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海水温上昇と日本の原発運転規制を考える (上)(2回の連載) | 東京電力による自主基準の設定が示した問題の深層 | 海水の温度が上昇すると熱効率が低下し電気出力が減少する └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
1.三つの論点
東京電力(以下東電)は、8月7日、自主的に設定した基準値として、 海水温度の7日間移動平均が31度Cを超過した場合と海水温度が34 度C以上を観測、または12時間連続して33度C以上を観測した場合、原 発の運転を停止するとした「自主基準」の設定を明らかにした。 ちなみに、8月9日の24時間移動平均値は、運転中の6号機での取水 海水温度は29.1度、放出海水温度は35.0度、その差は5.9度となって いる。(東電リアルタイムモニターより)
自主基準は8月7日付けの東電資料に記載されている情報だが、これを 報道した記事は筆者が検索した範囲において8月15日時点では日本経済 新聞しか見当たらない。 海外原発が熱波の影響で次々に停止を余儀なくされている報道に比べ、 あまりの落差だが、その秘密は東電の発表の仕方にあるようだ。
この情報は単独でプレスリリースされたものではなく、「6号機におけ る営業運転開始以降のプラント状況について」とするプレスリリース全 4頁の内の4頁に「(参考)海水温度上昇における当社自主基準につい て」として載せている資料に書かれているからである。
しかしこれで次の三つの論点が一本の線として繋がった。
第一に、フランスの環境法定規制と日本の規制体系の根本的な 思想的差異。 第二に、欧州では海水温上昇が「停止基準」に達する以前から、すでに 河川流量低下などの原因を含めて出力低下として現れている現実。 第三に、そして最もこれが大きいのだが、東電の基準が「自主規制」に とどまる脆弱性と、これが西日本・内湾立地原発に対して遙かに深刻な 問題をはらむことである。 この三点を順次論じる。
2.フランスと日本の規制の根底にある思想の差異
フランスにおける停止基準の考え方は「環境保護」である。 河川水温が生態系の許容限界に達するとみなしたとき、原発は稼働する 権限を失う。 エネルギー安全保障よりも生態系保護が上位規制になるようにして おり、具体的には知事令の行政的強制力をもって機能させている。
.. 2026年08月18日 05:25 No.3529001
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