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核物質防護が示す情報秘匿の弊害 この法律は福島第一を含む全国の原発の危険性を高め、住民や自治体が | 災害対策を行うことを阻害してしまう、極めて重大な悪法だ └──── (たんぽぽ舎)
○ 8月27日に開催された東電と「東電共の会」との交渉で、秘密保全法の先取りとも言える状況が起きていることが分かった。 現在、福島第一原発の1〜4号機使用済燃料プールには3100体以上の燃料があり、その移送が今年11月から予定されている。予定どおり行えるかどうかも不明だが、それ以上に「事故が起きないか」という懸念が消えない。 健全な建屋からの燃料移動でさえ事故の危険性は否定できないのに、4号機と3号機は大破状態、2号機のプール周辺の放射線量は殺人的、1号機に至ってはどうなっているかもはっきり分かっていない。 この状態で燃料移送が始まっても、場合によっては大きな災害が起きないとは言えない。例えば移送作業中の最も危険なつり下げ状態で地震が発生した場合、地下水で溢水状態の4号機が安定を保っているかはわからない。傾動して燃料移送カバーと激突するなどの事態が起こらない保証は無い。 2010年6月17日の「福島第一原発3号機安全上重要な建物・構築物及び機器・配管系の耐震安全性評価」で耐震バックチェックの際に東電が自ら解析した結果では、地下水位がサブドレン(原発周りの地下水汲み出し井戸)の自動起動水位である地表から7.6mの位置に地下水位があると仮定すると、接地率は67%となる。合格点は65%だから、ぎりぎりクリアしている。地下水を汲み上げるサブドレンは復旧の見通しさえ立たないまま、もう2年半もそのままだ。原発敷地内の地下水位は、4号機の場合、地表から4〜5mほどになっていて、この状態では建屋の浮き上がりが懸念される。接地率は65%を大きく下回るであろう。それは、原子炉建屋の傾きや倒壊につながる極めて危険な事態だ。 いま、福島第一を震度6〜7の地震が起きれば、広範囲で液状化が起きるだろう。その際、建屋周辺で地上に噴出する水は、地下水だけではなく高濃度汚染水である可能性が高い。 さらに建屋は液状化の影響を受けて傾く恐れがある。
○ 東電交渉では、燃料移送の装置類の安全性や事対策を尋ねた。 燃料移送装置の仕様などは比較的すらすらと答えたが、回答を渋るシーンが二つ見られた。一つは使用済燃料プールに貯蔵されている燃料体の位置関係、もう一つは移送が始まる際の事前告知である。明らかに出来ない理由は「核物質防護」例えばこれまでならば、核燃料や使用済燃料、あるいはプルトニウムの輸送情報について「核物質防護上の理由」で明らかにされなかった。 しかし今回回答を拒否したのは、原発の敷地内で行われる移送と、燃料プール中の位置関係である。際限なく拡大解釈されている核物質防護の「口実」には恐怖感を持った。
.. 2013年08月31日 10:01 No.603001
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