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│ 民間測定所「たんぽぽ舎」の鈴木千津子さんが語る | 「数百ベクレル程度の食品汚染が、これからも長く続いていくでしょう」 └──
福島第一原発事故後、食品の測定依頼が殺到した民間測定所「たんぽぽ舎」。 共同代表の鈴木さんに、事故直後から現在までの汚染傾向の話、そしてこれから起こることについて予測してもらった。
福島第一原発事故の発生以降、たんぽぽ舎ではさまざまな商品の放射能量を測り続けている。 たんぽぽ舎は、チェルノブイリ原発事故の際、食品にどんな影響があったのかにも詳しい。 たんぽぽ舎の共同代表で、食品の放射能測定を担当している鈴木千津子さんとともに、今後の対策を考えた。
今の規制では汚染食品の流通を止められない。 福島第一原発事故から1年が経ち、たとえば千葉県で肥育されている豚肉のセシウム汚染値は、1キロ当たり2ベクレルから3ベクレルくらいまでに下がってきています。でも、屠畜する前に畜舎の外を2時間ほど散歩させただけで、豚肉のセシウム値が上がることがあるんですね。ある豚肉のスライスを測ったところ、同7ベクレルまで上昇していました。 こうした情報を畜産農家にフィードバックしたところ、畜産農家が「豚は土を舐める」というのです。今では出荷直前の散歩が控えられるようになりました。
1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の際、凄まじい汚染が確認されたのは、ヨーロッパ産のスパゲッティでした。原料として使われる「デュラム・セモリナ」という種類の小麦粉が汚染されていたからなんです。この小麦粉は日本にも輸入されていますので、日本製のスパゲッティからもセシウムが検出され、大騒ぎになったんです。 そのうち、食べ物からは検出されなくなっていったのですが、今度は脱脂粉乳や、鶏や牛用の餌から検出され始めたんです。人の食べ物用として使いづらくなった原料を、家畜の餌に回したことの証拠でしょう。
今回の福島原発事故で、昨年の秋以降に収穫された国産の小麦からもセシウムが検出されるようになりました。1キロ当たり20ベクレルから30ベクレルです。 玄米にしても、白米にすれば5ベクレルというものであっても、米糠を測るとセシウムが1キロ当たり80ベクレルから90ベクレルほど検出されました。 高い数値のセシウム汚染が各地で相次いで確認されているシイタケでは、県ごとに規制をかける基準値が異なっています。その値は国の規制値である1キロ当たり100ベクレルよりは低く設定されているのですが、ある県では同50ベクレルを上回ると「規制」がかけられるのだそうです。 すると、濃い値のシイタケと薄い値のシイタケを混ぜ合わせ、全体で「1キロ当たり50ベクレル」以下になるように“ブレンド”する農家が出てきたんです。 こうした“対応”の仕方は、消費者の信頼を裏切るものでしかありません。
ただ、良心的な生産者であるほど、悩んでいるのも、また事実なんですね。千葉県のある畜産農家の方は、1キロ当たり2ベクレルから3ベクレルくらいにまで下がってきているにもかかわらず、出荷前に毎回測定しているんです。でも、こうした測定にかかる経費を、国や県は保証してくれないのです。(中略) (別冊宝島・「食品の放射能汚染完全対策マニュアル2」より抜粋)
.. 2012年07月05日 09:18 No.394001
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