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原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」の使用停止を命じる方針を固めた。 中性子検出器など最も安全が求められる機器を含め、1万近い機器の点検を怠っていた。規制委による処分は当然だ。 点検放置の背景には、原発の使用済み燃料からプルトニウムを再利用する核燃料サイクル事業の行き詰まりがある。 国は一日も早くサイクル政策を捨て、もんじゅの廃炉を決めるべきだ。(中略)
94年に運転を始めたもんじゅは、95年のナトリウム漏れ事故などでほぼ止まったまま。それでも、ナトリウムを熱して循環させることなどに年間約200億円を費やしている。 事業主の日本原子力研究開発機構は、運転再開の旗を降ろさず、09年にそのための点検計画をつくった。しかし翌年から放置が始まっていた。 原発事故でサイクル政策自体が宙に浮いているうえ、直下に活断層がある疑いも出ている。近い将来に運転再開が望める状況にはない。(中略)
原子力機構は、原子力安全の研究でも国内有数の組織だ。 私たちは社説で脱原発を主張しているが、もんじゅを含め原発やその関連施設は「止めれば終わり」ではない。 原子力の研究者や技術者は、安全な後始末のために使命を担ってもらいたい。 国はそうした観点から、原子力機構の組織と意識を抜本的に改める必要がある。 (5月14日社説より抜粋)
.. 2013年05月15日 09:07 No.546001
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