〃 5F
会費:第1部−無料、 第2部−800円(資料代)、第3部−2,500円
              ◇第2部−3部共に参加の方は3,000円

.. 2014年02月18日 08:47   No.691007
++ 山崎久隆 (社長)…398回       
原発を「重要なベース電源」とする主張は誤り
 |  「震災の教訓」の欠如 「未来への責任」の欠如 シリーズ その4
 └──── (たんぽぽ舎)
 
 2月1日午前10時からの、BS朝日の「激論クロスファイア」で「日本の原発を今後どうする!?」として、京都大学原子炉実験所山名元教授と多摩大学大学院田坂広志教授が議論をしていた。とはいえ、特に原発反対と賛成という論点の違いがあるわけではなく、原子力を利用する立場からの問題点の議論だった。
 しかし議論の前提条件に大きな違和感を感じたので、何度かに分けて原発再稼動への反論として記述する。

○高レベル放射性廃棄物の地層処分
 話題は地層処分に移るのだが、驚いたことにフィンランドのオンカロの話に移った時、耳を疑う発言が山名教授から飛びだす。
 「地層処分は人間から放射性廃棄物を隔離するために行う」と思っていたら、そうではなく、人類がそのようなものを埋めたことを「忘れ去る」ためにあるという趣旨のことを言い出した。
 この考えの究極は、オンカロの正反対である。
 フィンランドのオンカロは、長期間にわたって管理できない高レベル放射性廃棄物を人間活動圏から隔離する方法が解決できないことを長年悩んできた。
 宇宙に放たれた人工衛星「ボイジャー」に搭載された、未知の生命体に地球と人間が説明できるように搭載された黄金製のレコード盤と同様に、10万年以降の「未来人」に、言葉だけでなく様々な「サイン」を駆使して「危険な物体が埋まっている」ことを伝えようと真面目に検討している。
 しかし山名教授は「そもそも知らせてはならない」と考えているようだ。
 なまじ伝えてしまうと、危険な核のゴミをわざわざ掘り出してしまいかねない、有用な金属、貴金属も含むし、プルトニウムも含む使用済燃料や高レベル廃棄物を「知られないように」隠しておく(そういえばオンカロにもそういう意味があるが)ことが重要なのだという。
 しかし地上に暮らしている人々が地下にそのような危険物が埋まっていることを知らないまま過ごすことは、二重の意味でとてつもなく危険だ。
 
○地下利用の未来予測などは不可能なこと−山名元教授のまちがい
  現在、都内で最も深い場所を利用しているのは大江戸線で42mだが、世界では、もっと遙かに深い地下が利用されている。
 南アフリカの金鉱山では地下4,000mまで掘り進められていて、さらに4,800m地点の新たな鉱脈まで掘り進む計画があるという。
 人間が掘った最も深い縦坑は、89年にロシアのコラ半島で行われた地質調査の際に1万2,000mとの記録があるという。
 日本でも南海トラフなどプレート境界地震のメカニズムを探る目的で、地下1万mに到達する計画がある。
 資源探査や科学調査の目的で、今でも大深度ボーリングの試みは日夜続けられている。
 高レベル放射性廃棄物を、いわゆる「安定した地層」に埋設する計画は、未来のどこかで同じように「安定した地層」を求めて掘削する地下利用計画と衝突する危険性は高い。もともとあったウラン鉱山地帯への埋設を、と計画される岐阜県瑞浪市の東濃地科学センターは、旧動燃の東濃鉱山跡に作られたが、ウラン鉱山地帯には他にも金属資源が存在するので、未来のある時期に地下資源開発を行う可能性も高い。
 そんな場所が「隠された処分場」だったとしたら如何に危険か、想像を絶することだ。
 10万年どころか、数百年でさえ記録や記憶が残存するかどうか定かでは無い。その時に地下利用計画と放射性廃棄物処分場が「衝突」したら、恐ろしい汚染事故になる。

.. 2014年02月18日 09:00   No.691008
++ 小出裕章 (小学校中学年)…11回       
汚染水処理/核燃料取り出し
 |  人類が初めて遭遇する過酷事故
 |  世界中の専門家を集めて検討すべき
 └──── (京都大学原子炉実験所助教)インタビュー記事

汚染水処理に展望なし 冷却法の抜本的転換を検討すべきだ

──メルトダウンした核燃料について東電は、「格納容器内にとどまっている」と発表しています。しかし、海外の専門家に中には、「既に地下地盤に達している」との評価もあります。小出さんはどう判断していますか?
小出…1〜3号機はとてつもない汚染で、人が原子炉建屋にすら入れず、ましてや格納容器の内部を見に行くことができません。また、正確に知ることができる測定器の配置もないまま事故に突入したので、燃料の所在は誰も知ることができないのが現状です。
東電の発表は計算コードによる推測なのですが、計算コードとは、実験によって確かめながら修正・運用していくものです。実験も実証もできない計算予測など、もともと意味がありません。
 原子炉建屋下には地下水が流れていますが、表面を流れる地下水の下に水を通さない岩盤があり、さらにその下に2層目の地下水が流れています。最近、この2層目の地下水が汚染されていることがわかってきました。
 これは、熔けた炉心が、岩盤を貫いて2層目の地下水層まで達している可能性を示唆しています。海外メディア・研究者はこれを根拠に、「炉心熔融が進行している」と推測しているようですが、私には確信はありません。
 私は、「熔けた炉心を冷やすために事故直後から注入し続けている冷却水が、地下に流れ出ている」と指摘し続けてきました。汚染水は、原子炉建屋・タービン建家の地下、トレンチ・ピット・立坑などに溜まっているのですが、これらの構造物は、コンクリートでできています。あれだけの地震で壊れていないはずがないのです。コンクリートの割れ目から汚染水が地下に流れ出ているのは、確実です。
 現在、事故原発周辺は「放射能の沼」のような状態になっているので、2層目地下水の汚染は、1層目の汚染水が岩盤の割れ目から下に浸透している可能性もあります。

──汚染水処理の目処が未だに立ちません。今後の見通しは?
小出…東電と政府の方針は、1.増える汚染水を貯めるタンクを現状40万トンから80万トンまで増やす、2.その間にALPS(多核種除去設備/注参照)という浄化装置で処理を進め、法定汚染濃度以下になったものを海に放出する、というものです。
 しかし、まずALPSはまともに動かないと思います。仮に動いたとしても、ストロンチウムを法定限度以下まで処理することはとても難しいでしょう。さらにトリチウムは、どんな装置を作っても不可能なので、結局、汚染水は薄めて海に棄てることになると思います。
 しかし本来、放射能を海に棄てることなどやってはいけないことですから、私は、冷却方法を抜本的に転換すべきだと考えています。汚染水の増加を食い止めるには、水での冷却は諦め、金属による冷却や液体窒素で全体を凍らせる方法、あるいは空冷の可能性も含めて検討すべきです。
 ただし、鉛を投入するという金属冷却法にしても、熔けた炉心がどこにあるかわからないのですから、うまくその場に到達させることができるかどうか、確信が持てません。福島事故は、人類が初めて遭遇している過酷事故なので、対処法も試行錯誤しながらやってみるしかないのです。金属による冷却も、あくまで1つの提案でしかありません。世界中の専門家が集まって検討するほかないと思います。

.. 2014年02月19日 08:01   No.691009
++ 小出裕章 (小学校中学年)…12回       
困難だらけの核燃料取り出し 完璧な作業前提とした「計画」

──4号機燃料プールにある使用済核燃料取り出し作業について。
小出…使用済み核燃料は、取り扱いがとても難しい物体です。プールの底にある使用済み燃料集合体を空中に吊り上げるようなことがあれば、周囲の人がバタバタと死んでしまうほどの強烈な放射線を発しています。
 「キャスク」という巨大な容器を水中に沈めて、使用済み燃料を入れてフタをして初めて、プールの水面から上に出すことができます。
 ところが、建屋爆発でクレーンも破壊されてしまったので、東電は、4号機建屋上部を撤去し、新たな建屋を組み立てたうえで、燃料交換機やクレーンを設置しました。いちおう作業機器は作られたのですが、建屋の中はやはり高い放射線量で、ゆっくり、慎重に作業できる環境ではありません。
 また、プールの中には瓦礫がたくさん崩れ落ちています。大きな瓦礫は掴み出したのですが、まだ中小の瓦礫が散乱しています。燃料棒は、ラックに1体1体突き刺して保管していますが、ラックの上にも瓦礫が残っているので、ラックと燃料棒の間に瓦礫が噛み込んでいる場合もあります。
 そうなると燃料棒を引き出すことができないし、無理に引き出そうとすると破損する可能性もあります。何とか吊り出しても、途中で落としてしまったりすると、燃料棒が破損し、放射能がプールの中に溶け出すこともありえます。

燃料棒取り出し「年内完了」は実現不可能

──東電は、「年内に取り出しを完了する」と言っていますが…。
小出…プールの中には、1331体の使用済み燃料集合体があります。広島型原爆に換算すると1万4000発分の放射能です。1集合体当たり原爆約10発分の放射能が含まれる、という計算になります。
 1回あたり22体の燃料集合体(10トン)をキャスク(90トン)に入れてクレーンで吊り上げ、いったん地上に降ろして、隣にある共用燃料プールに移す計画です。プールのあるフロアは高さ33mなので、もし作業途中でワイヤが切れて落下しようものなら、大変なことになります。
 東電は、「ワイヤーを二重に掛けているので大丈夫」と言っていますが、キャスク落下時の性能試験は9mなので、万が一キャスクが破損すると、放射性物質が吹き出し、作業は中断します。
 キャスクを使った移送は、1回の作業で約1週間かかると見積もられています。つまり、1年で52回作業できるということです。1回の作業で22体の集合体を移送できるので、年間1100体移送できる、そしてキャスクは2つあるので、年内には終えられるはずだ、というのが東電の計画です。
 しかしこれは、あくまでトラブルがなく完璧な作業を前提とした机上の計算です。先ほど説明したような作業環境とプールの状態なので、トラブルなく1年間作業を完璧にやり通すことなど本当にできるのでしょうか?
 4号機の取り出しが終わったとしても、次には1〜3号機が待っています。こちらは4号機に比べるとはるかに放射線量の高い環境での作業となるので、その困難さは言うまでもありません。

.. 2014年02月19日 08:10   No.691010
++ 小出裕章 (小学校中学年)…13回       
税金投入するなら東電倒産が大前提

──「東電に当事者能力はないので、政府が全面的に責任を負うべきだ」という主張が強まっていますが…。
小出…日本政府は「原発安全神話」をねつ造し、原発にお墨付きを与えてきた人々ですから、解決能力も責任能力も欠如しています。
 一例を紹介します。政府は、電力会社を「監視する」ためとしてオフサイトセンターという出張所を作っています。事故の際は、対策本部にもなるはずでした。ところが、実際に福島事故が起こると、オフサイトセンターの職員は、住民を逃がす前に真っ先に逃げてしまったのです。当事者としての責任感も能力も全く欠如しています。
 東電は日本を代表する巨大企業ですが、その東電を何十回倒産させても贖いきれない被害が既に出ているわけで、そもそも東電に事故の対応を任すことなど、初めからできないのです。
 だから国が責任を負うのは当然ですが、まず東電を倒産させて、「国家が倒産するかもしれないほど大変な事故なのだ」と宣言して、国がやるしかないと思います。安倍首相は「国が責任をもって」などと言っていますが、政府の金は、他ならぬ私たちが出している税金です。ましてや、被害者である人たちの金でもあるのです。その金を使って東電と政府の尻ぬぐいをしようというのですから、安倍首相はまず、自らの過ちについての深い謝罪から始めなければならない立場のはずです。
 安倍さんが謝罪するとは到底思えませんが、原発事故は血税を使って処理するほかないと思います。

──今年の目標は?
小出…1年の計を立てる余裕はありませんでした。気づいたら事故から3年も経とうとしているのに、収束の目処すら見えません。故郷を追われた10万人を越える人々が、難民化しようとしています。
 日本の法律では放射線管理区域にしなければならない場所に数百万人が棄てられてしまい、子どもたちも日々被曝しています。この事態をどうしたらいいのか?わからないまま3年経ってしまいました。これからも目の前の課題に追われながら生きていくしかない、と思っていますが、状況をできるだけ正確に分析して皆さんに伝えることが私の仕事だと思っています。

──若い人へのメッセージは?
小出…私が若い人に何かメッセージを贈れるような立場の人間とは思えません。原子力を許してきた大人の世代として、若い人には謝るしかありません。特に原子力の現場にいる人間としては、それ以外に言葉が浮かびません。
 あまりにもバカな大人たちがたくさんいるので、未来は若い人に託すしかありませんし、あなたたちが私の希望です。


.. 2014年02月19日 08:21   No.691011
++ 小出裕章 (小学校中学年)…14回       
原発推進・売り込みの国際機関IAEAに
福島原発事故収束を委ねることはできない

──海外では、日本政府への不信と地球規模での環境破壊という観点から、国際的取り組みで解決を図るべきだ、との主張が強まっています。この「国際的」といった場合、「IAEA」がその中心に座ることになりそうですが…。
小出…日本で「原子力」と呼んでいる技術体系は、「核」技術と全く同一です。その根っこを辿っていけば、米国は第2次世界戦争中に核爆弾の製造のために、ウラン濃縮技術を作り上げました。さらに、ウランに代わる物質の研究を進め、プルトニウムを作り出す装置として「原子炉」を造ったのです。また、そのプルトニウムを取り出す「再処理」という技術も生み出しました。
 つまり、核爆弾を作る中心技術とは、1.ウラン濃縮、2.プルトニウムを作り出す原子炉、そして、3.プルトニウムを取り出す再処理、です。
 こうして米国は大量の核兵器を製造したのですが、世界的核軍拡競争となり、地球そのものの存亡に関わる事態となりました。そこで、たくさん作ってしまった濃縮工場や原子炉・再処理工場を民生転用するという発想で作られたのが、「原子力の平和利用」というスローガンなのです。つまり、戦争のための核技術を金儲けの道具にしよう、という転換です。
 1953年、アイゼンハワー大統領(当時)が、国連で「平和のための原子力」という演説をし、原子力発電がスタートしました。その実態は、米国が原発を海外に売りつけるビジネスです。
 しかし、原子炉は核兵器を作る中心技術ですから、海外にばらまいてしまうとたいへんなことになるので、核兵器を独占したい米国は、「核不拡散条約」を作って、核保有国(米・ソ・英・仏・中)は認めるけれども、他国の核兵器製造は絶対に許さない、というタガをはめようとしました。この役割を引き受けたのが、IAEA(国際原子力機関)です。IAEAの2大目的は、1.金儲けのために原発を売りつけることと、2.核兵器を作らせないための監視役です。
 そもそもそんな矛盾したことは不可能だと思いますが、IAEAは原発を推進し売りつけるための組織ですから、事故調査・収束作業の過程で、原発推進に不都合な事実は隠されてしまうことは、容易に推測できます。
 福島県南相馬市と田村市に作られる研究所にしても、目的は「新たな安全神話」の普及だと思います。それは、「低線量被曝はそれほど健康被害をもたらさないし、原発が事故を起こしても住み続けることはできる」という神話です。
 説明したように、IAEAは原子力を推進してきた中心機関です。いわば犯罪者の頭目なので、事故収束を任すことはできません。ただし、IAEAには専門家もたくさんいますから、知恵を借りることはありえますが、少なくとも原発に批判的な専門家を含めてやるべきだと思います。

──批判的な専門家がまとまって提言を出すというような動きはありますか?
小出…「健康への影響」といったテーマで市民サイドが福島や東京で国際会議を開催したりということはありますし、研究者が個人的に国境を越えて情報交換することはあります。しかし、事故対策という技術面も含めて批判的専門家がまとまって提言するということは、いまだできていません。

.. 2014年02月19日 08:45   No.691012


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