|
矛盾だらけ見切り発車 │ 活断層の警告に耳貸さず、「なし崩し」不信広がる └────(10月5日 「こちら特報部」より)
電源開発(Jパワー)は東日本大震災で中断していた大間原発(青森県)の建設を再開した。安全性を判断する原子力規制委員会の新基準づくりはこれから。 活断層の存在も指摘されている。そもそも政府が目標とする二〇三〇年代の「原発ゼロ」は無理になる。矛盾だらけなのに、Jパワーと野田政権が建設再開を急いだウラには何があるのか。(林啓太、佐藤圭)
「大間原発で事故が起きれば、対岸の函館にも被害が及ぶ。それなのに、函館市民のことはまったく考慮していない」。北海道函館市民らでつくる「大間原発訴訟の会」の野村保子さんは憤る。(中略) 函館市の工藤寿樹市長はJパワーの性急な建設再開に反発。工事の差し止めを求めて提訴する方針を示した。自治体が原発の差止め訴訟を起こすのは前例がない。函館市の近隣自治体や北海道も建設再開には反対姿勢で、対岸の北海道ぐるみで大きな反対運動に発展しそうな情勢だ。 大間原発をめぐっては、敷地内に活断層がある可能性を専門家が指摘している。 渡辺満久東洋大教授(変動地形学)は、〇四年の建設許可申請で提出された試掘溝の図面を分析。原子炉建の北約250メートル、地下2〜3メートルの凝灰岩の地層にある「裂け目」について「十万年前以降に繰り返し動いた活断層だ。津軽海峡の沖合にある大きな活断層と連動していることが考えられる」と話す。 「マグニチュード7級の揺れも想定される。最初に弱い地震波を検出してから約1秒で強い揺れが襲い、原子炉では(核反応を抑える)制御棒を動かす余裕もないだろう。その上、もし建屋の真下にも小さな活断層があり、連動して動いたらアウトだ」。(中略) 「フルMOX原発は、シビアアクシデント(過酷事故)対策が非常に難しい。 ウラン燃料を使うふつうの原発に比べると、数倍の量のプルトニウムが出る。 事故で飛散すれば内部被ばくは極めて深刻で、事故の結果はより重大になる」 原子力資料情報室の版英幸共同代表は、フルMOX原発の危険性をこう説明する。 (中略) 政府のエネルギー・環境戦略では原発の新増設を認めない方針を打ち出した。 運転四十年で廃炉とした。 ところが、枝野幸男経済産業相は、すでに着工した大間原発などは「現行法令上、(設置許可を)途中で取り消す制度はない」との理由で建設継続を容認した。(中略)政府が、大間原発の建設再開を容認したのは、核燃料のサイクル事業との関係が大きい。 MOX燃料は現在、海外に製造を委託しているが、将来は青森県六ヶ所村で建設中のMOX燃料工場で生産する計画だ。MOX燃料工場などの運用は東京電力などが出資する日本原燃が担う。(中略) 枝野氏は今のところ、着工前の原発に関しては建設を許可しない考えを明らかにしている。だが建設中の原発が大間原発と同様に「設置許可」を盾に、な し崩し的に着工することはないのか。(後略)
.. 2012年10月13日 08:22 No.435001
|