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気象庁は予算と権限拡大を狙って 気象庁は噴火の前兆は確認できるというが予知連メンバーには疑問が一杯 └────(地震学者)
■噴火予知連は長官の私的機関 7月中旬の3連休、富士山は昨年同時期の約1・5倍もの登山者であふれ返った。 6月下旬、ユネスコ(国連教育・科学・文化機構)の諮問機関「国際記念物遺跡会議=イコモス」から世界文化遺産として登録された結果だ。富士山の世界遺産登録は、2度目の挑戦だった。地元は当初、「世界自然遺産」としての登録を目指していた。ところが、ゴミやし尿処理などの問題があったため、'03年、環境省と林野庁からなる検討会は国内候補からさえ外してしまった。その後、富士山頂の信仰遺跡群や登山道、富士山本宮浅間大社、富士五湖、忍野八海などをまとめて、日本古来の重要な信仰対象であり続けてきただけでなく、江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎らの作品の題材としても世界的に有名であり、海外に も影響を与えた「世界文化遺産」として登録する路線に戦略を変更し、成功したのだった。 世界文化遺産に登録されたのを機に、もう一つの課題もクローズアップされることになった。いうまでもなく、富士山噴火とその予知問題だ。富士山が噴火して大災害になれば、世界文化遺産どころではなくなる。 3・11東日本大震災は、気象庁や、気象庁と連携する地震予知連絡会議はノーマークだったことがわかって醜態をさらけ出したが、火山噴火についても同様の問題が指摘されている。'74年に発足した「火山噴火予知連絡会議」(会長、藤井敏嗣東京大学名誉教授。以下予知連)だ。 予知連は文部省(現、文部科学省)の測地学審議会(現、文科省科学技術学術・審議会測地学分科会)の建議による火山噴火予知計画に沿って設置された。委員は臨時委員も含めて31人。学者だけでなく、文科省、国土地理院、国土交通省、気象庁、内閣府、海上保安庁や独法など官庁系機関から、12人参加しているのが特徴だ。さらに気象庁長官の私的諮問機関という位置づけで、事務局は気象庁が担当、招集も取り仕切る。 ■噴火の前兆をめぐって迷走中 問題の一つは、事務局を与る気象庁は国交省が所管する機関だが、一方、学者が所属する大学や各研究機関の予算は文科省が握っていることだ。そんな大学の教授や研究者たちが、予知連という気象庁の下部組織に集められているのだ。 さらに問題なのは、予知連を牛耳る気象庁が「大規模な噴火が起こる場合、ほぼ確実に前兆を観測できる」('12年8月3日共同通信)と広言していることだ。
.. 2013年08月15日 11:49 No.593001
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