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■--直下型地震の恐れ
++ 島村英紀 (幼稚園生)…3回          

内陸直下型地震はどこを襲うか分からない
    「東北地方太平洋沖地震と原発事故後にわかったいくつかのこと
     + 直下型地震の恐れ」        ([地震学者])
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 日本を襲う大地震には海溝型と内陸直下型のふたつのタイプがある。
 日本海溝や南海トラフなどの海溝の近くに起きる地震がプレート同士の衝突で起きる「一次的」な原因によるものだとすれば、これら内陸の地震は、そのプレートの一次的な衝突が引きおこす「二次的」な原因による地震である。しかし、二次的な原因による地震とはいっても、地震を起こすメカニズムとそれが起こす地震の被害とはもちろん別のものだ。その地震が直下型として起きれば大きな被害を産むことがあるのが恐ろしい。

 海溝型は起きる場所も、起きるメカニズムも、かなり分かっている地震だが、内陸直下型は、日本のどこを襲っても不思議ではない、という厄介な地震である。そして、起きるメカニズムも海溝型地震よりも多様である。
 そのうえ、直下型として起きるがゆえに、地震のマグニチュードが7程度でも大被害を起こすことがある。マグニチュードは数字が一違えば、地震のエネルギーは約30倍、2違えば1000倍も違う。つまり、海溝型地震よりもずっと小さい地震でも、大きな被害を生む可能性がある。

 たとえば、阪神淡路大震災を起こした兵庫県南部地震のマグニチュードは7.3だった。これは東北地方太平洋沖地震のエネルギーのたった1000分の1、そして2003年に起きた十勝沖地震のエネルギーの10分の1のエネルギーでしかない。
 地震を起こした地震断層の大きさも、兵庫県南部地震は長さ約40キロ、幅約15キロだったが、東北地方太平洋沖地震は長さ約450キロ、幅約150キロあり、面積は兵庫県南部地震の阪神の100倍もあった。なお、地震断層が滑った量も、兵庫県南部地震は最大のところでも約2メートルだったが、東北地方太平洋沖地震は最大50メートル以上もあった。
 そして、兵庫県南部地震なみの大きさの地震は、日本だけでも毎年1〜2回起きている。それが阪神や淡路島という住宅密集地を襲ったので、あれだけの大震災になってしまったのだ。

 日本列島がプレートの動きに押されて、ゆがんだりねじれたりして起きるのが直下型の地震だから、直下型地震が次にどこを襲うか、残念ながら、現在の学問では分からない。その意味では、起きる場所が分かっている海溝型地震よりは恐ろしい。いわば、日本のどこにでも、次の内陸直下型地震が発生する可能性があるのだ。
.. 2012年03月01日 08:20   No.364001

++ 島村英紀 (小学校低学年)…5回       
「東北地方太平洋沖地震と原発事故後にわかったいくつかのこと+直下型地震の恐れ」          ([地震学者])
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 東日本大震災で犠牲になった人々のうち55%が65歳以上だった。この統計は、お年寄りが選択的に犠牲になったことを意味している。
 それだけではない。東日本大震災での障がい者の死亡率は平均の2から4倍もあった。
この地震でも、弱者がより多く犠牲になってしまったのである。
 たとえば福島県南相馬市のNPOの調査では、震災直後に多くの障がい者が避難できず取り残されたことや、行政が事前に作成していた障がい者など「要援護者」の名簿に多くの漏れがあったことがわかっている。
 これは東日本大震災だけの特徴ではない。この震災では、被害者の多くが津波に呑まれたのが
死亡原因だったが、近年日本で起きたほかの地震でも、揺れによる震害で、やはり弱者が選択的に犠牲になっている。
 神戸市や瀬戸内海を見下ろす高台にある神戸大学の構内には、阪神淡路大震災で犠牲になった
同大学の学生と職員の慰霊碑が建っている。そこには学生と留学生39名と職員2名の名前が刻まれている。
 この地震が起きたのは1月17日の午前5時46分だった。地震には十分強く作られているとのJRや工学系の先生たちのお墨付きがあった新幹線のレールを支えていた橋桁が8カ所も落ちてしまった。始発の新幹線は朝6時に走り出すことになっていたから、橋桁が落ちたために大事故にならなかったのは、新幹線にとっては運が良かったとか言いようがない。
 もしこの地震がこんな早朝ではない、昼間の時間帯に起きていたとしたら、新幹線や高速道路
では重大な事故が起きていたに違いない。しかし一方で神戸大学の学生たちは死なずにすんだかもしれない。というのは、神戸大学には倒壊した建物はひとつもなかったからである。
 この39名の学生のうち37名、つまり95%もが、下宿が潰れたために亡くなった。神戸大学の学生の95%もが下宿生だったというわけではない。自宅から通っていた学生にくらべて、下宿生のほうがはるかに死者が多かったのだ。気の毒なことに、この下宿生たちは自宅生たちよりも、また神戸大学よりも弱い建物に暮らしていたのだった。
 亡くなった神戸大学の学生に限らず、阪神淡路大震災で亡くなった人々の医師による遺体検案では死者のほとんどが地震後10分間以内の圧死だった。つまり、いったん大地震が起きて家がつぶれてしまったら、国際救助隊が来ようが自衛隊が来ようが、救える人命はごく限られてしまうのだ。
弱い家に住むことは、かくも危険なことなのである。

.. 2012年03月03日 07:18   No.364002
++ 島村英紀  (幼稚園生)…1回       
 建設省(現国土省)建築研究所の調査では、阪神淡路大震災では古い家やビルほど倒壊率が高かった。
なかでも1981年以前に建てられた建物ではとくに倒壊率が大きく、1972年から1981年までの建物がそれに次いだ。1982年以降の建物では損壊率がずっと低かった。古い家がシロアリの被害などで老朽化していたということも要因としてはないわけではないが、古い家が選択的に倒壊した主な理由は、建築基準法や耐震設計法が1971年と1981年に段階的に強化されてきたのに取り残されていたためである。
 もし、学生下宿のような老朽化した木造家屋がもっと新しい家に建て替えられていたり耐震の
補強がされていたら、阪神淡路大震災の死者は5分の1以下になったという試算もある。
つまり阪神淡路大震災では古い家に住み続けなければならなかった人々が選択的に犠牲になった
のであった。
 日本だけではない。1971年に米国カリフォルニア州ロサンゼルスのすぐ北でサンフェルナンド
地震(M6.6)が起き、死者は65名を数えたが、そのうち45名は老朽化したある病院の建物が倒壊した
せいで犠牲になったものだった。つまり、この病院さえ壊れなければ死者は70%も少なくてすんだ
はずだったのである。
 つまり、地震は弱いもの、弱い家に住み続けなければならない人たちを選択的に襲うものなのである。
 ちなみに阪神淡路大震災では家屋や家具の倒壊による圧死が8割を超え、火災による焼死なども
含めると、犠牲者のほとんどは地震の揺れによる震害が原因だった。一方、東日本大震災では死者の9割以上は津波が原因だった。しかしこちらでも、高齢者や障害のある人たちの死亡率は、それ以外の人よりも2〜4倍も高かった。地震は弱いものを選択的に襲う、という構図が繰り返され
てきているのだ。

.. 2012年03月03日 07:25   No.364003
++ 島村英紀 (小学校低学年)…7回       
その(6)─なぜ首都圏に地震が多い
   「東北地方太平洋沖地震と原発事故後にわかったいくつかのこと+直下型地震の恐れ」         ([地震学者])
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 じつは、都会としての首都圏が地震に弱いという以上に、首都圏の地震については心配なことがある。それは日本のほかの場所よりも首都圏に地震が多いということだ。

 江戸に幕府が置かれて以来、東京は30回近くも震度5や震度6の地震に襲われている。300年あまりのあいだに、これだけたくさん強い地震に見舞われた場所は、日本ではめったにない。
 それは、首都圏のある関東地方の地下では、4つのプレートが地下で衝突しながら地球深くへ潜り込んでいっているところだからである。4つのプレートとは、西から来るユーラシアプレートと北米プレート、東から来る太平洋プレート、そして南から来るフィリピン海プレートである。
 東京付近に、これだけ多くの地震が起きてきたことは、この4つものプレートが地下に集まってきて、おたがいに衝突しているからなのである。
 関東地方より北の本州と北海道では、関東以北の東北日本を載せている北米プレートと東から来た太平洋プレートが衝突して、太平洋プレートが東北日本の地下に潜り込んでいっている。これらのプレートの相対速度は、年に10センチほどだ。そして、衝突で発生した地震のひとつが東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震なのである。

 また、西南日本はユーラシアプレートに載っていて、南から来たフィリピン海プレートと衝突している。そしてフィリピン海プレートは西南日本の地下に潜り込んでいっている。これらのプレートの相対速度は、年に4センチほどだ。このプレートの衝突は、東南海地震(1944年)や南海地震(1946年)を生み、そしてこれからは東海地震を発生させるのではないかと怖れられている。
 関東地方から中部地方にかけては、地下に太平洋プレートとフィリピン海プレート、両方が潜り込んでいっていることになる。この両方のプレートがそれぞれの系列の地震を起こすばかりではなく、二つずつのプレートがこすれ合っていることによっても、また別の系列の地震を起こしているのである。

 もし、日本の首都を江戸なり東京なりに定める前に、これらのことがいま分かっているくらい知られていたら、ここには首都などは置かれなかったかもしれない。

.. 2012年03月06日 09:14   No.364004
++ 杉原浩司 (幼稚園生)…1回       
.【傍聴に行こう!】【福島、福井の声を聞け!】
   「通すな!安全委員会 動かすな!大飯原発」3・7土壇場アクション
            (福島原発事故緊急会議/みどりの未来)
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 原子力安全委員会が、大飯原発3、4号機のストレステスト審査書に関する第4回の検討会を、5日(月)に続いて7日(水)に設定しています。

 福井県議会や「3・11」1年をにらんだ強引なスケジュール設定であることは明らかです。福島事故に大きな責任を負い、本来なら総退場しているべき委員たちが、再び事故の危険をはらむ再稼動に加担しつつあります。責任を取ろうにも3月末で消滅してしまう組織が、お墨付きを与えることは絶対に許されません。
 班目安全委員長のみならず、保安院の市村原子力安全技術基盤課長らも「一次評価は限定的であり、不十分」と認めた以上、アリバイ会議は中止し、審査書を保安院に差し戻すべきです。

 7日の会議をもって検討作業は打ち切られる恐れが高いと思われます。安全委員会の暴走を止められる機会は、今しかありません。東京でできることを精一杯やりましょう。可能な方は、傍聴も含めてぜひご参加下さい。

 <3月7日(水)>
 原子力安全委員会・大飯審査書第4回検討会(15時〜17時)に対して【14時までに】中央合同庁舎4号館北門前集合:整理券受け取り
       (千代田区霞が関3-1-1/霞ヶ関駅A13出口より5分)
      アクセス こちら

 【14時15分〜45分】横断幕を掲げてアピール @4号館北門前
  15時〜17時:検討会傍聴/14時より入場整理券配布
  *プラカードや鳴り物など持参歓迎です。
  安全委員会の開催要項はこちら
  こちら
 ※検討会終了後に緊急記者会見(予定)

 <呼びかけ>
 福島原発事故緊急会議、3・11再稼働反対!全国アクション、
 国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会、
 グリーンピース・ジャパン、プルトニウムなんていらないよ!東京
 <連絡先>ピープルズ・プラン研究所
 (TEL) 03-6424-5748 (FAX) 03-6424-5749
 
 【当日連絡先】090-6185-4407(杉原携帯)

.. 2012年03月07日 12:38   No.364005
++ 島村英紀 (小学校低学年)…8回       
新刊書籍の紹介
 │  『直下型地震 どう備えるか』
 └───巨大地震が東京を襲うとき(花伝社刊)

直下型地震についていま分かっていることを全部話そう
海溝型地震と直下型地震
 直下型地震は予知など全くお手上げ
 地震は自然現象、震災は社会現象
 大きな震災を防ぐ知恵、地震国・日本を生きる基礎知識
 
 著者:島村英紀(地震学者、武蔵野学院大学特任教授)

          目次紹介

 第1章 東北巨大地震とはどんな地震だったのだろう
 第2章 直下型地震の怖さとは
 第3章 首都圏を襲う直下型地震
 第4章 日本で起きた内陸直下型地震
 第5章 直下型地震の被害が増えている
 第6章 地震予知はお手上げ
 第7章 活断層はどのくらい警戒すべきだろうか
 第8章 震災を押さえ込むのは人類の知恵
 
  B6判 223頁 本体1500円+税 2012年3月20日刊 発行:花伝社

☆たんぽぽ舎でも扱っています。
 ご希望の方は、メールでご氏名、電話番号、ご住所、必要冊数をご連絡下さい。
返信で書籍代金と送料、郵便振込先をお伝え致します。振込確認後の発送となります。お手数をおかけ致しますがよろしくお願い致します。

.. 2012年03月25日 12:05   No.364006


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