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| 夏の電力需給 真相は? └──── (脱原発イロハネット編集人)
関電は5月、原発ゼロで今夏を迎えた場合、15%の電力不足に陥ると試算し、「計画停電は避けられない」とした。これを受け、野田首相は「国民の生活を守るため」として、大飯原発2基の再稼働に踏み切った。 8月の平均気温が過去5番目の酷暑続きだった夏もようやく峠を過ぎた今、果たしてどうだったのか。
◆関電 原発4基分余る?! 関電管内の最大需要は、大阪市の日中最高気温が36.7度に達した8月3日午後 の2,681万kwであった。猛暑の2010年夏並みを想定した8月の需要予測は2,987万kwだったが、10%下回っている。8月3日の供給態勢は、大飯2基をフル稼働する一方、需給調整を理由に相生火力1号機(38万kw)を休止していた。東京新聞によれば「潜在的供給力は少なくとも3,182万kw。ピークの需要時ですら原発4基分に相当する500万kwの余力があったことになる。」と報じている。(8/29)また、関電も最低でも3・2%確保でき、電力不足にはならなかったとの試算を示した。(同9/8) 植田政府需給検証委員(京大教授)も「再稼働がなければもっと節電されたはず。大飯再稼働は必要なかったと言える」と述べている。(TV朝日9/6) ◆大飯原発停止を求める緊急声明 関電は他の電力会社からの融通電力量も、Max644万KWとしたが、8月4日には742万kw受けている。100万kwも過小に見積もっていた。政府は西日本の50サイクル圏について、今夏のピーク需要を9,622万kw、とし、原発ゼロなら9,301万kwしか供給できないから、融通し合っても321万kw不足するとし、再稼働の宣伝をした。TV朝日9/6のそもそも総研ではこの点を取り上げ、最大需要は8,723万kwで6.6%余っていた旨報じた。予備率は3%あれば安定供給できるとされているので、再稼働がなくても何ら問題はなかったのである。 他にも揚水発電を前年度比225万kw減とするなど意図的な操作はいくつもあった。つまり、過大な需要と過小の供給による不足を演出・宣伝し、再稼働を合理化しようとしたのが真相だ。 万一の事態もありえたのだからと言いわけする向きもあるが、東電は大あまりであり、100万kw程はいつでも融通できたのだから、化けの皮がはがれるのを防ごうとする強弁でしかない。 上記のような実態が万人の目にも明らかになったので、大阪府と大阪市は4日エネルギー戦略会議を開き、大飯原発3、4号機の停止を政府と関電に求める緊 急声明をまとめた。節電終了後の停止を要請している。 しかし、関電はなおも「安定供給のため稼働続行」とする。見え透いた嘘までついて、安全の確保も出来ていない原発を動かし、安全な火力発電を停止するという事態はどう見ても異常ではないか。 この「異常」の中に電力を巡る怪が隠されているが、この点については次号で検討したい。(脱原発イロハネット No-40 9月9日)
.. 2012年09月17日 06:28 No.423001
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