|
淡路島地震 「未知の断層」 「考えたら耐震設計吹っ飛ぶ」
兵庫県・淡路島で活断層が動いた地震は、日本が「地震の巣」である怖さを見せつけた。敷地周辺に活断層がある原発は多く、中でも淡路島を横断する中央構造線は日本最大級の断層帯で、そのすぐそばに四国電力伊方原発がある。今回気になるのが「未知の断層」という言い方で、それを想定外とすることは許されない。(中略) 「最も心配な断層が、顧みられていない」と嘆くのは、伊方原発(愛媛県伊方町)の危険性を長年追及してきた元新聞記者の近藤誠氏(66)だ。 今回の地震でも真っ先に浮かんだのは「中央構造線は大丈夫か」。関東から九州にかけて日本を横断する約1000キロの大断層帯。四国では伊方原発が立つ佐多岬半島に沿い、北側の海域を走る。 小松左京氏のSF小説「日本沈没」(73年刊)では、この中央構造線を境に日本が割れ、南側が沈む設定で知られる。原発の建設前から知られたリスクだが、伊方1・2号機の耐震設計でこの断層は無視された。(中略)
原発被害は「想定除外」 福島事故の「最悪」生かさず 地震どこでも 現実直視を
原発から直近で6キロにある伊方沖断層周辺の地震は、岡村教授の調査で「1500年に1回程度の頻度で起こっている」。 さらに地震発生で原発が最初の揺れを検知してから、大きな揺れが届くまでの時間は極端に短いという。「自動的に制御棒が挿入されて原子炉を安全に停止するのが、間に合うのか」(岡村教授) (中略) 内閣府が先月発表した南海トラフ地震の経済被害想定は、東日本大震災の約13倍、約220兆円に及ぶが、試算は原発事故を除外している。(中略) 自治体は自然災害一般の防災対策を考えるが、原発事故は国の監督の下に各原発が防災対策を取るものーという考え方だ。この自然災害と原発事故を分ける体制が責任の所在を曖昧にしてきたといえる。福島事故で最悪の複合災害が起きたにもかかわらず、その教訓は生かされていない。 「両者を合わせると対策の取りようがない大規模被害となるから、分けるのだろう」と話すのは「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の鈴木卓馬事務局長だ。 (中略)
活断層が連動すれば大惨事
大飯原発3・4号機の運転差し止め仮処分を求めた訴訟は、16日に決定が出る予定。争点は周辺に3本ある活断層が連動した場合、制御棒の挿入時間が関西電力の基準値「2.2秒」を上回るかどうかーという点だ。 国が承認したのは2本の断層が連動した場合に2.16秒で、余裕は2パーセントしかない。専門家の一部は3連動なら2.2秒を超え、原発敷地内にある破砕帯が地震の揺れによってずれ、使用済み核燃料の冷却用水を運ぶ配管を引きちぎる危険性がある」と主張する。 岡村教授は「未知の断層という取り上げられ方には違和感がある」と語る。阪神大震災後の大規模な地震のほとんどが未知の断層によるからだ。 「新潟・柏崎刈羽原発直下の07年新潟中越沖地震も、岩手・宮城内陸地震も断層が分かっていなかった。活断層かどうかが分かれば、地震が分かるかのような議論になっているが危い。どこでも地震が起こるということ。むしろこの現実を直視すべきではないか」 (4月16日より抜粋)
.. 2013年04月21日 07:52 No.531001
|