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使い捨て許せない。契約ずさん、解雇争う。 (11月3日 「こちら特報部」から)
−多重下請け一掃を。東電、行政は労働者守って。人手不足なら収束できず−
被ばく隠しに賃金のピンハネ。東京電力福島原発事故の収束作業現場で働く下請け労働者の窮状は、「こちら特報部」でも再三、指摘してきた。事故から間もなく一年八カ月。一人の作業員は先月末、高い放射線下での作業を強いられたと、東電のグループ企業を労働基準監督署に申し立てた。一方、労働契約のずさんさから争議に発展するケースも出始めている。憤りが渦巻く現場を探っ た。 「単純におかしことはおかしいと言いたかった」。今年に入り、福島第一原発で働いた30代の男性はこう語った。 男性は下請けの建設会社「サンシード」(福井県)に今年一月、正社員として入社。だが、今月五日付での解雇を言い渡され、これを不当として団体交渉に踏み切った。(中略) 車で一時間半以上の原発までの移動時間は「拘束9時間」に含まれていなかった。請負業務のはずなのに、元請け会社の社員から直接指示を受けることが何度もあり、違法な「偽装請負」ではないかと感じた。(中略)
【用語:偽装請負】実態は労働者派遣なのに、請負に見せかける違法行為。通常の請負では、請負会社の労働者がその会社の指揮命令下で働く。だが、偽装請負では元請け会社の指示に従う。使用者責任が不明確になるため、労働者派遣法や職業安定法で禁じられている。派遣契約より人員削減などがしやすく、原発労働では横行している。
○東電と行政は労働者守って −−−福島第一の収束作業は今後、少なくとも四十年以上は続く。膨大な数の労働者が必要にもかかわらず、国や東電の労働者保護はお粗末だ。(中略) 身近な防波堤である労働基準監督署も「職員数が足りないこともあり、申し立てがあれば動く程度。多くのトラブルは見過ごされている」(派遣ユニオン・関根書記長)のが実情だ。(中略) (双葉地方原発反対同盟)石丸代表は「現在の収束作業は労働者を使い捨てにすることを前提に成り立っている。しかし、このままではいずれ労働者の供給が滞る。多重下請けのピンハネ構造をなくし、被ばく管理を徹底しない限り、収束作業自体が行き詰ってしまう」と警告する(後略)
.. 2012年11月09日 12:16 No.452001
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