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2回目は、今年7月の参院選の直前、国会内の講演で「私は原発反対」と昭恵夫人が語ったことがニュースになりました。これも一部の脱原発層の支持を得る結果となりました。しかし、安倍首相の原発トップセールス外遊にはしっかり笑顔で同行し、ますます混乱させました。これらのパフォーマンスは、1回目が総裁選〜衆院選、2回目が参院選と、実に絶妙なタイミングで行われています。これを偶然と考えることもできますが、私は周到な計算のもとに行われた世論工作の一種だと思っています。自民党は原発を推進する方針を曲げるつもりはないのだから、党の公約としては脱原発を言うことができません。しかし、総裁夫人である昭恵夫人が脱原発脱原発パフォーマンスをすることは、党としては何も問題は発生しません。世論の8割近くが脱原発になびいている中で、選挙に勝つためには、明言はできなくても、脱原発への含みを持たせなければならなかったのです。有権者の8割が脱原発だとすると、その中には、多くの自民党支持層も含まれていると考えられます。党としてはその票を失いたくない。脱原発は約束できないが、総裁夫人である昭恵夫人が脱原発脱原発パフォーマンスをすることで、ひょっとしたら脱原発が実現するかも、という淡い期待を抱かせたのです。 それは結果として成功し、今の安倍政権があります。さて、小泉純一郎氏の脱原発ですが、これは選挙がからんでいないので、昭恵夫人のケースとは異なります。しかし、首相夫人と同じく、政界引退をした元総理大臣も、その発言によって自民党が責任を問われることはありません。自由な遊撃戦ができるという点で、全く同じ効力があるのです。
では、何を狙っているのか。第一義的には、自民党の自浄作用のアピールでしょう。安倍内閣は、自民党の中でも極右なので、その暴走に批判が集まった時、野党ではなく、自民党内でしっかりと受け皿を用意するということです。 その受け皿とは、もちろん小泉進次郎氏です。もともと自民党は、同じ党内で、メインストリームと、カウンターアタックを同居させ、有権者の選択肢を自党内に絞らせ、どちらに転んでもいいようにする手法を得意としています。 支持を野党に逃さず、磐石の態勢をつくるために、政界引退した小泉氏が、得意の劇場型パフォーマンスをくりひろげていると見るべきでしょう。
.. 2013年10月18日 11:24 No.629002
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