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防波壁は張り子だった │ 津波を防ぐどころか津波の海水を閉じ込めるだけ <下> └──── ( たんぽぽ舎)
◇ 防波壁は張り子だった−釜石市の防波堤の無残な破壊(先例)
対策の目玉は海抜18mに達する「防波壁」だ。 しかし「海抜」というところがミソで、「壁」そのものは10〜12mほどしかな い。建設する場所の敷地の海抜がもともと8〜6mほどあるので、その上に建てる「壁」の高さは最大12mだという。 基礎には鉄筋を入れて、一見すると頑丈そうに見えるが、その上が張り子だった。 内部が空洞の鋼鉄製の「ハコ」を積み上げており文字通り「張り子」構造である。 これで何を防護しようというのか。相手は「津波」である。 中部電力も施工したゼネコンも、石巻や宮古の堤防がどうなったのかを知らないらしい。海の底から海上に至るまで、あるいは町を取り囲む万里長城のような装甲防壁をいとも簡単に吹き飛ばし、ばらばらにしたのが3.11の津波だ。 津波は単なる「水」ではない。発生した地点から陸に向かって突進する津波は、最 初はほとんど海水だが、海底が浅くなるに従い海の底を「浚渫」しながら進む。海底土壌を岩石ごと引きはがして持ち去る。さらに海底が急速に浅くなると、スピードが 落ちると同時に、津波の推進方向にあった運動エネルギーが海底の岩石を巻き上げ、 同時に波高の増大に変わる。水深1000mでは時速360kmが、30mでは時速30km、10mでは時速10kmにまで変化し、そのエネルギーが海面を持ち上げる方向に変わる。海の水が海底に行く手を阻まれるために、海底には巨大な土石流が発生する。これが陸に達する直前に遭遇する最後の障害物が防波堤だ。防波堤は「水」ではなく海底土石流の直撃を受ける。 ギネスに載った「世界最大の防潮堤」釜石市の防波堤が無残にもばらばらに破壊された原因は、津波のエネルギーがとんでもなく巨大だったことだが、その原因は海底土石流の直撃だった。 さて、ギネスには到底載りそうのない浜岡防波壁だが海底構造はまさしく、津波の巨大化が最も懸念される「遠浅」である。
.. 2012年11月20日 16:02 No.457001
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