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■--報告とお礼
++ 老朽原発うごかすな!実行委員会 (中学生)…39回          

【報告とお礼】6.7「原発のない明日を! 全国集会inおおさか
 | 原発依存を加速する政権ゆるすな」に 雨ニモ負ケズ1100人が結集
 | 原発のない明日(あした)を実現しよう!
 └──── 老朽原発うごかすな!実行委員会

◎ 今、政府や電力会社は、原発を必要不可欠の電源であるかのごとく
宣伝していますが、原発の発電量は、必要とされる全電力の10%以下
(2024年度)です。
 6月5日に経産省が示した原発建替え目標案(実現不可能な「絵に
かいた餅」)が万一実現したとしても2040年に20%です。
 たかが10〜20%の電力を得るために、過酷事故に至りかねず、行き場
のない使用済み核燃料、放射性廃棄物を残す原発を、膨大な資金(安全対
策費だけでも、電力11社で年間約6兆5千億円)を費やして、稼働させ
ているのです。この程度の電力は、節電や自然エネルギーなどの再生可能
エネルギー(再エネ)の活用で容易に賄えます。

 今、世界は、紆余曲折を経ながらも、脱原発、再エネ利用に向かって
います。2024年に世界で導入された再エネは582GW(ギガワット)
で、原発582基分に相当し、世界の稼働中の原発の数436基を大きく
上回っています。
 それでも、日本政府は原発拡大に暴走しています。世界の流れに逆行
する政策です。

 なお、本年1月5日に発覚した浜岡原発での耐震設計データのねつ
造・改ざんは、原発は、「データねつ造」「トラブル隠蔽」「約束反故」
なしには動かせないことを実証しています。原発は、人類の手に負える
電源ではないのです。

◎ 原発延命策;使用済み核燃料の乾式貯蔵を阻止しよう!
 原発を運転すれば発生する使用済み核燃料は、膨大な熱と放射線を発し
ますから、燃料プールで水冷保管しなければなりません。
 そのプールが満杯になれば原発を運転できなくなるため、電力会社や
政府は、放射線量と発熱量が減少した使用済み核燃料を乾式貯蔵に移し
て、プールに空きを作ることに躍起です。
.. 2026年06月18日 05:25   No.3501001

++ 老朽原発うごかすな!実行委員会 (中学生)…40回       
 なお、乾式貯蔵に移した使用済み核燃料の行き場はなく、乾式貯蔵は
永久貯蔵に繋がります
 乾式貯蔵を許せば、原発の運転継続を許すことになります。逆に、
乾式貯蔵を阻止すれば、原発を停止できます。
 使用済み核燃料の「乾式貯蔵」を阻止し、それを突破口に、老朽原発
廃炉、原発全廃を勝ち取りましょう! (中略)

◎ 「6.7全国集会」は、午後1時、「若狭の原発を考える会」の木戸
恵子さんの司会で開始されました。
 冒頭、主催者挨拶にたった実行委員会の中嶌哲演さんは、「原発をめぐ
る情勢は、15年前の大事故直前と酷似している。制御困難な原発の危険
性に関する認識の甘さ、電力消費地の市民の無関心がこれを許している。
地水火風の宝庫を生かして自然エネルギーに切り替えよう」と訴え
ました。
 これに、井戸謙一弁護士による「浜岡データねつ造事件を脱原発の突
破口に」と題する基調講演が続きました。 (中略)

 (事故情報編集部より…以下、発言者のご氏名を紹介します)
「オール福井反原発連絡会」の山本雅彦さん、東海からバスを仕立てて
参加した「老朽原発40年廃炉訴訟市民の会」の武藤總事務局次長、「みや
ぎ脱原発・風の会」の舘脇章宏事務局長、本集会でのもう一つの基調講
演は、「原子力発電に反対する福井県民会議」の石地優事務局長(若狭町
住民)による「乾式貯蔵を止めて、原発を止める」でした。
 「ストップ川内原発!3.11鹿児島実行委員会」の向原祥隆共同
代表、被災地・福島から駆け付けた「原発いらね!ふくしま女と仲間
たち」の黒田節子さん。

 「原発のない明日を!」を訴える行動(ポッテカーアクション)、
カンパアピールの後、脱原発を掲げる6政党からの挨拶を頂きました。
 社民党・大椿ゆう子前参議院議員、新社会党・山下けいき近畿ブロック
協議会議長(茨木市議会議員)、日本共産党・たつみコータロー衆議院議
員、緑の党グリーンズジャパン・鍵谷誠一大阪府本部共同代表、立憲民主
党・野村いくよ大阪府連合会幹事長(枚方市議会議員)、れいわ新選組・
かばた健吾淀川区政策委員。

.. 2026年06月18日 05:33   No.3501002
++ 老朽原発うごかすな!実行委員会 (中学生)…41回       
◎ 労働団体からのアピール。今回は、フォーラム平和・人権・環境近
畿ブロックからのメッセージを近藤美登志前事務局次長が代読し、全国労
働組合総連合近畿ブロック・松本俊一副議長、おおさかユニオンネット
ワーク・西山直洋代表が、脱原発を闘いとる決意を述べました。
「6.7全国集会」には、全国で脱原発を闘う25団体に加えてフィリッ
ピン、台湾、韓国2団体からのメッセージを頂きました。

◎ 最後に、実行委員会の橋田秀美さんによって「集会宣言」が提案
され、圧倒的な拍手によって採択されました。
 集会後の、降雨、強風をおしての御堂筋デモ(難波まで)では、道行く
人々に、原発拡大に暴走する政府や電力会社の理不尽を力強く訴え、
「原発のない明日を!」「自然エネルギーに切り替えよう!」をアピール
しました。途中、多くの皆さんに手を振っていただき、賛同の拍手を頂き
ました。

.. 2026年06月18日 05:39   No.3501003
++ 山崎久隆 (社長)…2023回       
.原子力の「規制」と「推進」の分離  (中)(3回の連載)
 | 「ノーリターン・ルール」(「規制庁の職員は原子力の推進に係る
 | 事務を所掌する行政組織への配置転換を認めない」)緩和方針を
 | 批判する 原子力規制の緩和は事故に直結する
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

4.米国原子力規制委員会(NRC)はどうなっているか

 米国のNRC(原子力規制委員会)は、日本がモデルとした強固な独立
性と強い規制力を体現している機関だ。
 1974年のエネルギー再編成法に基づき、原子力委員会(AEC)は廃
止され、原子力研究開発や核兵器開発、原子力艦船プログラム等を担うエ
ネルギー研究開発庁(ERDA)と、規制を専任する独立機関としてのN
RCに分離された。

 その後1977年、ERDA等を統合する形でエネルギー省(DOE)が
設置され、原子力の推進はDOEに継承されている。
 NRCの考え方は、大統領や議会、さらには産業界からの影響力を排除
した「完全な独立性と透明性」である。
 職員は、自らが推進側の政策(エネルギー供給の安定や経済性など)
に一切の責任を持たず、ただ「公衆の健康と安全の保護」のみをめざし
て行動する。

 また、NRCは「オープンネス(開放性)」を重視しており、審査や検
査のプロセス、内部の異動や決定事項の多くを国民に公開することで、規
制の虜になるリスクを社会的な監視によって防いでいる。
 米国においては、「規制側が推進側の都合に合わせて融通を利かせる」
という発想自体が、規制の信頼性を失墜させるものと認識され排除されて
いる。

5.原子力の推進と規制…技術論と安全文化における
  同質性と本質的異質性
  推進側が効率性を追求するのに対し、規制側は「安全が確実で
  ないものは動かさない」という原則論を貫く必要

 原子力の推進と規制は、どちらも高度な原子力工学や放射線防護、ある
いはリスク評価といった「技術論」を基盤としている。この点において、
両者は科学的な事実やデータを客観的に分析し理解する能力を共有する
「同質性」を持っていると言える。

 規制側が中部電力のような事業者の巧妙な偽造や誤魔化しを論理的に見
破り、厳格な基準を課すためには、推進側や事業者以上の、極めて高度な
技術的知見と専門的審査能力が不可欠だ。
 

.. 2026年06月18日 05:45   No.3501004
++ 山崎久隆 (社長)…2024回       
 しかし、その技術を扱う安全の考え方と行動規範において、両者は「本
質的な異質性」を持たなければならない。

 推進側の安全文化とは、いかにして安全を確保しつつ、経済的効率性や
稼働率を最大化し、国家のエネルギー政策に貢献するかとの利用と管理の
論理に基づいている。

 そこでは、リスクは管理可能なものとして捉えられがちであり、計算で
きるものとして組み込まれている。
 これに対し、安全規制は常に最悪の事態を想定し、いかなる不確実性に
対しても疑いの目を向け続けるという、原子力災害からの防護の論理に
基づいている。

 規制側にとって安全とは、原子力を推進して得られる利益を達成する手
段ではなく、それ自体が絶対的な目的だ。
 推進側が効率性を追求するのに対し、規制側は、安全が確実できないも
のは動かさないという原則論を貫く必要がある。
 この方針の根本的な違いこそが安全に対する本質的な異質性であり、こ
の異質性が保たれて初めて、緊張関係による二重の安全確保体制が機能する。
                           (下)に続く

.. 2026年06月18日 05:50   No.3501005
++ 山崎久隆 (社長)…2025回       
.原子力の「規制」と「推進」の分離  (下)(了)
 | 「ノーリターン・ルール」(「規制庁の職員は原子力の推進に係る
 | 事務を所掌する行政組織への配置転換を認めない」)緩和方針を
 | 批判する
 | 規制委と規制庁は、事業者側の論理や推進側の理屈にも徹底して
 | 対抗できる知見を備えなければならない
 └──── (たんぽぽ舎共同代表)
             ※(上)は6/15、(中)は6/17に発信。

6.理念と現実のギャップ…規制委自身による「安全側」からの後退

 しかし、この本質的異質性という概念は、現在の規制委の実際の振る
舞いにおいて、すでに内側から崩壊しつつある。「ノーリターン・
ルール」は最後の防波堤だが、その議論に入る前に、その防波堤の内側で
何が起きているかを確認しておく必要がある。

 第一に、重大事故を起こした原発の放射性物質拡散を緩和し、福島第一
原発事故を再発させないための特定重大事故等対処施設(特重施設)の
設置期限問題だ。
 新規制基準では、設計及び工事計画の認可(設工認)から5年以内に
特重施設を完成させることが求められているが、2026年2月18日の定例
会合で山中伸介委員長は、経過措置の在り方を見直す方向で検討している
と表明した。

 完成済みの12原発の施設では、期限内に完成したのは関西電力大飯
原発4号機のみであり、5年では完成しないことが多いという実態を理由
に、規制委自らが期限の延長と運用の柔軟化に向けて動き出している。
 本来、安全が確認できないものは動かさないとの規制をするべきが、事
業者の対応能力が不十分だからといって、事業者と推進側の論理に迎合し
て基準そのものを合わせようとしている。このような認識自体が、すでに
推進側による規制緩和を容認したものだ。

 第二に、2023年のGX脱炭素電源法に伴う60年超運転問題だ。
 この法改正により、原発の運転期間に関する規定は原子炉等規制法(炉
規法)から削除され、電気事業法(電事法)に移された。炉規法は規制委
が、電事法は経済産業省が所管する法律である。
 運転期間は安全の根幹に関わる規制だが、その法律が推進側の法律へと
事実上移管されたことになる。

.. 2026年06月20日 07:14   No.3501006
++ 山崎久隆 (社長)…2026回       
 この制度変更について、地質学者である石渡明委員(当時)は、「これ
は科学的技術的な新知見に基づくものではなく、安全側への改変とは言え
ない」と述べて反対したが、他の4委員の賛成多数によって決定された。
 山中委員長は記者会見でこの対立を、運転期間に対する考え方の相違で
あり、技術的な課題はないとしたが、安全規制の枠組みをどちらの法体系
が所管するかを「考え方の違い」に解消してしまう発想そのものに、すで
に推進側の論理への同化が表れているといえよう。

 第三に、委員構成の変遷だ。規制委発足当初、委員長代理を務めた島崎
邦彦委員(地震学者)は、日本原子力発電敦賀原発の直下に活断層が
ある可能性を指摘するなど、「自然に耳を傾ける」姿勢で地震・津波対策
の評価を厳格に行った。
 その担務を引き継いだ石渡明委員(地質学者、2014〜2024年)も、
前述の60年超運転問題で唯一反対票を投じるなど、自然科学的知見に
基づく独立した判断を行った。

 2024年9月、石渡委員の自然ハザード(地震・津波等)担務は、山岡
耕春委員に引き継がれた。
 しかし島崎氏や石渡氏が見せたような、自然科学的知見に基づいて事業
者や推進側の論理に公然と異を唱え、多数決でも孤立を恐れない姿勢は、
山岡委員の就任以降、現時点では確認されていない。
 特に能登半島地震に伴う柏崎刈羽原発6号機の確認や、地震本部による
評価の反映などでも姿勢は明確には見えない。
 専門性の有無という人材構成の問題以上に、自然科学的知見をもって
推進側の論理に異を唱える規制委の姿勢は、委員の入れ替わりとともに
弱まってきていると感じられる。

.. 2026年06月20日 07:20   No.3501007
++ 山崎久隆 (社長)…2027回       
 第四に、「バックフィット制度」(新たな科学的知見を既存施設にも反映
させる仕組み)の運用だ。
 規制委自身が定めた「基本的な考え方」(2022年)では、新たな規制の
即時適用や施設の使用停止命令、関連審査の停止は「かえって新たな知見
の円滑な反映を阻害する」として、事業者の対応状況や対応に要する期間
を踏まえた「合理的期間」での適合を基本とする立場が明記されている。
 裁量で示される「合理的期間」の幅は、運用次第では既に許可が確定し
た審査テーマについて新たな科学的知見が生じても、事業者からの変更許
可申請等がなされるまで規制委側が積極的に問い直さない、という事実上
の放置を正当化する余地を生みかねない。

 2024年の能登半島地震が示した地震動と津波評価手法に関する新知見
が、既許可の基準地震動や基準津波の見直しにどこまで反映されるのか
は、まさにこの「合理的期間」の運用が問題となる。
 2002年の地震本部の長期評価が福島第一原発の津波評価に結局反映さ
れず、震災を招いた歴史的事実に鑑み、今後も検証していく必要がある。

 これらの事例が示すのは、「本質的異質性」を有する規制側が、「ノーリ
ターン・ルール」が緩和される以前から、規制委自身の決定や委員構成の
変化を通じて、すでに後退局面が進んでいるという事実だ。
 だとすれば、「ノーリターン・ルール」の緩和は、まだ健全に機能して
いる異質性を破壊するきっかけではなく、すでに進行している後退を加速
し、不可逆にしてしまう「最後の一押し」になる。

7.規制委と規制庁を立て直さなければ事故は必ず起きる
  規制委と規制庁は「ノーリターン・ルール」の堅持をはじめとする
  独立性の担保を徹底し、さらに規制の権限を強化し、事業者側の
  論理や推進側の理屈にも徹底して対抗できる知見を備える機関で
  なければならない

 原子力の「推進」と「規制」は、リスク評価という「技術論」において
同質の専門知を共有するがゆえに、一般には人事交流には合理性があるよ
うに思われるかもしれない。
 しかし規制庁に求められているのは、中部電力浜岡原発の事件が露呈さ
せたような審査と検査能力そのものの底上げであり、それを支えるのは推
進側とは本質的に異質な、安全が確認できないものは動かさないという
論理だ。

.. 2026年06月20日 07:26   No.3501008
++ 山崎久隆 (社長)…2028回       
 ところが、特重施設の設置期限見直し、60年超運転に伴う所管法の移
管、委員構成の変化、バックフィット運用の裁量化に見られるように、
この異質性は規制委自身の手によってすでに後退しつつある。

 「ノーリターン・ルール」の緩和は、技術論としての知識共有という
表面的なメリットを言い訳に、規制の本質である精神的かつ組織的な分離
をさらに崩壊させる、決定的な一歩にほかならない。
 規制庁の職員に求められるのは、推進側の事情に理解を示すのではな
く、いかなる状況下でも「推進の論理」に立ち向かい、科学的根拠に基づ
いて安全を徹底的に監視する姿勢である。

 規制委と規制庁は、福島第一原発事故の教訓を受け継いだ組織として、
目先の人材確保の都合に流されることなく、「ノーリターン・ルール」の
堅持をはじめとする独立性の担保を徹底し、さらに規制の権限を強化し、
事業者側の論理はもちろん、推進側の理屈にも徹底して対抗できる知見を
備える機関でなければならない。

.. 2026年06月20日 07:33   No.3501009
++ 山崎久隆 (社長)…2029回       
50年交換なしが暴いた関西電力の本質
 | 「美浜3号機蒸気漏れ」は老朽原発が時限装置であるとの警告だ
 | 11人の死傷者を出した事故から学ばなかった関電に老朽原発の
 | 運転をさらに10年、20年とまかせ続けてよいのか
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 2026年5月8日、福井県美浜町の美浜原発3号機(以下「美浜3」)で
高圧タービンカバーから蒸気が噴出し、関西電力(以下関電)は原子炉を
手動停止した。6月19日に公表された調査結果では、絶句するほどのひ
どいありさまであることが明らかになった。

 破損したのは高圧タービンを覆うカバーの一部。縦約1センチ、横約8
センチにわたって亀裂が生じ、本来約20ミリあるはずの厚みが、最も
薄い部分では、(計測可能な範囲で)わずか約1ミリにまで減っていた。
設計厚の95%が失われていたことになる。

 原因は高温高圧の蒸気による内側からの腐食。そしてこの部材は、1976
年の運転開始以来、およそ50年にわたって一度も交換も補修もされて
いない。
 関電の安全に対する姿勢そのものが露呈した事件である。

1.11人の死傷者の教訓は、20年経っても生きなかった

 「美浜3」には、決して忘れてはならない前科がある。2004年8月
9日、同じタービン建屋で、二次系の復水配管が破断し、約140度の熱水
と蒸気が噴出した。点検作業の準備をしていた作業員11人が巻き込ま
れ、5人が死亡、6人が重傷を負った。
 日本の原発史上最悪の、人命を奪う労災事故である。

 関電による事故原因はこうだ。破損箇所が点検リストから漏れ落ち、
事故発生まで一度も配管の厚み測定が行われていなかった。配管の取替え
時期を判断する管理指針も不適切に運用され、交換が先送りされていた。
関電は当時、「安全を最優先する意識が十分に浸透していなかった」と
総括している。

.. 2026年06月23日 05:24   No.3501010
++ 山崎久隆 (社長)…2030回       
 それから20年以上が経った。
 今回明らかになったのは、同じプラントの別の二次系設備で、ほぼ同じ
構図の管理の失敗が繰り返されていたという事実である。
 設計厚の95%が失われるまで放置された。
 5人の命を奪った事故の教訓は、この会社の点検体制に何も刻み込まな
かった。
 これは個人のミスではなく、関電が経年劣化した設備の管理を行う
際に、基本動作が制度として確立していないことを示す。
 つまり構造的な欠陥の証明である。

2.「二次系だから軽微」は危険な思い込み

 今回、放射能漏れがなかったことを理由に、この問題を軽微な設備故障
として片付ける論調がある。
 これは原子炉工学的に見ても看過できない誤った考えである。
 二次系の事故をめぐって海老澤徹氏(元京都大学原子炉実験所)は、
「美浜3号機2次給水管破断事故の経過安全性の観点から」(2004年10
月)の中で、重要な指摘をしていた。

 主蒸気管の破断事故は、即発臨界事故にすらつながりかねない重大な
事故として評価されているにもかかわらず、二次系の事故は放射能が直接
放出されないという理由だけで軽視され、稼働率向上の名のもとに犠牲に
されてきたという批判である。
 さらに、二次系の破損は格納容器の隔離機能の喪失につながる経路を
持つ。とりわけ蒸気発生器の細管破断や、主蒸気隔離弁より上流側での
破断は、この隔離機能そのものを失わせる危険性を持つとされる。

 PWR(加圧水型)の構造を踏まえれば理由は明確だ。
 一次系と二次系は蒸気発生器の伝熱管を介してつながっている。二次系
で大規模な破断が起これば、蒸気発生器による除熱機能が損なわれ、圧力
変動や急減圧が一次系側に波及しうる。
 さらに格納容器の隔離機能まで失われれば、一次冷却材の喪失から炉心
の冷却機能喪失、そして最悪の場合はメルトダウンへと至る経路すら、
理論上排除できない。

 実際、国の新規制基準では、主蒸気管破断や給水管破断を、安全上重要
な設計基準事故の一つとして明確に位置づけ、主蒸気隔離弁の自動閉止機
能や補助給水系の確保など、専用の対策を事業者に義務付けている。

.. 2026年06月23日 05:35   No.3501011
++ 山崎久隆 (社長)…2031回       
 これは「対策があるから安心」ではない。
 むしろ逆で、国の規制制度がわざわざ二次系破断を重大事故の起点に
なりうる事象として扱い、対策を義務付けていること自体が、二次系
破損が一次系の安全にまで波及しうる危険な事象であることを、制度
として認めている証拠なのだ。

 その「対策が必要なほど危険」とされている二次系の部材の減肉、劣化
を50年間放置していた。
 これが今回の問題の本質である。

3.老朽原発は時限装置であるとの警告だ

 「美浜3」は1976年12月に運転を開始し、2016年11月に60年まで
の運転延長認可を取得した、国内でも数少ない老朽炉の一つである。
 来年2026年12月には運転開始から50年を迎え、関電はすでに50年超
運転に向けた施設管理計画を規制委に申請している。つまりこのプラント
は止まることなく、さらに先の運転継続を前提に動き続けようとしている。

 今回の腐食は、一夜にして進行したものではない。高温高圧の蒸気に
さらされ続けた金属が、半世紀もの時間をかけて20ミリから1ミリへと
ゆっくり削られていった結果である。経年劣化管理とは本来、この種の
ゆっくりとした、しかし確実に進行する劣化を捉えるためにこそ存在する
制度のはずだ。

 その制度が、まさに想定すべき経年劣化の典型例において、50年間機能
しなかった。
 これは美浜3固有の問題ではない。日本では今、40年を超える運転
延長、さらには60年を超える運転までもが、次々と認められる時代に
入っている。
 しかし今回の事件が示しているのは、運転年数が延びるほど、こうした
「見落とされた劣化箇所」が他にも存在している可能性が高まっている
リスクだ。

 極めて単純で、それゆえに重い事実である。50年間見つからなかった
劣化が一箇所あったということは、現時点で誰も気づいていない同種の劣
化が、他に存在していると考える方が自然なのだ。他には存在しないとの
保証をしたいのなら、関電は誰もが納得できる証拠を提示しなければ
ならない。

.. 2026年06月23日 05:41   No.3501012
++ 山崎久隆 (社長)…2032回       
 老朽原発を50年、60年と動かすには、こうした見落としのリスクを
制度的に潰していく手法を取り入れた設計を行い、それを市民に示して
納得できるかを論じるところから始めなければならない。
 ところが今回の「美浜3」の事案は、その問いに関電も国の規制も答え
ていない。
 むしろ老朽炉の危険性を何より雄弁に物語っているのである。
 11人の死傷者を出した事故から学ばなかった会社に、老朽原発をさら
に10年、20年と任せ続けてよいのか。
 この問いは全ての国民に突きつけられている。

※参考文献・資料
・関西テレビ放送「運転開始から50年近く交換なし…美浜原発3号機の
    蒸気漏れ高圧タービン内部の腐食が原因」(2026年6月20日)
・関西電力サイト「事故の概要と原因|美浜発電所3号機事故について」
・福井テレビ「美浜原発3号機の50年超運転へ」
・京都大学原子炉実験所海老澤徹氏セミナー資料
 「美浜3号機 2次給水管破断事故の経過 安全性の観点から」

.. 2026年06月23日 05:46   No.3501013


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