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■--2026年5月18日現在の世界の原発基数と出力
++ 山崎久隆 (社長)…2004回          

2026年5月18日現在の世界の原発基数と出力
 | 昨年末から3基計363.9万キロワット増加
 | 世界の原発は3億8078.6万キロワットで416基
 | 日本は1391.6万キロワットで15基
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◎世界の原発の基数と出力

 2025年末と比較して、3基・363.9万kW増加しました。
 その理由は、中国と日本で計3基の原発が今年に入って営業運転を開始
したためです。
 日本では、東電柏崎刈羽原発6号機が稼働しました。
 中国では、浙江省温州市の三奥原発1号機(SANAO-1/華龍一号、111.7
万kW)が2026年3月12日に、広東省恵州市の太平嶺原発1号機
(TAIPINGLING-1/華龍一号、111.6万kW)が2026年2月13日に、それ
ぞれ運転を開始しています。

◎廃炉とはどういう状態か

 「廃炉」原発とは、その国が運用終了を決定した原子炉を指すものであ
り、解体作業の完了状況は問いません。
 一方で、廃炉から運転へカテゴリーが再変更される可能性もゼロではあ
りません。
 事実、米国では閉鎖されたスリーマイル島(TMI)原発を、データ
センター専用の電源として再稼働させる計画が浮上しています。
 また、ミシガン州のパリセーズ(Palisades)原発が2025年に運転
状態へ復帰したと報じられていますが、現状では再稼働する時期は未定
で、燃料装荷待ちの状態とされています。

 台湾では全基廃炉の状況ですが、事業者と国民党は全面的に再稼働を推
進する主張をしていて、国民投票が複数回実施されましたが、いずれも法
定得票数に満たず、いまのところ再稼働はしていません。
 しかし、危機的な状況は変わりません。台湾では台湾電力などが電力不
足とAIや半導体産業の需要増を背景に、再稼働を強く求めているそう
です。
 こうした動きに対して、台湾環境保護連盟などの脱原発市民団体は、
国聖(第二原発)と馬鞍山(第三原発)の再稼働に強く反対するキャン
ペーンを展開しています。
.. 2026年05月19日 05:29   No.3490001

++ 山崎久隆 (社長)…2005回       
◎廃炉原発の再稼働は日本でもできるのか

 一方、いったん廃炉となっている原発はその後はメンテナンスなどの
投資はしていないことがほとんどであると考えられるため、再稼働のリス
クはとてつもなく高いです。
 つい最近、イラン戦争の過程でホルムズ海峡が閉鎖される状態になり、
エネルギー危機が迫っているという文脈において、廃炉原発の再稼働をし
たらどうかといった主張が、ネットの記事やSNSを中心に出回っている
ようです。そのようなことが果たして可能なのか。

 東電原子力センターと定例の対話を行った際に、中東情勢の緊迫による
電力不足に備えて福島第二原発を再稼働させるなど可能なのかと聞いたと
ころ、第二原発は既に廃炉の対応として解体が始まっていること、また、
ここも津波の被害を受けているため海岸沿いに損傷した設備も多く、これ
を仮に修繕したとしても、そもそも新規制基準適合性審査を受けていない
し、必要な安全対策工事もしておらず、審査を受ける手続きもできないた
め、法的に運転出来ないとの回答でした。
 廃炉原発を再稼働させろという主張がネットで展開されていても、それ
はもちろん不可能です。経済性の面からもあり得ない主張です。

◎廃炉の実態

 海外には解体撤去まで完了した事例もありますが、米国等の例を見て
も、廃炉決定から解体着手までには法的・技術的手続きで15年ほど
要するのが一般的です。
 その後も放射線量の減衰を待つための密封管理期間が必要となり、その
期間は炉型や建設時期によって異なります。詳細は、各事業者の公開情報
を参照することで確認が可能です。

.. 2026年05月19日 05:37   No.3490002
++ 藤岡彰弘 (大学院生)…113回       
試論「廃原発事始め」第55回
 | 設備の老朽化とシステム不適応が大停電につながる
 | 電気の「過剰流通状態」に対するシステム側の不適応への警鐘
 └──── 藤岡彰弘(廃原発watchers 能登・富山)

【2】電気ハ誰ノモノデスカ?―電気に関わる事件史の中に、
   廃原発への手がかりを探す
 4.送電・変電に関わる停電事故はなかなか無くならない
   設備の老朽化とシステム不適応が大停電につながる
   東京電力の地下ケーブル火災事故(埼玉県新座市 2016年10月)
   と、スペイン大停電(2025年4月)

 何万人、何十万人に影響を及ぼす停電のニュースが、年に何度か
伝わってきます。
 台風や地震など自然災害によるものを除けば、その多くが送電、変電に
関わる事故、トラブルによるものです。
 システム化やAIの導入が進んだ現在で、なおこういった停電が起きる
のはなぜでしょうか。
 今回は、2016年の東電のケーブル火災事故と2025年のスペイン大規模
停電事故についてふれます。
 これらについての著作も、まだ見つけられないでいます。

 東電のケーブル火災事故は、新座市内にある「新洞26」と呼ばれる
地下送電設備の中で起きました。
 「洞」の中には18本もの高圧送電ケーブルが通っています。
 そこで火災が発生しました。
 原因は、金属製の導体に油をしみこませた絶縁紙を何重にも巻き付け
た旧式のケーブルを、35年以上も使い続けてきたことにあります。
 一本のケーブルが経年劣化によって絶縁が破壊されて漏電が起き、発
煙・爆発して他のケーブルに次々と延焼していき、ついに送電が止まって、
37万軒に及ぶ大規模停電を起こしたのです。

 この2016年時点で、旧式のケーブルは都心部を中心に述べ1000km分
も存在するといわれ、東電は油を使用しないポリエチレン製の絶縁体を
使った新式のものに、早急に入れ替えるといいます。
 しかし問題がそれで済むとは思えません。
 膨大な送電・変電・配電施設や設備のいたるところに、経年劣化による
事故発生の怖れが存在しているに違いないからです。

.. 2026年05月19日 05:50   No.3490003
++ 藤岡彰弘 (幼稚園生)…1回       
 一方、2025年4月に起きたスペインの大規模停電は、発生からわずか
20秒後にスペイン全土から隣国のポルトガルに至るまでのブラックアウト
を引き起こしました。
 幸い回復が早く、被害は一時的なもので済んだものの、今後の広域的な
送電網の運用に深刻な影を落としました。

 当初、その原因として、太陽光など自然エネルギーが電力供給の高い比
率を占めていたことが原因ではないか、という疑いが広まりました。
 しかし、スペイン政府の公式調査によると、大規模停電の原因は、送電
網内に過度に高い電圧が発生し続けたことと、それに対して各発電所が必
要な措置を即座にとらなかったことにあると考えられています。

 この日は気温も穏やかで、週の初めの月曜日のお昼前と、電力需要が低
くなる条件が揃い、電圧は総じて高めに推移していたといいます。
 しかしそれだけで過電圧が発生するはずはありません。
 スペイン政府の報告書も、過電圧発生の根本原因を指摘しきれてい
ません。

 送電体制や送電網管理が高度化し複雑化すれば、それだけ「見えない
部分」「見えにくい部分」が広がっていきます。
 この大停電はそんな電気の「過剰流通状態」に対する、いわばシステム
側の不適応への警鐘なのではないでしょうか。

《事故情報編集部》より
 次回の連載は、7月頃を予定しております。

.. 2026年05月19日 05:55   No.3490004
++ 山崎久隆 (社長)…2006回       
東京電力再編構想と「原子力中核化」戦略 (上)(2回の連載)
 | 「第五次総合特別事業計画」
 | 資本提携と「黄金株」構想から見える再統合
 | 電力会社から「AI原子力複合インフラ企業」への転換
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

見出し
 はじめに
1.東電再編の本質:電力会社から
  「AI原子力複合インフラ企業」への転換
2.「五次総特」の「自己破綻的記述」の意味 限界宣言と再編の正当化
3.「黄金株」構想と株主民主主義の空洞化
 以上は、(上)に掲載
 以下は、(下)に掲載
4.原子力の「資産化」と国家・東電の「運命共同体化」
5.機能不全の露呈 2026年4月決算が示す既存モデルの終焉
6.真の再生への道 民主的統制と再生可能エネルギーへの転換


はじめに

 2026年春、東京電力ホールディングス(以下、東電)が進める資本
提携構想に対し、ソフトバンクや米投資ファンドのブラックストーンなど
が関心を示していると報じられた。
 既に報道などで知られつつあるところだが、単なる一企業の再建劇では
ない。
 日本のエネルギー政策、原子力政策、さらには国家と市場の関係そのも
のを再編しようとする巨大な動きの一環である。
 注目すべきは、東電が同時並行で「株式非公開化」や「黄金株(拒否
権付種類株式)」の導入を検討している点だ。
 これは経営安定化策ではなく、民間資本を導入しながら、最終的支配権
は国家が保持するという新たな統治モデルへの移行を意味している。
 第五次総合特別事業計画(以下、「五次総特」)の内容を軸に、現在進行
している構想が、原子力を中核とした国家主導型経営システムの構築であ
る本質について論じる。

1.東電再編の本質:電力会社から
  「AI原子力複合インフラ企業」への転換

 東電の再編は、国のエネルギー政策を統合する複合インフラ企業への
転換として定義される。
 「五次総特」において東電は、従来の垂直統合型経営が事実上破綻して
いることを認め、自らをインフラ・プラットフォーム提供者へと再定義
した。
 背景には、生成AIの普及に伴う電力需要の増加を見据え、東電の送配
電網や発電所用地をデータセンター構築の「戦略的資産」として活用する
意図がある。

.. 2026年05月23日 06:50   No.3490005
++ 山崎久隆 (社長)…2007回       
 ソフトバンク等の通信・AI事業者が提携に関心を示すのは、東電の
系統接続における優先的立場を資本提携によって支配下に置くことが、
計算資源の確保において決定的な優位性をもたらすからだ。
 一方で、投資ファンドは「レベニューキャップ制度」に基づく安定的な
送配電収益に着目している。
 「五次総特」が謳う資産回転型モデルは、原子力という不確実性を抱え
つつも、インフラ資産を魅力的な投資対象として切り出すための布石でも
ある。
 今回の再編は、原子力を国の支援スキームで収益可能な「正の資産」へ
と書き換え、AI基盤と接続することで、多層的な国家インフラ維持装置
へと変質させようとするものだ。

2.「五次総特」の「自己破綻的記述」の意味 限界宣言と再編の正当化

 「五次総特」には、通常の経営計画では考えられない論理的矛盾が随所
に存在する。
 再建目標を掲げながら、その実現が事実上不可能であることを自ら強調
しているのである。
 例えば、アライアンス(連携)を鍵としながら「現在の企業価値ではア
ライアンスの実現も困難」と記し、柏崎刈羽原発の再稼働が実現しても
「抜本的な財務強化には至らない」と明記している。
 こうした自己否定的な記述は、正直な現状報告などではない。

 現行モデルが持続不可能であることをあえて文書化することで、市場
ルールを逸脱した特例的な新体制(公的管理)への移行を社会に強制的に
受け入れさせるための戦略的な敗北宣言である。
 廃炉作業の不確実性を強調し、民間企業としては異常な経営破綻の予言
を行うことで、東電は加害者としての主体的な責任を放棄し、原子力事業
を中核とした国直轄型インフラ企業へと変質する道筋を正当化しているの
である。

.. 2026年05月23日 06:57   No.3490006
++ 山崎久隆 (社長)…2008回       
3.「黄金株」構想と株主民主主義の空洞化

 「黄金株(拒否権付種類株式)」の導入検討は、東電における株主民主主
義の事実上の停止を意味する。
 国または原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、支援機構)がこれを
保有すれば、民間資本を導入しても、定款変更や事業譲渡といった根幹の
決議を国が一票で覆すことが可能になる。
 支援機構が既に過半数の議決権を握る中で「絶対的な拒否権」が加わる
ことは、市場原理に基づく株主の監視機能を完全に無効化し、投資家の
関与を空文化させる。
 これにより東電は、通常の営利企業とも従来型の国営企業とも異なる、
独自の国家支配型ハイブリッド企業へと変質する。

 リスク(原子力・廃炉)は国家が管理し、利益(AI・インフラ)は民
間資本と共有するという二重構造下では、国家の意志が企業の意思として
優先される独裁的なガバナンスが正当化される。
 責任の所在をブラックボックス化し、国家による永続的な支配を完結さ
せるための最終手段が、この「黄金株」導入なのである。 (下)に続く
           (初出:2026.5.15たんぽぽ舎「金曜ビラ」531号)

.. 2026年05月23日 07:04   No.3490007


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