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福島県の甲状腺検査評価部会 初会合後「今のがん、事故前から」 結論ありきの制度設計 秘密会の存在に募る不信 体制刷新も結局骨抜き
秘密会の開催などで、県民の不信が募りに募った福島県の県民健康管理調査。専門家がつくる検討委員会の委員を入れ替え、体制刷新を図ったが、雲行きが怪しくなっている。福島原発事故の健康への影響を客観的に議論するはずだった甲状腺検査評価部会が骨ぬきにされているようなのだ。事故の影響はないという「結論ありき」が透ける。不信を拭い去るにはほど遠い現実が横たわっている。 「いま話に上がっているがんは、原発事故から1、2年という段階なので、放射線の影響で出てきたがんではない」 部会を代表して会見した甲状腺検査評価部会の副部会長を務める山梨大の加藤良平教授(人体病理学)はこう話した。(中略) 「現段階での原発事故の影響」を検証するはずの部会だが、初会合後の記者会見で、既に結論めいた言葉が出たため、会場は一気にしらけた。(中略) 星氏はさらに「現段階で事故の影響なし」と繰り返してきた調査主体の県立医科大に対し、「見つかったがんが本当にがんかを含めて確認する」「医大を訪れてどんなデータのやりとりをしているか見たい」と言明。県医大側の責任者である鈴木真一教授に「まな板の上に載ってもらうかもしれない」と宣言した。 だが、その後、そうした勢いに陰りが見えてくる。初会合前に公表された部会設置を定めた県の要綱には座長案にあった「第三者的な検討」「個別症例の検証」という趣旨の言葉が消えていた。代わりに部会で扱う事項には「検査結果の検証、評価」「検査の実施に必要な事項」という抽象的な表現が記された。(中略) 改革は失敗したという空気が漂っている。実はこの制度をもう1回精査してみると、制度自体に結論が刻まれている。(中略) つまり、「今見つかるがんは事故前からあるもの」という結論を前提にして、先行検査は進められている。ちなみにチェルノブイリの知見なるものには、多くの異議が指摘されている。(中略) 国会事故調の委員を務めた放射線医学総合研究所の元主任研究官、崎山比早子氏は、その理由について「人口流出を嫌う県にとって、原発事故による健康被害が深刻というレッテルをはられるのが一番困る。そうならないよう放射線の影響を正面から捉えようとしないのだろう」と指摘。さらにこう続けた。「加えて、国は再稼働を急ぎたいという立場。福島原発事故の影響を過小評価すれば、住民を帰還させ、東京電力の補償額も抑えられる。だが、大切なのは子どもの将来を第一に考えることだ。そのためにはまず影響を客観的に捉えること。治療の支援や避難のサポートが必要ならば、早急に手を打たなければ…」 (12月16日=こちら特報部より抜粋)
.. 2013年12月18日 12:53 No.670001
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