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■--試論「廃原発事始め」第60回
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…120回          

.試論「廃原発事始め」第60回
 | 問題だらけの「次世代原発」
 | 小型軽水炉(SMR)は出力が小さくて多数設置の必要、
 | 安全性に信頼なし
 | 「革新軽水炉」は従来の軽水炉の弱点はそのままなのに、
 | 建設コストは最低でも1兆円以上必要…
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)

【3】「存原発」の現在と、高市政権の「存核」、「存軍」政策

〔2〕強引な「運転期間延長」策がとられる一方、さまざまな「次世代革
新炉」が提示され、いかにも充実した原発推進政策のように見える「第
7次エネルギー基本計画」、しかし実際には、追い込まれた末の「存原発」
政策の集合体にすぎません。

◎ 「第7次エネルギー基本計画」でも、休止中の全原発を再稼働させ
れば2040年の計画分を充足できるとは書かれていません。
 提示されているのは、既存原発の「運転期間延長」(許認可期限の延
長)と、「次世代革新炉支援」、つまり新型炉の新設、既設敷地内での建て
替え(リプレース)です。
 一見すると、様々な方策が展開され、充実した内容に見えますが、実質
をよく検討してみれば、そのちぐはぐさがはっきりと見えてきます。

◎ まず運転期間の延長策は、老朽化した原発を動かすのですから、小さ
なトラブルや故障、修繕を考えないわけにはいかず、期待通りの運転実績
は望みようがありません。
 それどころか、大事故が起きればすべては水の泡。
 他の原発も総停止に至ってしまいます。
 そもそも「次世代原発」がすぐに導入できるなら、危険覚悟の非効率な
運転延長など必要ありません。

◎ そしてその「次世代原発」も、それぞれ問題だらけなのです。

イ.小型軽水炉(SMR)は、出力が小さく、工場で多数を製造できるため
低コストで建設できるというメリットが強調されています。
 しかし、これまではABWR炉など大型原発のスケールメリットが経済
的とされてきたのです。
 小型でも多数あればといったところで、次々と新たな立地点が見つかる
とは思えません。
 工場で大部分を組み立てるというモジュール方式は、まるで原発のプレ
ハブ工法のようで、とても安全性に信頼など寄せられません。
 実際、日本国内での導入はまだ1件も決まっていないのです。
.. 2026年09月12日 07:31   No.3543001

++ 藤岡彰弘 (大学院生)…121回       
ロ.「革新軽水炉」は、「次世代炉」の中でも本命視され、リプレース用と
しても期待されています。
 しかし、こちらは従来からの大型炉のいわば変形版。
 メーカー3社(三菱・日立・東芝)が、海外で改良された技術を日本に
適応するよう改良したものにすぎません。これまでの原発建設費用は、A
BWRで1基4千億円強といわれてきましたが、「革新軽水炉」は、改良
を加えたとはいえ、冷却システムや耐震構造等の基本的な弱点はそのまま
なのに、建設コストは最低でも1兆円以上、中には数兆円かかる場合もあ
るとされ、電力各社はいまだに導入に躊躇しているのが現状です。

ハ.高温ガス炉は、高温ガスを取り出せ経済的とされますが、実際の活用
はまだ先です。

ニ.高速炉は、減速材にナトリウムを使用し、「もんじゅ」の問題点を克
服できていません。
 このように、どれも従来型よりコストや安全性に問題があり、電力会社
が導入をためらうものばかりなのです。
 だからこそ、時間稼ぎとしての「運転期間延長」と、電力会社が導入し
やすい資金面、融資面の手厚い支援策がどうしても必要なのです。
                          <次回に続きます>

.. 2026年09月12日 07:39   No.3543002
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…122回       
試論「廃原発事始め」 第61回
 | 「原子力基本法」が改正 令和版「富国・強兵」です
 | 「自主・民主・公開」の三原則を危うくしていく
 | 「富国」と「強兵」のどちらの中心にも原発が「存」る
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)
 
 【3】「存原発」の現在と、高市政権の「存核」、「存軍」政策      

 〔3〕「第7次エネ基」計画策定後に改定された「原子力基本法」。
新たに書き加えられた「国の責務」としての「原子力産業基盤の維持・
強化」と、そのための投資を促す「事業環境整備」は、いったい誰の
ための、何のためのものなのか?を考えます。

◎2025年2月に「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定された後、
6月に国会で「原子力基本法」が改正されました。「原子力基本法」
は「原子力の憲法」と呼ばれ、原子力利用の「自主・民主・公開」
という三原則を定めた法律です。
 今回の改正では、第一条の『目的』に、「地球温暖化防止」が書き
加えられ、第二条の『基本方針』には、「国の責務」として「原子力
産業基盤の維持・強化」や、原子力産業や電力会社への投資を促す
ために「事業環境整備」をはかることが加えられたのです。
 つまり、原子力がこの先どうなろうとも、原子力産業の「事業環境
整備」に国家として取り組み続けることが明文化されたのだといえます。
 この改正は、まさに「第7次エネ基」を正面から支えるものである
一方、「自主・民主・公開」の三原則を危うくしていくものだと思います。
◎元原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎さんも、これら「事業環境
整備」に関わることは、本来なら原子力規制委員会での議論を重ねた
うえで、原子炉等規制法や電気事業法を改正すればいいだけなのにと、
いぶかしんでいます。なぜ、こんなに原子力産業を大事にしなければ
ならないのでしょう。
 私は、その答えが高市内閣の基本姿勢に表れていると思います。
ご存知のように高市内閣は、政権発足時のキャッチコピーに、「日本
列島を強く、豊かに」と打ちだしました。令和版「富国・強兵」です。
 

.. 2026年09月13日 06:38   No.3543003
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…123回       
 「強兵」とは言うまでもなく、核武装を念頭に置いた軍備増強です。
では「富国」とは何を指すのでしょうか?私はそれを、三菱・日立と
いった産業グループと、ゼネコンが代表する開発型企業、金融資本グ
ループ等々の産業を統合させた相変わらずの「経済成長優先の国家
運営」だと考えます。
 つたない言葉でしか表現できず恐縮なのですが、少なくとも、高市
総理の頭の中には、「富国」というときに、日々の食料品の値上がりに
悩まされ続ける「庶民の苦しみ」を本気で何とかしようという発想は、
これっぽっちもないのだと思います。
 そしてその経済成長を相変わらず優先させようとする「富国」政策
の真ん中にあり続けてきたのが、原発と原子力産業なのです。
「強兵」においてもしかりです。最も強力な武器は核兵器であり、
その保有を担保するのが、アメリカとの同盟を後ろ盾にした原発と
核燃サイクルなのです。
◎「富国」と「強兵」のどちらの中心にも原発が「存」るのです。
いうなれば、原発の在り方そのものが、今の日本を規定しているのだ
と思います。次回は、原子力に関する「事業環境整備」が、どういう
背景から生じてきたのかについて考えていきます。
<次回に続きます>

.. 2026年09月13日 06:43   No.3543004
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…124回       
試論「廃原発事始め」第62回
 | 原発を保持する元9電力会社の電気がなるべく市場で優勢を
 | 保てるよう設計したのが「容量市場」
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)

【3】「存原発」の現在と、高市政権の「存核」、「存軍」政策

〔4〕「原子力産業基盤の維持・強化」のための「事業環境整備」は、
どのように進められてきたのか?その背景にあったことと、2020年頃を
境に何が起こったのかを振り返ってみたいと思います。

◎ 背景にある「電力システム改革」の流れは、元をたどると、1990年
代に起こった電気料金の値下げを求める経産省と、電力会社の角逐から
始まりました。
 当時の、日本の電気料金は欧米に比べかなり高く、電気代を下げなけ
れば、輸出する工業製品が海外との競争に負けてしまうという経産省側
の焦りがありました。
 そこで始まったのが「電力の自由化」であり、電力事業への他業種か
らの参入を促すことでした。
 1995年の第一次自由化に始まった「電気事業法」の改正は、2003年の
第三次自由化に至って、ようやく発電部門と送電部門の「会計分離」を
決定。卸売り電力の取引市場も開設され、電力の小売り事業への参入も
始まりました。
 しかし、2006年に至っても、新電力の販売シェアは3.5%。
 「自由化」とは名ばかりの状態でした。

◎ 2013年にようやく「電力システムに関する改革方針」が閣議決定さ
れ、総括原価方式の撤廃、発電・小売りの全面自由化、送配電部門の法
的分離、広域系統運用機関OCCTOの設置が決まります。
 そして2020年、ついに「改革」が実施されました。
 ただ、送配電部門を別の会社にする「法的分離」は、結局、発電会社
と送配電会社、小売会社がそれぞれ株式を持ち合うグループ会社化をも
たらしただけで、以後も「旧一般電気事業社」(「旧一電」)と呼ばれ
る原発を保持する元9電力会社の実体は、ほとんど変わらないままなの
です。

◎ そして、この2020年の「発送電分離」の一応の決着と軌を一にし
て、新たな電力市場の開設と、託送料金の電気料金上乗せによる、
「旧一電」優遇策が露骨なまでに展開していきます。

.. 2026年09月15日 05:57   No.3543005
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…125回       
 最初に登場するのが「容量市場」です。
 すでに1の章でも触れましたし、原子力資料情報室からも丁寧な解説
が出されているので、ここでは「電力システム改革」との関係に絞って
考えてみます。
 もともと「電力システム改革」は、市場を自由化することにより、
再エネ発電会社や、異業種から電力小売りへの参入を促していくのが目
的でした。

◎ ところが、2016年頃から「旧一電」と原子力産業業界からの強烈な
巻き返しが始まります。
 システムは原発を保持するためのものに「改革」され、経産省は積極
的にその旗振り役に変貌していきます。
 再エネの発電は不安定と言われますが、条件さえ整えば、市場に安価
な電気が大量に入ります。
 「旧一電」はそれでは困るので、「旧一電」の電気がなるべく市場で
優勢を保てるよう設計したのが「容量市場」です。
 これを主導しているのが、2013年に設置が決まったOCCTOなの
です。
 「電力システム改革」の主体となって「旧一電」を制約するべき機関
が、逆に「旧一電」のための「事業環境整備」を用意する主体となって
しまったのです。      <次回に続きます>

.. 2026年09月15日 16:18   No.3543006
++ 上岡直見 (社長)…477回       
「経営陣の叱責が圧力」浜岡原発データ不正、中部電力が報告書
 | 【後藤政志と一緒に考えよう 危険すぎる原発依存社会】の紹介
 | 2つの情報提供
 └──── 上岡直見(環境経済研究所代表)

1.9月14日「日本経済新聞」…[「経営陣の叱責が圧力」
  浜岡原発データ不正、中部電力が報告書]

 中部電力は14日、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)を巡る地震動
のデータ不正問題の調査報告書を公表した。
 報告書では経営陣が不正に直接関与したとは認定しなかったものの、経
営陣の叱責が現場に対する圧力となり「不適切行為が行われた要因の一つ
になった」とした。
 外部の調査委員会による報告書は250頁以上に及び、不正に至るまでの
経緯や原因が説明されている。 (後略)

2.9/12デモクラTV本会議
 【後藤政志と一緒に考えよう 危険すぎる原発依存社会】
  こちらからご覧ください。
  https://www.youtube.com/live/6lMg8hcXYqQ

.. 2026年09月15日 16:45   No.3543007
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…126回       
試論「廃原発事始め」第63回
 | 強引に進められる経産省主導の「原子力産業基盤の維持・強化」
 | 「長期脱炭素電源オークション」、「GX推進法」の同時展開
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers能登・富山)

【3】「存原発」の現在と、高市政権の「存核」、「存軍」政策

〔5〕「長期脱炭素電源オークション」と「GX(グリーントランス
フォーメーション)推進法」の同時展開で、経産省主導の「原子力産業基
盤の維持・強化」が強引に進められていきます。

◎ 2020年に開設された「容量市場」を補い、「安定供給確保を大前提と
した、電源の脱炭素化の推進」を第一の課題とした「長期脱炭素電源
オークション」が、2022年に開設されました。
 この年は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する、化石燃料の国際価格
急騰によって電気料金が大きく値上がりし、参入した多くの小売り新電力
が倒産、撤退を重ねました。
 この年の12月、高騰した電気料金の引き下げと、2050年までのカー
ボンニュートラル(CO2ゼロ)を掲げて「GX基本方針」が閣議決定
(岸田首相)され、翌年、長期脱炭素電源オークション」の第1回が実
施され、「GX推進法」案が国会に上程されました。

◎ 「長期脱炭素電源オークション」の実施主体であるOCTTO(電力
広域的運営機関)は、すべての電気事業者が会員として参加する公平・中
立な電力市場の中央司令塔とされていますが、資源エネルギー庁の審議会
で容量市場等の制度設計は論議され、それを受けてOCCTOが具体的な
系統運営ルールや計画策定の実務を行うのであって、結局、大枠の実質的
な決定権は、その審議会の事務局を管轄する経産省の手にあるのだといえ
ます。
 「GX推進法」も経産省が強力に推し進めました。
 この法律は、実は原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理
法、再エネ特措法の5つの法律改正を束ねた「GX脱炭素電源法」との、
いわば「抱き合わせ」で成立しています。

◎ FoeJapanの論考『「GX推進法」案を通してはならない5つ
の理由(2023)』が指摘する「GX推進法」の問題点は、

イ.「次世代革新炉」の開発・建設、人材育成、事業環境整備への長期の
官民資金支援

.. 2026年09月19日 06:58   No.3543008
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…127回       
ロ.20兆円規模の「GX移行債」を発行し、自らが主導する「GX推進
機構」による金融支援や債務保証によって150兆円規模のGX投資を生み
出し、経産省が管轄する

ハ.脱炭素と言いながら具体的な基準がなく、環境や人権への配慮に欠け
ていること

ニ.すでに電気料金に上乗せされている、「再エネ賦課金」の値上げをは
かり、さらに、2028年度からは、「炭素賦課金(化石燃料賦課金)」を石
油元売り会社やガス会社に負担させ、それを電力会社に、さらに電気料金
として消費者に押し付けること

ホ.最終的に、消費者や一般企業が負担することになる巨額の債権や融
資、資金の流れや使途が不透明で、監視や検証ができない仕組みになって
いることです。

 そしてこれらの問題点の多くが、「長期脱炭素電源オークション」の問
題点と重なっているのです。
 「脱炭素」とはなんと便利なことばでしょう。
 詳しくは、自然エネルギー財団の論考『長期脱炭素電源オークション
の課題2025』などをお読みいただければと思います。
                        <次回に続きます>

.. 2026年09月19日 07:04   No.3543009
++ 永野 勇 (中学生)…45回       
内部告発が日本を救った!
 | 「軍拡路線」と「原発依存社会」から脱却する国民的な運動を
 └──── 永野 勇(元火力発電労働者)

◎ 2026年9月15日の朝日新聞1面トップに「浜岡原発再稼働 申請取
り下げ」の見出しが躍りました。
 中部電力が再稼働に向けた原子力規制委員会への審査請求を取り下げる
という内容です。
 これを見て、私は何よりもまず「内部告発が日本を救った!内部告発者
の方、本当にありがとう」という思いが頭に浮かびました。

 浜岡原発3、4号機の再稼働を食い止めたのは、規制委員会でも電力会
社でも、国会や司法でもありません。
 紛れもなく、粘り強く複数回にわたって声を上げ続けた内部告発者の正
義感です。

◎ 報道によれば、耐震設計の根幹である基準地震動は1200ガルのまま
承認されていました。
 これは南海トラフ巨大地震の想定震源域に立つ浜岡原発としては、極め
て低い数値(過小評価)だったとのことです。
 もし内部告発がなく、そのまま南海トラフ巨大地震に襲われていたら、
過酷事故による日本の壊滅は避けられなかったでしょう。想像するだけで
身の毛がよだつ思いです。

◎ 私はかつて、共同火力発電所に26年間勤めていました。
 当時は「原子力は火力より数段上の管理がされている」と信じていまし
たが、元現場責任者・平井憲夫さんの著作を読み、火力以下のお粗末な運
転・技術管理の実態に「これでは必ず事故が起きる」と直感した経験が
あります。

◎ 今回の教訓は、経営トップ3名の辞任で終わらせてはなりません。
 私たちが義務教育で学んだ「日本は資源が少なく、自然災害の影響を
受けやすい島国」という原点に立ち返り、「軍拡路線」と「原発依存社
会」から脱却する国民的な運動を構築していくことこそが重要です。
 内部告発者の方、日本の未来を救っていただき、本当にありがとう
ございました。

#原発もない戦争もない平和な世の中の実現を

.. 2026年09月19日 07:53   No.3543010


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