|
|
あいまいさの罪と「誤ったメッセージ」 | 高市政権の非核三原則対応を批判する | 政権にいま求められているのは非核三原則を堅持する意思を | 国内外に対して明確な言葉で示すこと └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
1.はじめに
高市早苗首相は非核三原則のうち「持ち込ませず」の扱いについて明 確な立場を示さず、2026年8月の広島、長崎の会見でも「予断すること は差し控える」との主張を繰り返した。 政府は安全保障関連三文書を年内に改定する方針を示しており、非核三 原則の記載ぶりが焦点の一つに位置づけられている。 首相自身は、三原則を「政策上の方針として堅持している」と述べる 一方、将来にわたる維持を明言する姿勢は見せていない。 この姿勢は政治的に慎重なものと思う人がいるかもしれない。 しかし抑止論の立場から見れば、その評価は誤りだ。
抑止において最も重要なのは、相手にこちらの意思と能力を正確に伝え ることであり、伝達があいまいであれば、能力や意思の実態がどうであれ 抑止は成立しない。 在日米軍の縮小・撤退論に対して、保守派や安全保障専門家が長年主張 してきた論理も、この観点からのものだった。防衛姿勢の後退が「誤った メッセージ」として周辺国に伝わり、抑止力を損なうとの主張である。 ところがこの論理は、高市政権自身の対応にもそのまま当てはまる。 政権が三原則の扱いを「堅持する」ことを明言せず宙づりにし続ける態 度は、抑止破綻のリスクを高めるからだ。
2.抑止論における伝達の明確性
抑止が機能する条件としては、能力、意思、伝達の三要素がしばしば挙 げられる。 核心は伝達にある。意思がどれほど固くとも、相手に正確な形で届かな ければ抑止は成立しない。 沖縄の米軍基地縮小をめぐる議論では、海兵隊の撤退や機能縮小が防衛 意思の弱体化と受け取られ、在日米軍の抑止力を低下させかねないとの主 張が、日米双方の関係者から繰り返し示されてきた。
ここで問うべきは、その当否ではなく前提にある論理構造である。 対外的な姿勢の変化が相手国の解釈を経て安全保障環境に影響を及ぼす との因果関係だ。 能力の後退だけでなく、過度な増強や前進配備であっても同じことが 言える。 姿勢の揺らぎだけで相手に誤ったシグナルを送りうる。
.. 2026年09月08日 05:27 No.3541001
|