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日本国憲法の国民主権というのは連合国が決めたといってよい。では戦前はどうであったか。君主主権であったかというと、主権というものを定義しなければならない。それはめんどうだから、学問的厳密さはおいて、戦前は君主主権ということにしておこう。宮沢俊義(としよしという字は正確に記憶していない)によればポツダム宣言を受諾した時点で、国民主権になったという。これは理論的にはおかしいが、理論はしばらくおいて、事実として連合国が国民主権にすることを決めたのである。すると連合国の戦争目的の一つは君主主権を国民主権にすることであったのであろうか。もしそれなら君主主権であったがために戦争がおこったということになる。それなら天皇制に戦争の原因があったとすることはまちがいではないことになる。天皇制がなければ、戦争はおこらなかったのだと。しかしことはそれほど単純ではない。だいたい国民主権と言ったって、国民の意思がふたつにわかれたときは、国民の半分には主権がないのか。君主主権と言ったって独裁者でないかぎり、君主の意思のとおりにことは動かない。立憲国では国民主権であろうと君主主権であろうと、政治の実際において形態的にそうかわったものではない。
.. 2007年03月04日 11:17 No.55001
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