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東京電力福島第一原発事故からまもなく2年がたつ。しかし、その原因はいまだにわからないことだらけなのに、国や電力会社、原子力の専門家らが原因を突き止める動きは鈍い。一方で、新しい安全基準が進んでいる。この基準に適合すれば、原発の再稼働が認められる。果たして、原因不明のままで良いのだろうか。 政府や国会など四つの事故調査委員会が昨年7月までにそれぞれ報告書を出した。いずれも追加調査が必要と自らが認めるものだ。 原子力規制委員会の田中俊一委員長は「できるだけ速やかに取り組みたい」と国会で述べたが、具体的な計画はできていない。 専門的な立場から事故調査を進めていた日本原子力学会が、今月中に中間報告を出す。これまで誰もできなかった事故の再現実験も期待されたが、予算がないことなどを理由に断念。結果的に東電の解析結果を追認する報告になる見通しだ。 再稼働に向けた安全基準の策定は進む。1月末に規制委が新安全基準案を示した。規制委は世界一厳しいと自賛する。世界水準を超えてさえいれば、原発は安全だと言えるのか。原因究明が不十分なままでは「第二の安全神話」がつくられようとしている、とも言えるのではないか。 地震の揺れで原発の重要機器が本当に壊れていなかったのか。福島第一原発は想定を大幅に超える高さの津波が襲ったが、地震による揺れはほぼ設計想定の範囲内だった。想定内にもかかわらず、大事故を引き起こす重要機器の損傷があれば、国の安全基準そのものの信頼性が揺らぐ。(中略) 原発を動かす前に、事故原因を突き止めるのが先だ。 (3月5日 より抜粋)
.. 2013年03月07日 11:37 No.507001
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